#07 生徒会紛糾






 授業後、HRが終わると、楽しそうに友達とお喋りしているカナちゃんを横目に、荷物を持って教室を出た。


 生徒会室に入ると、既にセツナさんと副会長の来栖先輩が来ていた。



 セツナさんは、僕が来ると「ムギくん、今日もごくろーさま」と労いの言葉をかけてくれて、続けて来栖先輩に向かって話し始めた。


「ユキちゃん、ちょっと今いい?」


「なぁに? セツナちゃん」


「突然だけど、私とムギくん、付き合うことになったから」


「ほぇ? え?え?え? ちょっと待って! ムギくん、彼女いるんじゃ? 昨日だってその彼女のこと話してたじゃん」


「うん、彼女居るけど、私の彼氏になったの」


「ちょっと待ってちょっと待って!別れたってこと?」


『いやぁ・・・別れては、いないですね』


「えー!二股?二股かよ!」


「ちょっと落ち着いてよ!ちゃんと話を聞いて! どうしてこうなったか全部話すから!」


「何か事情があるってこと?」


 セツナさんと来栖先輩が大きな声で騒いでいると、ガラっと扉が開き、生徒会メンバーである岸本ハナさんがやってきた。


「どうしたんですかー、廊下まで大きい声が聞こえてましたよー」


「あのねハナちゃん、ムギくんとセツナちゃんが浮気してるらしくって、問い詰めてたの」


「あー それで二股がどうのこうのって言ってたんですかー」


「いや、だからちゃんと話を聞いてって言ってるでしょ!」



 岸本さんは僕と同じ1年で、生徒会では会計担当だ。

 因みに僕は書記担当。 僕と岸本さんともう一人の1年の安井君の3人でアミダくじで役職が決まった。


「あと安井君が来れば全員ね。 今日は安井君来るかしら?」


「いやー 来ないでしょー」


「そうね、まぁいいか。 じゃぁこの際だからハナちゃんにも説明するね」



 そこから、僕とカナちゃんの幼少期から中学で交際し始め、高校生になった現在の状況(登校時やクラスでの)を僕の方から説明した。 セックスに関係することは伏せた。 流石に女性に話せる話ではない。


 僕の話に続ける様に、昨日駅前で見た様子をセツナさんが説明し、喫茶店での話し合いの内容も説明した。


「カナちゃん見た後のムギくん、血の気が引いた真っ青な顔してフラフラと逃げる様にドコかに行っちゃうから、これはもう限界だって思って、追いかけて無理矢理喫茶店に連れてって、それで「別れなさい!」って言ったの」

「それでもムギくん、まだ別れようとしないから、じゃぁ私が新しい彼女になって、カナちゃんに見せつけてやろうって。そうすればあの子も危機感感じて焦ったり悔しがったりすると思ってね」

「だから、浮気っていうよりも高度な心理戦目的なのよ?」


 セツナさんも、キスやセックスの話は伏せて説明した。


「ふ~ん、だいたい解ったけどさ、そのカナちゃんって子がもし浮気してなかったら、二人ともただの悪者になるんじゃないの?」


「いやいやいや、ユキちゃん、あの場で実際に見てないからそんなこと言えるんだよ! あれは浮気じゃなかったとしても十分疑われるレベルで責められるべきだったよ!」


「だったらー とりあえずユキ先輩も私と実際に見に行きませんかー?」


「そうね。なんか話聞いてるだけだと、確かに疑わしいんだろうけど、だからって同じように浮気しても良いってことにはならないように思えるんだよね」


「わかったわよ。今から行きましょう。 どうせ生徒会の方は暇なんだし。 ムギくん、カナちゃん今日はドコで遊んでるのか知ってる?」


『え? 知らないですよ?』


「「「・・・・・」」」


え? なんでコイツ使えねーなっていう目で見られてるの、僕。

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