#06 逢瀬



『おはよう、カナちゃん』


「ん」


『・・・・行こうか』


「ん」


 セツナさんに言われた通り、いつも通りのカナちゃんとの登校。

 当然それ以上の会話は無い。



 電車の中でチラっとカナちゃんの様子を見た。


 無表情のまま、スマホをいじってる。

 多分ゲームしてるんだろう。






 教室に着くと「おはよ~♪」と明るい声で挨拶をしている。


 早速昨日のイケメン男子がカナちゃんの所へやってきて、何やら楽しそうにお喋りを始めた。



 やっぱ、キツイ


 なんで僕の前であんな風に振舞えるんだろう




 わざと・・・?


 一度そう考えてしまうと、もうそうとしか思えなくなってきた


 ダメだ・・・

 早くお昼にならないかな・・・

 セツナさんに会いたくなってきた




 この日は、兎に角カナちゃんを視界に入れない様にして、なんとかやり過ごした。


 お昼休憩になったら、弁当を持って急いで教室を飛び出した。



 生徒会室に行くと、すでにセツナさんは来ていた。


「ムギくん、待ってたよ」


『お待たせしてすみません』


「じゃぁお昼にしよう」


 二人で横に並んで弁当を食べ始める。


「で、どう?」


『どうとは?』


「カナちゃん、朝とか教室とかで、何か変わった様子とか」


『う~ん・・・いつも通りですよ。 いつも通り会話は無くて、教室ではイケメン男子とイチャイチャしてましたね』


「え?教室でもなの?」


『はぁ、そうですね』


「ムギくん居るのに?」


『そうですね』


「・・・・」


『思ったんですが、わざとかもしれないですね。 わざと僕に見せつけて、恋人関係を僕の方から解消させようと考えてるとか』


「ダメだ・・・いまカナちゃん目の前に居たら、ぶっ飛ばしそうだわ、私」


『やめて下さいよ。生徒会長が暴力事件とかシャレになんないですから』


「いや、生徒会長よりも大事なことってあるでしょ! 恋人のことバカにされて黙ってなんかいられないわよ!」


『その気持ちは有難いけど、実際にやったら迷惑ですからね?』




 セツナさんは弁当を食べ終えて、弁当箱を片付けると、イスに座ったまま体を僕の方へ向け両手を開いた。


「おいで、ハグしてあげる」


『はぁ、じゃぁお言葉に甘えて』


 セツナさんにハグしてもらうと、体は柔らかくて良い匂いがした。


 カナちゃんだと、どうだったかな

 普段はハグなんてしないけど、セックスした時はどうだっけ


 あんまり思い出せないな

 匂いとか感触よりも、セックスに集中しようと結構必死だからか



 セツナさんは体を離すと「次はキスよ」と言って、また昨日と同じように目を閉じてキス顔をした。


 今度は躊躇うことなくクチにキスして、舌をぐちょぐちょに絡ませた。




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