第8話 冒険者ギルド
「勝負だ!スケルトン!」
「カラカラカラ!」
月が沈んでいく夜明け前の一番暗いとされる時間でも、俺たちは休まずスケルトン狩りを行っていた、声を上げれば俺に突っ込んでくるスケルトンの攻撃を避け、棍棒の一撃、その後ミコブが背後から攻撃しつつ、俺がもう一撃与えればスケルトンは消滅する、この一連の動きを繰り返しレベル上げとドロップ収集を行っていた。
これが中々美味しく、ノーダメージで倒せるので、先ほどから作業のように繰り返していると、俺がLV7、ミコブがlv8になり、レベルアップ後は俺の最初の一撃がクリティカルヒットすると、その後のミコブの連続攻撃で倒せるようになった。
また、俺が最初に声を上げて引き付けると、明らかに敵の攻撃が大振りになるので、スキルが無くても効果あるようだった、ミコブによればそうしていれば、もしかしたらスキルを覚える事ができるかも知れないとの事で、必ず最初に声を上げている。
夜が明け、辺りが白んでくると、スケルトンの姿が見えなくなり、代わりにゴブリンの姿を発見した。
「スケルトンは夜だけ見てーだナ、もうゴブリンは美味く無さそうだシ、あの町に行って見よーゼ」
「そうですね、ドロップも集まったし、売って武器を新調したいな」
俺達は町に向かって行く、途中ゴブリン2体が襲ってきたが、レベルアップした俺たちの敵では無かった。
町が近づくと、門が見えてきて、開いていた。
朝の早い時間であろうが、問題なく入れそうだ。
二人で並んで進んでいくと、不意に声を掛けられる!
「おい、止まれ!ゴブリンが居るじゃないか!」
「オデ、悪いゴブリンじゃないヨ!」
「喋れるのか!?しかし、モンスターを町に入れるわけにはいかん」
「なんとかなりませんか?」
「ダメだな、見た所、君は最近増えてきた冒険者の様だが・・・
ゴブリンは町に入れてもらえないが、外で待つなら良いと言われ、ミコブと相談する。
「じゃア、悪いが換金頼むワ、売っているかわからねーガ、スキル書の魔法があれば教えてくレ!なければ槍か何かにするガ、店に行ったら通話してくレ」
「わかった、それじゃあまた後で!なるだけ速く帰ってきます!」
「おウ、それまでオデはこの門番の兄ちゃんとでも話してるからヨ
色々聞きたい事もあるしナ!」
話し合った結果、俺が一人で町に入り、装備を買って、戻ってくる事になった、ミコブから[トレード]機能で、素材を受け取る。
「ああ、そうだ、門番さん」
「なんだ、まだ何かあるのか?」
「モンスターの素材を換金したいのですが、どこに行けばいいでしょうか?」
「それならこの大通りをまっすぐ行けば、[冒険者ギルド]があるから、そこで換金すれば良い、通りの一番大きな建物だからすぐわかるだろう、あとこの町の店は大体大通り沿いにあるから、何か必要なら探してみると良い」
「ありがとうございます、行ってみます!」
「モンスターを倒してくれる冒険者は歓迎だ、ようこそ、カッセイラの町へ!」
ミコブをその場に残し、俺は一人町の門をくぐる、大通り沿いに建物が並んでいて、
町人達が各々生活している、ナナバに比べると少し寂しく見えるのは、他のプレイヤーが居ないからだろうか?スケルトンと戦っている間もほかのプレイヤーを見かけなかったし、もしかしたらこの町に来たプレイヤーは俺達が初めてなんじゃないか!?
だとしたらちょっと嬉しいな・・・。
今なら街の人々に話しかけ放題だが、ミコブを待たせているので、足早に目的地を目指す。
すぐに大きな建物が見えてきた、ビールジョッキの看板が出ている。
他に大きな建物は見えないので、入ってみると酒場になっており、いかつい男達が酒を飲んだり、食事をしている、朝早いからか空いている席が多いが。
奥に受付のようなものが並んでいて、ウェイトレスとは別の服を着た女の人達が座っている、あそこかな?俺は一番近くの受付の女の人に話しかける。
「すいません、[冒険者ギルド]はここでしょうか?モンスターの素材の買い取りをしていただきたいのですが・・・・」
「はい、カッセイラ冒険者ギルドへようこそ、そちらからお売り頂ける素材をお選びください、また素材の買い取りはあちらの[買い取りボックス]でも出来ますので、混雑の際はそちらをご利用くださいませ」
目の前にウィンドウが出てきて、現在の荷物が表示される。
受付の女の人が手を差し出した方向には、大きな箱が置いてある、今はほかにプレイヤーが居ないので、このまま操作する。
ウィンドウから素材を選べば買い取り額が表示される。
俺はすべての素材を換金し、合計1070Gを手に入れた。
操作を終えた所で、受付の女の人が口を開く。
「またクエストを受ける際は、あちらの掲示板に貼ってある依頼書から、受けられるものをこちらにお持ちくださいませ」
再び手を差し出された方を見れば、壁に大きな掲示板があり、いくつもの紙が貼ってある、今は急いでいるので、今度確認してみよう。
受付の人に礼を言い、[冒険者ギルド]を出る、すると目の前に剣の看板を出した店が合ったので、入ってみる。
予想通り、壁に色々な武器が立てかけられ、厳ついおじさんがカウンターに立っている。
「いらっしゃい、好きに見ていってくんな」
俺は会釈すると、壁に立てかけられた剣を取ろうと近づく、すると目の前にウィンドウが表示され、売り物のリストが出ている。
こういう所はゲームっぽいんだな、と考えながら、リストを見ていく。
色々な種類があるが、欲しいのは鉄剣500Gミコブの鉄槍500Gあたりか。
初期装備の棍棒や弓は100Gで売っていて、その一ランク上の物は500Gみたいだ。
武器を売る事もできたので、見てみたが、初期装備は10Gにしかならないようだ。
ああ、そういえばミコブが言っていたスキル書が無いな。
店主に聞いてみよう。
「スキル書は売ってないんですか?」
「それなら店を出て右に進めば、本の看板が出ている店がある、そこだ」
礼を良い、店を出る、何も買わなかったので冷やかしになってしまったが、何も言われなかった。
教えられた本の看板の店に入ると、本屋のように棚にびっしり本が並んでいた。
店主のおじいさんにあいさつし、商品を見る。
お!剣技や斧技といったもののほかに、ちゃんと魔法もあるな!
だが、全部1000Gと、今の俺達の全財産程の金額だ。
とりあえず、ミコブに連絡する。
「おウ、店についたカ?」
「はい!スキル書の店に、ちゃんと魔法のも売ってました!」
「オオ!何が売っているんダ?」
「魔法だと、火礫 水弾 風打 飛石 闇縛 光癒 ですね」
「各属性魔法の基礎って感じカ?攻撃するなら基本属性、光は回復って感じカ
闇縛の効果はなんダ?」
「闇の糸で、敵の動きを止めるって書いてありますね」
「状態異常とかデバフ系カ?フム、名前が好みダ、それ買えるカ?」
「ええ大丈夫です、じゃあ、買って戻りますね」
「おウ!ありがとナ」
俺はスキル書 魔法 闇縛を買い、店を出て、門へ向かう。
すぐに見えてきて、町の外に出ると、ミコブが待っていた。
「お待たせしました!」
「待ってたゼ、例のブツをくレ!」
トレードで、闇縛を渡そうとすると、ミコブが
「そういヤ、闇縛はいくらしたんだ?」と聞いてきたので素材の売り上げをすべて使ってしまった事と、買い取り額の詳細、スキル書の値段を話す。
「おいおイ、ジンの取り分まで使っちまったのカ、先に言ってくれヨ」
「すみません、先に言っておくべきでした・・・」
「いや、オデは良いんだけどヨ、むしろ悪い気がするんだナ
ジンは武器変えなかったんだロ?」
そこで、武器の値段の事を話す。
「500Gカ、まぁもう使っちまったのはしょうがねぇしナ、正直、槍より魔法を使いたかったシ、なんダ、ありがとヨ」
どうやら喜んでもらえたようだ、良かった。
だが、剣と槍を買うという選択肢もあっただろう、勝手な事をしてしまったので反省する。
次は俺の武器を新調する、と約束して金を稼ぐため再び草原で狩りをする事になった、一応時間を確認すればリアルで14時過ぎだったので、あとゲーム内で4時間は遊べる。
移動しながら雑談する、町の外でログアウトすると、時間に応じてペナルティが課せられ、初期地点に戻された上で、一定期間町から出られなくなる等デメリットが多いらしく、ミコブは町に入れなかったので、調べて見たらしいが、どうも町の門の近くや、外壁の近くであれば町の中と同じようにペナルティ無しでログアウトできそうだと言う。
これでいちいち戻らずとも、カッセイラの町を拠点に冒険できる、と安心していた。
まぁ、町には入れないのだが、ゴブリンの初期地点の集落は何も無いらしいので、別に問題ないらしい。
それから、今いる草原は、ミコブが門番に聞いた所、[カッセイラ城址草原]というらしい、ダンジョンのある森はそのまま[ナナバ東の森]というのだとか。
大昔に滅びたカッセイラ城の城址があり、カッセイラの町の人はそこの末裔だとか。
城址なんて、ゲームなら絶対に何かあるだろう!ミコブも同じ考えで向かってみる事にし、進んでいる。
と、前方にゴブリンを一匹発見した。
「オ、手頃なのが居たナ、闇縛を試させてくレ」
「了解!発動したら攻撃します!」
「おウ!いくゾ、[闇縛]!」
ミコブが詠唱を開始した、少しして黒い糸がゴブリンに絡みつく!
こちらに気づいていなかったゴブリンは、突然の出来事にパニックになったのか、転んでもがいている!強いぞこの魔法は!
俺は走って向かって行き、棍棒を振り下ろす!
ヒット!瞬間、黒い糸も弾け飛ぶように消え、ゴブリンは転がったままだ!
連続攻撃!棍棒を振り下ろすと、ゴブリンはあっけなく消滅した。
攻撃をする事さえできなかったゴブリンを哀れに思いつつも、初めて見た魔法の強さに驚き、頼もしく感じる!
「完封だね!これでもっと強い敵も安全に倒せそうだ!」
「良い感じだナ!まぁ、MP空っぽになっちまったガ、いや、割と回復するかラ、コリャ、オデのMP総量自体が少ないんだナ」
冷静に分析しつつも、どこか嬉しそうなミコブを見て、やはり闇縛を買って正解だったと感じた俺であった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます