第7話 VSスケルトン

道無き草原を、森沿いに進んでいく、相変わらずプヨンしか沸いておらず、街から大分離れてきたため、プレイヤーも居ないが一つ面白い事を発見した。

同じプヨンでも俺達を見つけて近づいて来ようとするもの、その場で動かなくなるもの、気づいていないのかもしれないが、近くまで来てもなんの反応も無いもの、そして俺たちが近くに来ると、明確に反対側へ移動していく、つまり逃げていくものと

1匹1匹に個体差があるように感じた。

そういえば、プヨンの大きさは変わらないように見えるが、モスピーは分かる程度に小さい個体、大きい個体が存在していた。

面白いなぁ、とミコブさんと話しながら移動していく、近寄ってくるプヨンがいても、そもそもプヨンは遅いため、俺たちに追いつけない。


あまり変わり映えしない風景を眺めながら、今度はお互いの武器の話になった。


「ゴブリンは体格的にリーチが短いんだヨ、オデ的には魔法か、槍のような長物が欲しい所だナ」


「俺は、やっぱり剣が欲しいですねー、棍棒も使ってみると悪くないんですけどね」


「金を貯めて街の武器屋で買うカー、モンスターがドロップしてくれれば良いんだガ・・・、ドロップする敵ってのは大抵、その武器を持ってるような奴だろうシ、その分強いだろーナ、とすれば、オデの見た目をどうにかしたいがナー」


「身を隠せるような・・・フードとかローブとかあれば行けませんか?

街でゴブリンは見かけませんでしたけど、子供くらい小さい人は居ましたよ!

そうだ!なんならお金貯めて俺が街で買ってきますよ!」


「お、その手があったカ!助かるヨ!だガ、まずは金を貯めないとナ、この先に手ごろなモンスターが居れば良いガ」


プヨンゼリーは簡単に入手できるから、たぶんそれだけ価値が低いだろうし、経験値も少ないだろう、強い敵を倒した方が良い素材が手に入り、レベルアップも速そうだ、雑談しつつ移動し、マップを見れば街から見て森の反対側まで来ていた。

その先を見ると、月明かりに照らされて、今までのような何もない草原ではなく、遺跡のようなものがチラホラ見える草原が見える!

俺たちは互いに顔を見合わせ頷くと、そちらに向かって駆け出した。



近くまで来ると、明らかに文明の痕跡が残る草原にたどり着いた、しかも遠目にはうっすらと町のような物も見える。

まっすぐ行けば、町に付くが、遺跡は森と町との間から南に行くにつれ色濃く残り、

奥に行けば行くほど、何かがある、強そうな敵がいそう、というのは明確であった。

俺たちは現在森と町の丁度中間あたりに居る、チラホラ途切れた未知のような痕跡や、何かの残骸のような小さな岩等がある。

見上げれば、はるか彼方から明るく光を放つ月が、ちょうど真上に来ていた。


「オイ、ジン!モンスターがいるゾ」


ミコブさんが指さす方を見れば、白い人型何かが見えた。

ところどころひび割れて、かけた人骨だ!注視すればスケルトンと出てきた!

骨だけの体でカラ・・・カラ・・・とゆっくり歩いてくる。

俺たちは棍棒を構える!


「やるカ!」 「はい!」


俺はスケルトンの正面へ、ミコブさんは少し離れ、スケルトンの後ろに回り込む、その間にスケルトンが明らかな戦闘態勢でこちらに向かってきたので応戦する!

ゴブリンより動きが遅いな!俺は立ち止まって構え、突っ込んできたスケルトンを躱して側面に棍棒を打ち付ける!ヒット!いい手応えだ!

だがスケルトンは攻撃に怯みもせず向き返り、その骨だけの腕で殴り掛かってくる!

くっ距離が近すぎる!強い振動を受け、ダメージを受けた、ゴブリンの攻撃より痛いぞ!痛覚は無いが、そう感じた!事実HPもゴブリンの一撃より減っている!

スケルトンが笑うように体を震わせる!


「カラカラカラ!」


「グギャギャ!」


そこへゴブリンの鳴き声あげたミコブさんがスケルトンの背後、低い位置から棍棒で攻撃した!ヒット!だがスケルトンは気にも留めずに俺の方へ襲いかかってきた!


「うお!しまった!?」


「カラカラカラ!」


攻撃のタイミングをズラされた俺は再びスケルトンの攻撃を受ける!俺も一応攻撃し、ヒットしたのだが、手ごたえはあまり無い!

無理に攻撃したせいか、俺は体勢を崩し、後ろに尻もちを付くような形で転んでしまった!!やばい!


「この!死ネ!グギャギャギャギャ!」


「カラカラカラカラ!」


ミコブさんが背後から何度も棍棒を打ち付けるが、スケルトンはビクともせず、体勢を崩した俺に追撃してこようとする!

俺は棍棒を振り回し、抵抗するがスケルトンの骨の拳が俺に襲いかかる!



「カラカラカラカラ!」



「うああああ!!」



「グギャギャァー!」


3種の叫び声が夜の草原に響き渡る!!

・・・・・・・









瞬間


スケルトンの動きがピタリと止まり


消滅した・・・!


「はぁはぁはぁはぁ」


「はァ・・・はァ・・・」


俺の威力の無い棍棒の抵抗か、ミコブさんの必死の連撃か

どちらがとどめを刺したかは分からないが、どうやらスケルトンを倒せたようだった・・・・。

俺の体力は残り少なく、スケルトンの一撃を食らえば死んでいたかもしれない!

いや、戦闘中感じていたが、体勢が崩れた敵や、良い感じに攻撃が決まると威力が上昇した気がしたので、あの状況の攻撃を食らっていたら死んでいたに違いない。

これはゲームだが・・・、リアルすぎて、本当に死ぬわけじゃないのに恐ろしかった、まずい!死ぬ!死にたくない!と必死になり、パニックになっていた・・・。

息を整え、冷静になると少し恥ずかしくなってきた、いや、それほどこのゲームが楽しくて、熱中していて、真剣になっていたのだろう。

すると同じく息を整えていたミコブさんが声を掛けてくれる。


「はァ・・・ジン!大丈夫カ?」


「な、なんとか・・・助かりました、ありがとうございます!」


「危なかったナ、あの骨ヤロー、怯みもしねェなんてナ・・・」


「ええ、動きは遅いんですが、攻撃1発の威力も高いです!」


「しかもタフな奴ダ!いや、いい感じの手応えはあったんだガ、スケルトンのHPが高いのカ、オデの攻撃力が低いのカ・・・どっちもな気がするナ・・・」


だが収穫はあった、スケルトンを倒すと共に、二人ともレベルが上がり、俺は5LVに、ミコブさんは6LVになった。

俺にはドロップは無かったが、ミコブさんがスケルトンの骨というアイテムを拾ったようだ。

敵のドロップはPTの設定により、分配方法を変えられるらしい。

現在はランダムになっているが、活躍した人、一番ダメージを与えた人、順番に、等細かく変えられるとか、今はシステム任せのランダムでいいだろう。


「そういヤ、レベル上がったナ、ジンはLV5カ、おめでとサン、何かスキルとか覚えてねーカ?」


「ありがとうございます、ミコブさんも6LVおめでとうございます、スキルかぁ、確認してみますね」


「アア、あとそんなに畏まらなくていいゼ、呼ぶ時もミコブでいーゾ、オデもこんな感じだしナ」


了解しつつ、スキルを確認すると、クリティカルアップというパッシブが追加されていた。


クリティカルアップ クリティカル率上昇・威力上昇


と書かれていた、所謂会心の一撃のような攻撃が出やすく、かつ威力も上がるという事かな、かっこいい技を覚えたいと思っていたが、常時発動している事から、悪くないんじゃないだろうか?

ミコブにその事を話せば「オ!いいじゃねぇカ!腐らなそうだシ」と言っていた。



HP回復ポーションを一つ使い回復し、休憩して全快したのを確認すると、遠目にスケルトンと思われるものが、歩いているのを見つけた。


「ミコブさ・・、いや、ミコブ!あそこにスケルトンがいる!」


「オウ!だが、大丈夫カ?」


先ほどは初戦で不意を突かれたが、スケルトンは動きが遅い。

冷静に対処すれば先ほどより楽に倒せそうだった。

それを伝え、ミコブも頷くと二人でスケルトンに向かって行く。

作戦は先程と同じ、俺達二人の間では基本になった挟み撃ちだ。

こちらに気が付いたスケルトンが向かってきたので、俺は止まり棍棒を構える!


「カラカラカラカラ!」


「来い!スケルトン!」


スケルトンの鳴き声に対し、気合を入れて叫ぶ!

それに答えるようにスケルトンは突っ込んで来て、骨の腕を振り上げた!

心なしか、先ほどのスケルトンより力強い攻撃を仕掛けてくる!

だが!レベルが上がったためか、一度経験したからか、俺はその攻撃を難なく避ける!力を込めていた為か先ほどより大振りなスケルトンの腕が空を切る!

そこへすかさず俺が棍棒を振り下ろす!


「ここだぁああ!」


「カラッ!?」


クリティカルヒット!今までにない手ごたえを感じた!

スケルトンは体勢を崩さなかったものの、少し吹き飛ぶ!

そこへミコブが背後から追撃する!


「オラァ!くたばレ!」


ガツンガツンと連続で棍棒を振り下ろすが、スケルトンはやはり気にもせず、攻撃をされながらもこちらに向かってきた!

当然そうなることは予想していた!

攻撃後にすぐ構え、待ち構えていた俺は、スケルトンの攻撃を難なく躱し、再び一撃!

それがトドメとなり、スケルトンは消滅した!

今度は俺がスケルトンの骨を入手した。


「なんダ、楽勝じゃねーカ!」「分かっていれば問題ないな!」


そうして掛け合いし、ミコブが手を挙げたので俺も手を振り上げ、パチンとはたき合わせた!自然とやったが、なんか良いなこれ!

スケルトンはノーダメージで倒せ、モスピーやゴブリンより手応えも良いという事でここでしばらくスケルトン狩りをする事にした。

索敵中は二人で並んで歩き、雑談をする。

ミコブから、ヘイト管理が重要になりそうだ、と聞かされる。

モンスターの注意を引いて、攻撃対象を絞らせる、先ほどのように俺が注意を引けば、俺に向かってくる可能性が高い、そうすることで俺は攻撃が来るという心構えをし、避けたり防御したりできる、それ以外のメンバーは攻撃に集中したり、注意を引いている俺のサポートや、回復をしたりできる、ゲームでの役割分担の一種で、戦術の基本という事だった、俺はあまりそういうのに詳しくないので、ミコブさんの情報はためになる。

戦闘を見ていると、俺はその注意を引く[タンク]役が上手そうだ、と褒められて、俺自身、先頭に立ってPTの皆を守るような役割は憧れるので、PTの守りの要であり、皆を守る役割、[タンク]を目指す事にした!


ちなみにミコブは攻撃の要であるアタッカーはあまり性に合わないと言っていた、グギャグギャ言いながら連続攻撃するミコブを見ていると、結構向いていると思うんだけど・・・また、雑談中、ミコブの喋り方や、今でもたまにグギャグギャ言うのはキャラ作りで、話せるようになってからは普通に喋れるという衝撃の事実が発覚した!・・・てっきりゴブリンの呪いか何かかと思っていたよ・・・。

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