第14話 久しぶりの出社

クリスマスも過ぎ年の瀬が近づく中、俺たち3兄妹はいつものように朝を迎えた。12月27日、今日が最後の出勤日だ。


たく「さっむ!!」

あお「さむい〜!」

あい「ちゃむいでちゅ・・・」

たく「気温4度。寒すぎだろぉ・・・」


5歳になったあいちゃんと、19歳になって1ヶ月が経過した俺らはいつものような朝を過ごしている。だが今の時刻は朝6時。朝飯をまだ作ってないので実はギリギリなのである。


あお「たっくん!朝ごはん!」

たく「やばい!作んなきゃ!」

あお「フレ!フレ!たっくん!がんばれがんばれたーくーみん!ふぁいと〜!!」

たく「10分で完成させる・・・」

あお「がんばって〜!」

たく「うん」


およそ10分後、定食風の朝ごはんが完成した。愛央は前回新調したチアのユニフォームを着てそのまま朝を食べるということに。よっぽど気に行ったようで。


あお「んー!美味しい〜♡」

たく「今日は出社だからスーツ着ないとおいねぇや」

あお「え!在宅じゃないの?」

たく「そうなんよねぇ・・・在宅じゃないんよ」

あお「愛央はお家にいるっ!」

たく「俺だけ出社なのよ」

あお「そしたらチアの練習出来ないじゃん」

たく「でも午前上がりだから」

あお「午後はチアできるの?」

たく「俺はやらんけど出来るべ」

あお「やった〜!」


俺はそう言って着替え、向かいの商品企画部の自分のデスクに向かった。およそ半年ぶりに。


浜井「あれ、匠くん珍しいね」

たく「あどうもおはようございます。なんか親父からオフィスワークにもちょっと慣れとけって言われて・・・」

浜井「お父さんらしいね。ってことは愛央ちゃんが?」

たく「あそこでチア踊ってますよ。俺が帰ったら甘えるって」

浜井「後でお邪魔していいかな?」

たく「あどうぞどうぞ。なんなら俺の手料理振る舞いますけど」

浜井「食費が浮くぜぇ。ありがとう」


それから資料のデータを入れて飯を何にするか悩んでいると、浜井さんがいらした。


浜井「匠くん、今時間ある?」

たく「私ですか?」

浜井「データ入力すごい頑張ったね」

たく「ありがとうございます。恐れ入ります」

浜井「今11時だけど、このあと社長と会談する予定が入ってて、お父さんに連絡できる?」

たく「はぁはい、かしこまりました」


俺は親父に電話をかけ、12時に俺の部屋に来てもらうようお願いした。それから一時間後、部屋に浜井さんをお連れして帰ると・・・


たく「ただいま・・・いや寝とるんかい」

あお「ん・・・」

たく「帰ってきたよ。飯食おか」

あお「やったー!」

浜井「お疲れ様」

あお「浜井さん!?」

たく「浜井さん愛央が元気にしてるかなーって気になっていらしたよ。・・・踊りたい?」

あお「浜井さん、見てください!」

浜井「どうしたの?」

たく「クリスマスイブに愛央のチアユニ新調しましてですね、浜井さんにまだご覧に入れてなかったので」

浜井「わざわざ申し訳ないね」

たく「お昼時ですし手料理振る舞いますよ。お待ちくださいませ。愛央、頼んだよ」

あお「うん!」

昭仁「あーぶないあぶない。間に合った間に合った」

たく「はえーな随分」

あお「(´。>ω<)ぎゅー♡パパ来たの?」

たく「会談するって。なんか」

あお「きらきら笑顔で応援しちゃうよ!」

たく「とりあえず飯作んなきゃ・・・」


愛央はポニーテールを揺らし、ポンポンを可愛く振って応援し始めた。なぜハーフアップではなくてポニーテールなのかというと、これは単純に愛央がポニテ作ってって甘えたからである。


昭仁「どうです。うちの娘の応援は」

浜井「さすがですね。癒されます」

あお「じゃーん!パパ、浜井さん!見て!」

たく「飯出来た〜」

あお「Fooooooo〜♡」

昭仁「んじゃ食べますかぁ」

たく「ほいではお手を拝借」


全員「いただきます!」

あお「たっくーん。後でデート行こっ!」

たく「行っていいよね?」

昭仁「行っておいで」

あお「パパお財布古くなってるよね?愛央買ってくるよ!」

昭仁「いいの?」

あお「愛央ちゃん優しいもん!」

たく「後で見せっから待っててね」


俺は急いで飯を食べ終わり着替えると、一風変わった愛央を連れて外に出た。


あお「いつもと違う?」

たく「違いすぎるんですけど」

あお「ポニーテールなんて高校時代はよくやったけど今やらないからね・・・」

たく「ハーフアップで綺麗にまとまっちゃうし、何よりそれでチアを踊る愛央の笑顔がすごい可愛いんだよ・・・」

あお「・・・愛央の理想のお兄ちゃん♡メガパー好きっ」


これが日常。平日午後から何をやってるんだと言われそうですが愛央はこのくらい甘えないと本領発揮しないのである。そしていつものように天川大野駅前のショッピングモールに来ると、なんとびっくり、あいちゃんが幼稚園のおさんぽで駅まで来てたのだ!


あい「これね、たったーがいちばんあたらしいでんしゃっていってたの!」

先生「お兄ちゃん物知りなんだね!」

たく「あれって・・・」

あお「あいちゃん・・・だよね?」

たく「おさんぽかなぁ?」

あい「あ!たったー!」

たく「よ!あいちゃん!」

あお「あいちゃーん!」

あい「(´。>ω<)ぎゅー♡」

先生「こんにちは!どうしたの?」

たく「いやちょっと買い出しがてら来たらいたもんで」

あい「たったー、ごはんなにー?」

たく「麻婆豆腐」

あい「あいたんのだいこうぶつ!」

たく「あれ先生、これ荷物全部ですよね?」

先生「えぇ。幼稚園に戻ったらこのまま帰りの時間になるから・・・」

あい「あいたんたったーといたい!」

先生「じゃあ匠くんに任せていい?」

たく「んじゃこのまま預かりますね。ありがとうございました。さよなら三角ほなまた明日」


あいちゃんも合流して3人でいつもの場所でいつもの買い物。あいちゃんの大好きな麻婆豆腐を今日は振る舞うため、その材料を買っていくことにしたのだ。あその前に、財布はきちんと10万円のものを買いましたよ。


あい「たったー、おかしかってー」

たく「虫歯になるから食べすぎちゃダメだよ。たったーみたいになると、痛い思いしちゃうよ?」

あい「あい!これたべたい!」

あお「これって・・・」

たく「虫歯にならないような知育菓子やんか。これ買おっか。やり方はたったーが後で教えるよ」

あい「ありがとう!」

たく「さぁて・・・愛央ちゃん、スイーツ買っておいで」

あお「きゃ〜♡たっくんイケメン〜!」

たく「あくしろよ」


相変わらず・・・(呆)。そんなこんなでいつもの買い物を終えて家まで帰ってくると、愛央とあいちゃんが2人でぎゅーってしてきた。


あお「あいちゃん!いくよ!」

あい「きゅぴ!」

あお「せーのっ!」

2人「(´。>ω<)ぎゅーっ!」

たく「どうしたの」

あお「たっくんしか勝たん!」

たく「謎」

あお「たっくん。あおはずっと、たっくんの横にいるよ」

あい「たったーいっしょ!」

たく「あんたら・・・ありがとね」

あお「一緒に寝よっ・・・」

たく「顔赤いけど?」

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