第12話 空手の全国大会に出た結果
たく「やばい、ひっさしぶりに道着着た」
あお「たっくんふぁいとー!」
あい「きゅぴー!!」
あお「とっちゃえとっちゃえ優勝、いっちゃえ〜♡」
俺が小学6年生の時に極真空手を辞めて以来、かなり久しぶりに極真空手の道着を着た。なお当然ひょろい俺は試合に1回しか出たことない。なのに今回はなんとうちの会社の武道部で空手の全国大会に出ることになったのだ。それで空手経験者を募ったところ、俺まで参加する羽目に・・・ふざけんな()
あお「団体戦とはいえ、たっくんが空手やるのは随分久しぶりだよね?」
たく「このためだけに何時間稽古したことやら。マジでぶち倒れそうで怖い()」
勝利の女神、愛央とあいちゃんはこの試合に俺が出ると聞いた瞬間朝から晩まで応援練習ばっかり。決勝戦まで出て欲しいと願ってずっとやってた。うつで死にかけだっつーのに、まだやるんかぁって思ってますわはい。なお俺はこのために久しぶりの稽古を必死で乗り越えた。昨日準々決勝が終わり、そこまでの試合に俺は出なかったが今日の準決勝から試合に臨む。愛央はこの日のためにチアの練習を毎日約2時間繰り返し、あいちゃんも幼稚園で先生とかに話していたらしい。
当日朝8時。準決勝、決勝戦の試合会場は地元君津の君津市民文化ホール。地元君津で、まさか全国大会の決勝をやるなんて。そもそも俺自身が参加するのは初めてだから相当緊張する。だけど俺は愛央とあいちゃんのために、そして会社のみなさんのために、本気で戦う。そんな気持ちでいると愛央が話しかけてきた。
あお「さむい・・・」
たく「早くね?」
あお「チアユニだったらもっと寒かったのかな・・・」
たく「11月なのにかなり冷えると思ってなかった」
あお「たっくんコートちょーだい」
たく「最初っから持ってこいよ。あとでばあちゃんに電話するか」
あお「ねぇツインテ作ってー」
たく「このクソガキめちゃくちゃ甘えてくるじゃねぇか。ってかツインテールは反則」
あい「たったー!きゅぴらっぱー!!!」
たく「おっ、今日は何が出る?」
あい「きゅーぴー!」
たく「防具!?持ってきたけど!?」
あい「純正品でちゅ。でもたったーが勝てるおまじないかけたきゅぴ!」
たく「やったろ・・・団体戦とはいえ、その日に出るのは1人だけで、俺が準決勝戦と決勝戦になったんだよなぁ・・・・・」
あお「がんばれ~!」
たく「よぉし、おめぇら!行くぞ!」
全員「お~!」
俺らは気合を入れて会場に入り、受付を終えたあとに最終調整に入る。愛央は今日久しぶりにチアユニではなく、制服風のコーディネートで応援するってよ。普段着ないプリーツスカートとブラウスを合わせ、紅白のポンポンを持って一生懸命応援するんだとか。寒いんだからニットくらい着てくりゃ良かったのに。
あお「たっくん第1試合なの!?」
たく「うん。まぁでもやってやんよ」
試合会場に入って約1時間、準決勝第1試合の時間が近づいてきた。ヘッドギアと防具を着けて圧倒的に無骨な姿になった俺に愛央がとんでもないことをしてきた。
あお「かっこいい〜!」
あい「きゅぴ〜♡」
あお「ちゅっ♡がんばって!」
たく「・・・行ってくる」
第1試合の対戦相手は関西の道場からの参戦だ。相手は俺の2倍の体格。ひょろいからって負けやしねぇ。愛央とあいちゃんのために、絶対勝ってやる・・・!!
審判「始め!」
あお「たっくん!!ふぁいとー!!」
昭仁「愛央、そんなでかい声出さなくていい」
あお「えっ?」
昭仁「匠のあの姿見てみろ。夜中に一生懸命練習してたんだよ」
あお「ほんとだ。愛央のチアに付き合ったあとあんなに練習してたんだ」
昭仁「しかも愛央はこのあとの決勝戦に全力で応援しなきゃいけないんでしょ?」
あお「うん」
昭仁「だから、見守ってやれ」
試合時間は約2分。これが終わればまずは一段落する。当然相手はかなり強いし俺は倒れそうになっている。でも、愛央やあいちゃん、そして親父を始め会社の皆さんのために俺はひたすら技を繰り出した。それから2分後、試合が終わって吐きそうになりながら判定を待つ。その頃、愛央やあいちゃんはどうなったかというと・・・
あお「ひっく!うぅ・・・お願い!」
なんと泣きかけていた。そして判定は・・・
審判「3対1で琴乃開発の勝ち!」
たく「ありがとうございました。対戦に感謝します」
大野「こちらこそ。決勝戦、期待しています」
あお「たっくううん!!」
あい「きゅぴぃ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
たく「はぁ・・・・はぁ・・・・」
あお「おつかれさまっ!すごかったよ!」
たく「泣くなよ。ほれ。決勝戦は午後だから。泣くのはあとにしてくれ」
あお「うん!」
たく「あー、ぎっぢ」
あい「きゅぴ!」
たく「ありがとっ。愛央、顔だして」
あお「えっ?」
たく「勝つよ。絶対に」
あお「・・・うん!」
たく「決勝戦、勝ったら君津で2泊する」
あお「おばあちゃんに会うの?」
あい「ばーばあいたい!」
たく「あとで会うから。待ってて」
それから4時間後、決勝戦の準備を始めた。決勝戦は14時から5分間、相手は全国大会5連覇中らしい・・・。
あお「うぅ・・・・たっくんが勝ちますように・・・フレフレたっくん負けないでっ・・・!」
たく「制服チアで応援するやつが今泣いてあじすんの」
あお「だって!相手は全国大会5連覇中だよ!!たっくん勝ってほしいもん!」
たく「お前らがいるだけで勝てる。いや・・・絶対に勝つ」
あい「たったー、だっこー!」
たく「いいよ」
あい「(´。>ω<)ぎゅー♡」
あお「あっ!愛央も〜!(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「そろそろ行くから。ほれ」
準決勝のダメージがかなり残る中、俺は決勝戦に挑んだ。先述の通り、相手は全国大会5連覇中だ。だけど、空手のルールには技あり勝ちというものがある。俺は相手にバレないようこれを使って勝つことにした。
14時00分、全国大会決勝戦が始まった。ダメージが残るため、かなり相手の技を受けて始まってしまったのである。
あお「フレ!!フレ!!たっくん!!負けないで〜!!」
あい「きゅぴー!!!!」
たく「行くか・・・おらあ!!」
技あり一本目が入った。一度試合が止まり、技ありということが伝えられる。時間は残り3分、相手は技ありなし。というか、俺が身長小さいせいで技ありが逆に入らないのである。162.5cmは実は有利なのか?
あお「あと一つ。時間は3分」
あい「ぎゅー・・・ぴー・・・」
審判「始め!」
試合が再開し、愛央やあいちゃん、それから会社の人たちはかなり応援した。疲弊している俺の体を鞭打つかのように俺は戦った。そして再び始まってからおよそ1分後、なんと俺は倒れてしまった。相手は倒れても攻撃してくる。キツい・・・。
唐澤「おらぁ!ゴラァ!!!!」
たく「うっ・・・うぅ・・・」
あお「たっくん!!」
あい「たったー!!!」
昭仁「無理が効いたか!?」
審判「やめ!」
あお「たっくぅん!!!!ひっく・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
審判「唐澤商業の反則負けとします。規則では、倒れた相手に攻撃するのは反則となります。よって、琴乃開発の勝ちとします」
あお「うっ・・・!やったぁ・・・!!」
たく「・・・」
昭仁「全社員、匠を助けろ!これは社長命令だ!」
社員「はい!」
昭仁「愛央とあいちゃんは、ばあちゃんちに行くよ!」
あお「うん・・・」
あい「あい・・・」
試合が終わっておよそ2時間後、俺は意識を取り戻した。目の前には親父しかいなかった?え?
昭仁「・・・お前が優勝したぞ」
たく「え?いや待て、ここどこよ」
昭仁「玄々堂」
たく「なんで玄々堂にぶち込んだんだよ!」
昭仁「ここが近かったんだよ勘弁して()」
たく「ったく。んで、入院なの?」
昭仁「検査入院だから」
たく「ぶっ倒れてあの後俺どうしてた?」
昭仁「愛央たち泣いてたよ」
たく「マジか・・・」
昭仁「でも相手の反則負けで勝ったんだからいいじゃねぇか」
たく「はぁ」
検査結果は異常なしとのことで、翌日退院。君津はここ行けば何があるか分かるから地図をあんま見ない。正直わかりやすい。とりあえず、ばあちゃんちに直行した。
あお「おにいちゃーん!!うわあああん」
たく「ごめんな。愛央。心配かけちゃって。泣くとメイク崩れるべ。ほれ、ハンカチ」
あお「大丈夫なの・・・?」
たく「うん。何とか」
あお「ぎゅー♡」
祖母「聞いたよたっくん。倒れたのに優勝したんだって?」
たく「ばあさんいつの間に聞いてたんだよ・・・ってか、あいちゃんは?」
あお「寝てるよ。寝顔が超可愛いの!」
たく「愛央に似てる?」
あお「うん!たっくんもみたら可愛いって言うよ!ね!ほら!可愛いでしょ!!」
あい「くー、くー、くー」
たく「よく寝てる。ほんとに愛央に似てるね」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡お兄ちゃん大好きっ♡」
たく「そいや今日は11月19日日曜日だから。愛央ちゃん、誕プレ。ハピバ」
あお「ありがと〜!!お兄ちゃん大好き!」
たく「おらちとあいちゃんと寝るから」
あお「お兄ちゃん♡。私からも誕生日プレゼント!あーるーよっ♪」
たく「いやあんのかいな」
あお「お兄ちゃん♡お誕生日おめでとう♪」
たく「そんときだけ妹感出すなよ・・・・」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡」
俺は少し寝ることにした。正直まだ眠いから。だけど愛央、なんか変わったか?
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