第9話 有給休暇取ったから君津帰る
たく「浜井さん、いまお時間よろしいですか?」
浜井「おぉ、匠くん。愛央ちゃん。珍しいね」
あお「愛央たち、有給休暇欲しいんです・・・」
浜井「いきなりどうしたの?」
たく「夏休みとかを避けて今にしたのは、あいちゃんとゆっくり過ごしたかったり、あとは少しお墓参りに行きたいと思いまして」
浜井「あいちゃんは今元気かな?」
たく「朝起きると僕の上に乗っかってきますよ」
浜井「分かった。有給休暇をあげよう」
あお「ありがとうございます!」
たく「ほんといきなりなのに申し訳ないです。ありがとうございます」
俺らはこうして9月に有給を取ったのだがあいちゃんはまだそれを知らない。半ばドツキリ状態で退社したのだ。今日は愛央があいちゃんを迎えに行くらしく、俺は一足先に風呂に入ったのであった。一方俺が風呂に入っている時間、愛央は何をしていたのかというと・・・
あい「ねーねー!」
あお「ただいま~♡」
先生「こんばんわ。今日は匠くんじゃないの?」
あお「私迎えに来たかったんです!あいちゃんがこんなに喜んでるのが見たくて!」
あい「ねーねー、たったーは?」
あお「たっくんはお家で待ってるよ。帰ろっ」
あい「てんてーばいばい!」
あお「さようなら!帰りますね!」
先生「また明日。さようなら」
あお「愛央だっこしてあげる!」
あい「ねーねーぎゅーきゅぴ!」
あお「かわいい〜!」
あい「あい!」
推しを見たのかというくらいあいちゃんと愛央ははしゃいでいた。一方はしゃいでいるあいちゃんと愛央に夜飯を作っている俺は何も知らずいつものように待っていた。
あお「ただいま〜♡」
たく「おかえり。わりーねぇ、あいちゃん迎えにいってもらって」
あお「ぎゅ〜♡♡♡」
たく「よしよし。あいちゃんも元気にしてた?」
あい「あい!」
たく「よし愛央、荷造りすんぞ」
あお「うん!」
あい「きゅぴ?」
たく「俺らな、有給取ったんだよな」
あお「だから、あいちゃんのおばあちゃんに会いにいくよ!」
あい「えっ!?」
予想通り目が輝いている。あいちゃんは俺らと同じでおばあちゃん家に行くのが大好きだからだ。今回はあいちゃんが初めてお出かけ荷物を詰めるので、愛央はひたすら応援していた。
あお「がんばって!あいちゃん!」
あい「あい!」
たく「さーてあと何入れようかな」
あお「たっくん!あれいれた?」
たく「入れた入れた。あとは当日に愛央のハーフアップを作るだけ」
あお「ありがとっ!明日ってグリーン?指定?」
たく「MV30で指定発券済み」
あお「さすが〜!」
翌日明朝、3人で朝から君津へすっ飛んだ。あいちゃんは朝早いからまだぐっすり寝ている。
あい「くぅ・・・くぅ・・・」
たく「寝てっぺなぁ。よう」
あお「たっくんもさっきまで寝てたじゃん」
たく「こちとら仕事してたんだっつーの」
あお「じゃあチア踊って応援する〜♡」
たく「やっぱりねぇ」
あお「今日はたっくんにツインテ作ってもらったから応援しやすいかも!」
たく「結局かい」
あい「くぅ・・・くぅ・・・」
たく「仕事仕事・・・」
あお「頑張れっ♡」
たく「あこいつやばいわ」
指定取ったとはいえその車内でチア踊るのは反則やがな。いつもは普通のさざなみで君津に行くのだが、今回は新宿を朝7時50分に出る土日限定の新宿さざなみ号(以下新さざ)で君津に行くことにしたのである。
あお「新宿から君津行けたんだ・・・」
たく「うん。行けたけど」
あい「うぅぅぅ・・・」
たく「やべー・・・」
あお「愛央があやすよ♪」
あい「うぅぅぅ・・・ひっく」
あお「お腹すいたの?」
あい「きゅぴ・・・あお?」
たく「飯はあるから、食べて」
あお「え!いつの間に!」
あい「あいたん食べる!」
たく「しーっ。あいちゃんはこれ。特製あいちゃん大好物弁当!愛央にはチア弁!」
あお「チア弁?」
あい「あいたんの大好きなものばかりだ〜!」
たく「チア弁の中身は、愛央をイメージして色々入ってる。愛央の嫌いなものは一切入れてない。ちなみに、デザート付きだぜ?」
あお「ありがとう!デザートは、これ?」
たく「うん」
あお「わぁ〜、いちごが入ってる!」
たく「赤いポンポンをイメージしていちごを2つ。豪快にとちおとめだからくそ美味いぞ」
あお「これをイメージしたの?」
たく「うん」
あお「ありがとう!」
自作弁当を食べてる2人を横目に昨日の仕事を片していた。その15分後、お隣(7km)の木更津に着いてしばらく走ると君津に着いたのだ。
あお「帰ってきたね!」
たく「10日間、ゆっくりするか〜」
あい「たったー、ばーばいた!」
たく「は?うわあいつまじかよ」
祖母「こんにちは」
あお「来たの!?」
たく「連絡くらいよこしてからいろや」
祖母「あれ?昭くんに電話したはずだよ?」
たく「親父ぃ・・・」
祖母「あいちゃんも休んだの?」
たく「休み。というか、幼稚園がこの時期ないらしい」
それから祖母宅に移動して荷物を置くと、俺はとっさにじいちゃんの仏壇に座った。俺と愛央が4歳の時にじいちゃんは脳梗塞で無くなり、早今年で14年が経つ。毎度君津に来ると俺は必ず仏壇の前で正座し、手を合わせて帰ってきたことを伝えるのだ。そうやってやると必ず愛央も座って手を合わせる。これがもはやルーティンとなっているのである。
たく「じいちゃん。琴乃匠、戻ってきたよ」
あお「愛央も。帰ってきたよ!」
たく「これから10日間、お世話になります・・・っと。よーし愛央、木更津イオン行くぞ!」
あお「お〜!」
あい「あいたんばーばとお留守番してる!」
たく「じゃあ俺ら2人でデート行くか」
あお「やった〜♡」
たく「んだばあちゃん。あいちゃんお願いね。飯はあんかこっしゃっとくればあんでんねぇから」
祖母「んだ」
ばあちゃんとあいちゃんを置いて愛央を連れて木更津イオンに行くことに。またかと言われそうだが俺と愛央のデートスポットはそこ以外地味なものである。
あお「可愛い服着てきて正解♡またたっくんとデート行くなんて愛央最高!」
たく「それはそれは」
あお「今日服買っていい?」
たく「自分の金なんだからすきにしな」
あお「やった〜!」
たく「さてさて、俺何買おうかな」
あお「たっくんはかばんを買ったら?」
たく「それいいかも。今1000円税別で売ってるんだよな」
あお「えっ!安い!」
たく「俺も思った」
愛央と話してるとなんか落ち着くのは昔からの俺のくせである。愛央はチアリーダーってこともあるけど、1番のパートナーだからかな。
あお「これたっくんに合うかも!」
たく「マジで?」
あお「ね!かっこいい〜!」
たく「ありがと」
あお「あ!これ可愛い!たっくん、どう?」
たく「それでチア踊ったら俺確実に気絶するぞ」
あお「100パー応援できるよ!」
そんなこんな2人でおよそ2時間後、愛央は満足した模様。一旦祖母宅に行ってあいちゃんと遊ぶことにした。
あい「たったー!」
たく「ただいま。あいちゃんいい子にしてた?」
あい「あい!」
たく「おーよしよし。たったーと遊ぼっか」
あい「やったー!」
あお「たっくん、帰ってきたら手洗いうがい、だよ」
たく「あぶね、忘れてた」
あお「終わったら愛央にハーフツイン作って!おばあちゃんとカードゲームやるんでしょ?」
たく「やる。うん。それが」
あお「応援!忘れちゃった?」
たく「なるほど・・・駆け引きを制すために愛央がチアリーダーになって応援するってことか」
あお「うん!さっきのミニスカ着て・・・あ、裏地付きだから見せパンいらないのね!」
たく「回れるじゃん」
あお「ね!脚上げて応援もできる!やった〜!」
その後、愛央が横で応援した結果まさかの引き分けに終わった。やっぱり、君津の方が過ごしやすいのかな。
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