第6話 あいちゃんの運動会!だけどあいちゃん、大泣き!?

あいちゃんの幼稚園では毎年6月に運動会をするらしい。今日がその当日だと。これを聞いた俺と愛央は見に行くことにした。愛央はもちろん、いつものあれをやろうか悩んでいるのだが・・・


あお「たっくんー」

たく「あにした?」

あお「あいちゃんの応援・・・どうしよう」

たく「毎年のようにハーフアップ作ってって言わねーんだ。へー、めずらし」

あお「ほら、幼稚園だからあいちゃんにプレッシャー与えちゃうかも」

たく「お前があいちゃんにどうしたいかだよ」

あお「チア踊って応援したい」

たく「ここはあいちゃんに聞こうか」

あお「うん!あいちゃーん!」

あい「きゅぴ?」

あお「お姉ちゃんに、応援されたい?」

あい「あい!ねーねー応援して!」

たく「マジかいな。本気で言ってんなこの子」

あい「たったーお弁当ちょーだい!」

たく「作ったよ。あいちゃんの好きなものだらけ」

あい「いつものは?」

たく「運動会くらい好きなもの食えよ。な?」

あい「ありがとう!」

あお「たっくん、この服で行きたい!あでもツインとハーフアップ、どっちにしよう」

たく「たまには髪下ろしたまま応援してみたら?違った意味でいいかもよ?」


俺はあいちゃんと遊びつつ愛央を待っていた。なげーなとは思ったけど、女子は準備に時間がかかるから仕方ないね。


たく「顔赤くなってんじゃねぇかお前」

あお「ぎゅ~♡いいもんっ!たっくんがいるから!」

あい「あいたんも!」

あお「あいちゃん、頑張ってね!」


あいちゃんを連れて久しぶりのこの道。俺らが高校卒業してから通ってなかったが、どうやらこの道、あいちゃんの幼稚園にもそのまま行けるようで。これはこの前あいちゃんから教えてもらったのである。そんなあいちゃんと歩いているといきなり俺の服を引っ張ってこういったのだ。


あい「たったー!いつもとちがうでんしゃきたー!」

たく「えっ?ガチ?」

あお「あれって・・・」

たく「待ってシテンじゃん!!ちょデジカメあれ何処だ」

あお「でもまだ動いてないよ?」

たく「そらそうだろうけどよ、あれシテンの中でも不定期シテンだぞ。まだ朝8時なのに。天電のシテン、毎日9時頃に2往復乗務員訓練で設定してあるのに。不定期となると今日3本走んのかぁ?」

あお「不定期ってことはいつ動くか分からないの!?」

たく「そういうこと!あいちゃんよく見っけたね!すごいよ!」

あい「しゅごーい!!」

あお「あっ、踏切降りた!」

たく「よし・・・」


そして編成で写真を撮ると、愛央があいちゃんを抱いて俺の方に来た。


あお「どんな感じ?」

たく「完璧。新車かな?」

あお「編成番号は701だから、700形だね!」

たく「全検明けやからピッカピカ。あれでも定期シテンでやらないんだ・・・」


俺はそう思いつつ、また幼稚園に向かって歩き出した。時間がやばいけど、線路沿いにあるらしくあいちゃんは毎日はしゃいでいるのだ。生粋の鉄オタかよと思いたいが誰のせいだろうかね。


あい「ばいばい!あいたんいってきます!」

あお「がんばってね!愛央一生懸命応援しちゃうから!」

たく「デジカメもっとこ。あとで親父に見せるから」


しばらくして運動会が始まった。あいちゃんはぐずったりしながらも頑張っている。愛央は横でずーっと見てるだけ。しばらくするともう最後。あいちゃんたち3歳クラスはここまでで終わり・・・らしいんだけどあれあいちゃんは?


あお「終わりなのかな?あいちゃん来ないけど・・・」

たく「おい・・・ありゃあ、泣いてる。愛央、行くよ!」

あお「うん!」

あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

先生「どうしたの!あいちゃん!」

あい「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!びえええええええええええん!!!!」

たく「ちっ、こりゃあ参ったなぁ・・・」

あお「先生、ここからは愛央たちに任せてくださいっ!」

あい「えっ・・・たった・・・?あお・・・?」

たく「よっ。どした?あんかやだった?」

あい「たったー!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

たく「とりあえず俺らは帰ります。スンマセン。ご迷惑をおかけしました」


とりあえず幼稚園からあいちゃんをだっこして帰って来ると、あいちゃんが理由を話してくれた。


あい「あいたん、かけっこでいちばんさいごだったの・・・」

たく「なぁるほーどねぇ・・・。だからあんなに泣いてたと。よし、たったーとやる?」

あい「えっ・・・?」

あお「うち、応援するよ!」

たく「さすが現役チア部。あいちゃん、やろっか」

あい「きゅぴ・・・」

たく「よーい、どん!」

あい「きゅーぴー!」

あお「がんばれっ!ふたりともっ!」

たく「あいちゃんの勝ちー」

あい「やったー!」


あいちゃんが喜ぶならあんでもいい。それがオレのスタンスだ。あいちゃんは戻ってくると俺にこう言った。


あい「たったー、ありがとう!」

たく「楽しかった?」

あい「きゅぴ!たったー、ごはん!」

あお「愛央も食べたい!」

たく「よし、作るぞー」

あお「がんばれーっ!」

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