第5話 甘えん坊とオタクの一日観察日記?
うつ病になってしまったとはいえ高校時代と変わらずの朝4時半。いつものように朝ご飯を一人で作る。ただ作業量が増えたのが今の俺。
あいちゃんが幼稚園に入ってからお弁当を作るようになったのだが、あいちゃんは俺の作る弁当と執事たちが作る弁当、どちらがいいか選んでもらった所、あいちゃんは即決で俺の弁当を選んだ。つまり、あいちゃんは慣れ親しんだ味を好むということがわかった。
愛央が起きてくるのは朝5時と1時間繰り上がり、愛央がデートやチアをすぐできるメイクをしている間にあいちゃんを起こしてぎゅーをする。そしてあいちゃんと軽く遊んでからご飯を食べるのだ。
あお「あいちゃん!どう?」
あい「あおかわいい!」
たく「いつものやつだな」
あお「うん!愛央着替えてくるね!」
実はうちの会社、特例で俺と愛央に限り私服出社がOK。まぁこれは社長ことうちの親父がネクタイとかで首がきつくなって嫌なら最初からスーツは着なくていいよという配慮の下である。だがさすがにね、ボロボロはありえんからな。企画部とはいえ、成果発表会とかあるときはスーツかな。愛央はチュールスカートとジャケットで速攻まとまるからいいなぁとは思いつつも。
あお「戻ってきたよ!」
あい「たったー、べんとーちょーだい!」
たく「よしかんせーい。はいどうぞ」
あい「あーちょ!」
あお「たっくん!」
たく「んだよ」
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「ふっ。よしよし。髪作ろっか?」
あお「お願いっ!」
愛央は就職してから、ハーフアップにアイボリーのチュールスカート、青のニットがメインになった。髪はポニテでもいいらしいんだけど、より可愛くなるからって。朝はいっつも頼りっきり。作り終わるとあることが始まる。
あい「たたったたー、たたったたー!へへっ」
たく「すんごい楽しんでるなぁ」
あい「あい!たったーあしょぼ!」
たく「よーしできた。愛央、これでいい?」
あお「うん!いつものチアリーダーになったよ!今日は水色のチュールスカートとベージュのブラウスにしたの!」
たく「そらぁいいや。さぁあいちゃん、遊びましょっか」
あい「あい!たったーからにげるー!」
たく「まてー」
あい「きゅぴらっぱ〜♡」
たく「ちっ、まじか・・・・」
あお「わたし、ポンポン持って応援する!ふれーっ♡ふれーっ♡たーっくーん♪ふぁいとっ♪行っちゃえ〜!」
たく「よし・・・それぇ」
あい「きゅぴ!?」
たく「捕まえたー」
あい「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
たく「また次やろうねほーれよしよし」
あい「きゅぴ・・・」
たく「余計な労力使った。さー飯食べよ」
あお「今日の朝ごはんは?」
たく「今日何作ったんだっけ?あそだ、フレンチトーストだ」
あいちゃんと遊び終わるとそのまま飯。6時ころにいつも食べる。そしてようやく今日の仕事・・・・になる前にあいちゃんを送りに行くのだ。
あお「今日も一日、がんばろっ!」
あい「あい!」
たく「じゃああいちゃん送ってくるから、あいちゃん愛央にぎゅーってしな」
あお「がんはってね!あいちゃん!」
あい「きゅーぴ!」
あお「次はっ・・・たっくん♡」
たく「あー応援したいんでしょ?」
あお「ふれーっ、ふれーっ♡たっくんふぁいと~っ♪」
たく「あっ変わらずだなこの娘」
本格的チアリーダーの琴乃愛央、やはり穏やかじゃない。俺はあいちゃんを送って家に戻ってくると、愛央がぎゅーって抱きついてきた。
あお「(´。>ω<)ぎゅー♡」
たく「やっぱ好きなんだ。今日3回目」
あお「私の推し、たっくんなのに・・・ぴえん」
たく「別にいいけどさ」
あお「今日何する?」
たく「今から・・・あそか、もう在宅ワークか。じゃあ、愛央チア踊っちまえ」
あお「そっか!会社であまり大きな声出せないけど家ならいくらチアリーダーになって応援しても大丈夫だよね!」
たく「なにやろっかな・・・」
あお「チア部っぽく応援していいよね?」
たく「いいよ。あちょ待って」
あお「えっ?」
たく「踊るならチアのリボンないと愛央踊れないでしょ?着けてやるから座って」
あお「やった~!」
仕事前に何やってんだと言われそうだがこれが日常である。愛央はいっつも応援したり俺が辛くなったときは励ましてくれるから、そのおかげでどうにかなってる。だから髪とか俺が色々やっているのだ。
たく「やりすぎには気をつけろよ。足くじいたらおいねぇからな」
あお「うん!」
たく「さぁてさぁて、やるかぁ」
あお「ぎゅ〜〜っ♡」
たく「ったく・・・」
あお「今日は何を作るの?」
たく「商品のアイデアがないとなぁ・・・」
あお「愛央、これ作って欲しい」
たく「なにこれ」
あお「IT初心者の教科書。たっくんなら愛央がほしいの作ってくれる?」
たく「試しに作ってみる?」
あお「うん!じゃあ、フレ!フレ!たっくん!がんばれがんばれたっくん!」
俺は愛央に頼み込まれた教科書をひたすらワードのパチモンで打っていた。1時間くらい打っていると愛央が後ろからぎゅーって抱きついてきた。これが毎度恒例でめちゃくちゃ可愛いのは【公然の秘密】である。
あお「(´。>ω<)ぎゅーっ♡」
たく「1時間たった?」
あお「うん!あとね、部長さん来たよ!」
たく「なんでそれを先に言わないんだよ・・・浜井さんすいませんどうもおまちどおさまでした」
浜井「いいよ。いきなりごめんね。それで、君たち2人に話があるんだけんど」
たく「浜井さんからお話?珍しいですね・・・」
浜井「君たち、有給がそろそろ来るんだよ」
たく「まじすか・・・在宅なのにもらっていいんです?」
浜井「今年は10日、付与しなきゃいけないから自由に使ってね。愛央ちゃんももちろん付与するから」
あお「愛央も!?」
たく「労基に怒られるから早めに使うか」
あお「うん!」
浜井さんに今の状況を伝えてからまた作業をしていると気づけば16時になっていた。ということは、あいちゃんが帰ってくる時間である。あいちゃんが行っている幼稚園の送迎バスが俺らの家の前にある方南バスの停留所と同じところに来るので、あいちゃんはそこから一人で上に上がってくるのだ。
あい「たったー!」
たく「お、けえってきた」
あお「おかえり〜!!」
あい「きゅぴ〜!へぇ!」
たく「あいちゃん今日は何やった?」
あい「えーっと、これと、これー!」
たく「これって・・・」
あお「愛央とたっくん?」
あい「あい!」
たく「・・・上手くね?」
あお「たしかに・・・」
あい「たったーとあおがあしょんでるところ!」
たく「よく書いたな・・・」
夜になり20時頃にあいちゃんを寝かせたあと愛央のチアの練習に付きそってあげることにしている。朝に時間がなくなり、夜あいちゃんを寝かせてからやるようになった。そうしたほうが愛央は集中できるのである。
あお「ふぁい、お〜!」
たく「勝利の華。さすがだな」
あお「今日もたくさん練習して、応援しなきゃ」
たく「いいよ。普通に可愛く応援するだけで」
あお「おっけー!じゃあ・・・(´。>ω<)ぎゅー♡♡♡♡」
たく「やる必要あるかよ・・・」
こうして、俺らの1日が終わるのであった。
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