第3話 入社歓迎会!
4月10日。遅かれ早かれもう入社して1週間が立った。今日は入社歓迎会ということで、新入社員達が自己紹介とそれから一発出し物を絶対にやらないといけないので俺と愛央はふたりでそれぞれ準備していた。まぁお察しの方もいらっしゃるだろうがうちの愛央はいつものアレをしていた。
あお「Go!Fight!Win!Foooooo〜♡」
たく「すげーなー相変わらず」
あお「たっくんも、がんばれ〜♡」
昭仁「おっ、やってるやってる」
たく「父ちゃん!?」
あお「パパ~!見て!愛央ね、チア踊るの!」
昭仁「可愛いじゃん。え、まさか・・・」
あお「もちだよ!社長のパパも、部長さんも愛央が応援するの!」
たく「えっ俺は?」
あお「たっくんは・・・あとでたくさん応援してあげる!」
たく「は、はぁ。ところであじしたの?買い物いくなら原付乗るけど」
昭仁「いやねぇ、入社歓迎会で審査員務めることになっちまってよ・・・」
たく「・・・はっ?」
あお「えっ?」
昭仁「ほんとはあおたくの手伝いしてやりたいんだけどね。審査員やらなきゃいけないから」
あお「ぴえん。審査員だと応援しづらいじゃん!」
たく「ぐずんなよったく。でも父ちゃんよ、えこひいきなんてせんべ?」
昭仁「せんから安心せぇ」
たく「先輩方ひいきしたら飯夜奢りな」
昭仁「それだけはおいねぇって」
あお「ぎゅ〜〜〜♡」
昭仁「愛央も頑張ってね」
あお「ありがとう!」
そして愛央は気合を入れて、どころじゃないくらい可愛く応援し始めた。俺はずーっとパソコンとにらめっこしてるけど、愛央は顔を近づけてまで応援してくるのであった。ハーフアップが当たってるし、赤いチアユニに白いポンポンが映えるのは気のせいか?
あお「がんばれ♪がんばれ♪たっくん♪」
たく「えーと、これがこうなってこうしてこうであそうだこうしてあじしてんだけんべさ・・・」
あお「たっくん♡うまく行きそう?」
たく「うわぁ、あにしてんだよ・・・」
あお「愛央が応援したら、たっくんがもっとすごくなるから!」
たく「ったく・・・」
あお「昨日の自分に勝っちゃえ〜♡」
たく「可愛すぎだよ。反則すぎや」
あお「あおね、たっきゅんが買ってくれたポンポンを振っていると、応援してる感じがするの!」
たく「ばーか。あ、そろそろあいちゃん連れてかねぇとおいねぇや」
あい「たったー!」
たく「よしよし、行こかそろそろ」
あい「あい!」
そして幼稚園に送って家に帰ってくると愛央が準備万端だった。帰ってくると愛央がずーっと抱きついた。
たく「ただいま・・・おいてめぇ、まさか」
あお「おかえり〜♡」
たく「やっぱり・・・ん?あれ?愛央?」
あお「たっくんは私のもの!離さない!」
たく「変わんねーな。そこだけは」
あお「1位になろうね!二人で!」
たく「・・・はっ?個人戦じゃねぇの?」
あお「なんか委員長さんからね、チーム戦になったんだって。いきなり」
たく「だるっ。ったく。あでも親父が決めたわけじゃねぇのか」
あお「でもね、そのチームは新人社員同士だったら誰でもいいんだって!だから、私はたっくんと組みたい!」
たく「いいけど何、えっ?」
あお「愛央がチア踊るから、たっくんはあれ披露しよっ」
たく「は?」
あお「この前やってたじゃん!」
たく「あー、落語か」
噺を思い出した俺は急いで着替えて会場に行った。愛央はハーフアップに赤いリボンをつけて、いつものチアリーダーに変わった。緊張しているのか、ずっと俺の右手を握っている。
あお「一番最後」
たく「うん。やるっきゃねぇな」
そして俺らの出番になった。愛央が最初に一人でチアを踊ってその後に俺の出番となる。噺を忘れちゃうとおいねぇから今のうちに思い出さねば。と思っていたのもつかの間、愛央が降りてきて俺の出番になった。
あお「Foooo〜♡ありがとうごさいました!」
たく「おつかれさん」
あお「ぎゅー♡」
たく「緊張の糸が解けたんだな。あとでずっとぎゅーってやっていいからあとは俺に任せな」
あお「がんばれ〜♡」
たく「えーどうも。商品企画部新人、大トリの琴乃匠でございます。お一つよろしくお願い申し上げます。私は最近世の中がだいぶ変わってきたと思います。何が変わったのかと思いますと、お名前ってのがすごい日本らしくなくなったと言いますが。可愛い子は可愛い名前だしかっこいい子はかっこいい名前だと。シンプルな名前から飛び抜けた名前だとかまぁ色々ありますね。例えば女性の名前を伺いますと今のお年寄りの方々はムネさん、マツさん、ちょっと時代が進むと禮子さんとか祥子さんとか。いいお名前でいらっしゃいますけど今の子はどうです。あかね。こころ。あお。あこれは私の妹ですけどもあくまで一例ですがその子供たちももおばあちゃんになるとねぇねぇりかおばあちゃま。なぁにてぃあら。日本じゃなくなるのかというくらいに今はキラキラネームブームでありますがね。まぁお子様のお名前というのは親が愛情を注ぐ第一歩だと私は感じておりますが異常に苦労するのはこれまた事実でありまして。そんな中でとあるお宅に一人の男の子が生まれました。ちょいとお前さんちょっとどうする気だい?何が。何がじゃないわよ七夜よ。しょうがねぇなうちは貧乏だから。んだら物出せよ。ちた出かけてくるわ。どこ行くんだい?質屋だよ質屋。質屋じゃないわよ。もう生まれて7日立つのよ。おーそうかい。バカタレかい。それを言うならお七夜よ。それじゃ名前つけなきゃいけないからお寺さん行ってさ名付け親になってもらいなよ。お前こそ馬鹿言うなよ。だってそうだろ。寺ってのは死人を連れてって葬式をして銭を稼ぐんだからよ。人が死ぬと喜んでんだからよ。んなところでつけたら早死しちまうよ。そんなことないよ。お寺さんでつけてもらうとね、逆が順に凶が吉に変わるようにおめでたくて長生きするそうだってから、よくお願いしてさ和尚さんに名付けてもらいなよ。んだぁあんたの言ってるこた信用できっからちっと行ってくるわ。ってことで子供を連れて近くと言いましてもね3キロ離れてるお寺さんに向かったわけです。こんちわ和尚さんいらっしゃいますか。はいはい、縁側にお回りくださいませ。あらこれは杉田さんなにか御用でいらっしゃいますか。いや実はね、息子が生まれまして。それがこの子なんですけども。それでいい名前ってのがありませんかね?できれば長く生きる名前がいいのですけど。それでは鶴は千年というものですから鶴太郎鶴之助とかはいかがでしょう。千年で死んじまうのかい。もっと長い名前を。それでは亀は万年というものだから亀丸亀太郎などはいかがだろうか」
あお「噺が成功しますように・・・」
あい「ねーねー、たったーしゅごいね」
あお「あいちゃん!二人で見よっ」
あい「あーい」
そして俺が落語を終えて最後の表彰式に移る前、愛央とあいちゃんが俺のところに来て抱きついて来た。愛央は安心しきった顔をしていたのであった。
あお「たっくーん!すごかった!」
あい「あい!」
たく「汗がすごい」
あお「ぎゅ〜♡♡♡」
あい「きゅぴ〜♡」
表彰式の結果は審査員賞。何か賞が貰えればよかったのでこれはうれしい。部屋に帰ってくると、愛央がずっとぎゅーってしてきた。よっぽど嬉しかったんだろうな。
あお「やったね!たっくん!」
たく「やったな。愛央」
あお「愛央、自信ついたかも!」
たく「家帰ったら飯だな」
あお「その前に!」
たく「よし、来い!」
あお「ぎゅ~〜〜♡」
大喜びの俺らは家でひたすら夜パーティーをしたのであった。
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