第65話 春のダンス大会に向けて 続1
「ま、
「
なんだか名字でお互いを呼び合うなんていつぶりだろう。初心に帰ったようで新鮮だった。そしてなぜか
「優香、ちょっと恥ずかしがってんだよねぁー。真島くん教えたいって言い出したの優香なのにねー」
「や、やめてよ。
どういうことだ!? 優香が俺に自らダンスを教えたがっていただって??
でも毎日一緒に夜はいるはずなのになんでテレてるんだろう。
もしかしたらテレているのではなくて引いているのでは??俺のダンスの下手さに。
「てことで、真島くん!優香のことよろしくね!」
そう言うと、
女子怖ぇーーと改めて思った。
「じゃぁ、幸太くん! 残りのロングの時間練習しよ!」
「綾間さん、
「あ、ごめん……」
一軍女子がいなくなって気が緩んでしまう優香。なかなか可愛い。
普段学校にいるときはみんなに怪しまれないように接触を控えているので、こんなに近くで優香のことを見るのはとても新鮮だった。
これからダンス本番まで優香と話していてもあまり怪しまれないということだ。しかもダンス本番が終わってしまってもダンスきっかけに仲良くなったと誤魔化せばなんとかなるのでわざわざ隠れて話さなくても良くなる。
聞かれちゃまずいことは言えないけど。
「それじゃあまず!両手を腰のあたりにおいて、顔は下を向きます。それで――」
「ま、全くわからない……」
「だよね。大丈夫ゆっくりでいいから毎日練習しよ!」
「今踊ったところって全体のどのくらいかな?」
「うーん。五分の一くらいかなぁ」
まじか……と絶望しそうになるが、優香が教えてくれているおかげでなんとか続けられていた。いつもならもうとっくにやめて、『本番は休もう!』とか考えている頃である。優香の後ろ姿を見ながら
はたから見たら多分なんテンポか遅れて見える。ていうか何踊ってるのかさえわかるかわからないかだ。
それでも優香は怒ったり呆れたりすることなく少しできるようになっただけでも、満面の笑みで褒めてくれる。神かこの子は。優香のためにも期待に答えないと!
「お疲れ様!!」
「お、お、つかれさまです……(死にかけ)」
ロングの時間での練習が終わった頃には体力はゼロに等しく体も立っているとフラつく。
これは明日全身筋肉痛で涙出るやつだ、絶対。
学校が終わってなんとか自力で家まで戻ると、元気そうでピンピンした優香はもうお風呂に入っていた。
そりゃ一緒に一時間ぶっ通しで踊ったんだもんな……と思いながら、ソファーにゆっくり腰掛ける。
少しすると優香がお風呂から上がった音が聞こえてリビングに入ってくるのだが……
「は、はだか!????」
「なっ!? 違うよぉ!ちゃんとタオル巻いてる!」
「巻いてるだけ!?」
「幸太くんあんまりこっち見ちゃだめ!!えっち!」
やばい……。鼻血でそう。
優香はタオルを巻いてると言ってはいるけど、ほぼ裸。布が無い面積がわりと多くて、しかも身体のラインがはっきり見える。健康優良ボディーとはこのことだ。
「あんまり見てると夜のレッスンもしちゃうからね!」
「夜のレッスン!?!」
だめだ、頭が……。
だんだん意識が遠くなって視界が小さく……。
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