2 SECOND Love
第61話 動物のアニメ鑑賞
「
「おぉ!! すごく美味しそう!」
「もうすぐ桜が咲く季節なので、いちごシロップとさくらチップをのせてみました!」
今なお肌に寒さが伝わる朝。
甘い匂いに誘われて起きると、ダイニングテーブルに二人分のパンケーキ。そしてエプロン姿の
まだ外は少し暗いから部屋全体に明かりがついている。
「外が暗くて部屋の電気つけないといけない朝っていいよね」
「え!? 私の心読んだ!?」
「優香も??」
優香と僕の思考や行動は似ていることが多々ある。共同生活を共にしていく中でお互い似ていっているんだと思う。
「今日は特製ブルーベリージャムも用意したからパンケーキにのせて食べるのもいいかも!」
「これ前食べた美味しいやつだ!」
「そうそう!!」
ブルーベリーが甘酸っぱくて軟らかい優香特製ジャムは前にも食べた事があった。
優香曰く、いちごシロップとブルーベリージャムでベリーベリーパンケーキらしい。
「どう!! おいし?」
「うん!」
僕が見るこの大好きな笑顔も、許嫁という結付きの糸が切れてしまったら綺麗サッパリ何事もなくなくなってしまうのだろうか。
そんなことを考えていると優香がじーっと顔を見つめてくる。
「なにか顔に付いてるかな?」
「ううん。なんか幸太くん、疲れてるかなぁって思ったりして」
「そうかなぁ。考え事してたからかな? ごめん!」
「大丈夫。なにかできることがあれば遠慮なく言ってね!! 私も幸太くんに沢山助けられてきたし、喧嘩もあったけどこれからもずっと一緒にいたいから旦那様のケアは奥さんがしっかりしないと!」
こんなに大切に思ってくれる人が近くにいるのだから頑張らないと。優香の言葉に勇気づけられ、お互いが『ずっと一緒にいたい』という同じ目的を掲げて生活していることに安心した。
出会う前までは許嫁なんてアニメとかドラマの世界でしかありえない、現実では理解できないフィクションな関係だった。
当時、女子と話すことも苦手で学校の授業のプレゼンテーションでさえ、女子の前で発表することに怖がって
でも優香と出会って変われた。前よりも明るくなってクラスにも馴染めてきて、会話にも自然と混ざる事ができるようになった。
多分、偏りのある考え方に視野が広がった。
そんなきっかけを作ってくれた優香は、今では絶対に手放したくない存在になっていた。
「そういえば今日は一緒に見たいアニメあるんだった!」
「ん、どんな?」
リビングのソファーに移動して座ると、優香がめいいっぱい伸ばした手でリモコンを掴んだ。
立ち上がった時にスカートの下の
「幸太くんのえっち……」
「なッ!!??」
「バレバレだよー。ま、幸太くんに見られるなら減らないか」
「ん!??」
なんで今日はスカート履いてるんだろう。
テレビがつくと始まったよ!と言ってウキウキした様子の優香。
可愛いうさぎが出てきたり猫がでてきたりして、癒やし系のアニメなのだと思う。
「このアニメが今、可愛くて感動できる話題の作品らしくて! 少し前から見始めたんだぁー」
「今のところは結構可愛い感じだね」
「うんうん!これからよぉ」
だんだんアニメに夢中になって……。
「幸太くん?? どうしたの?」
「ん?」
「泣いてるけど大丈夫?」
気づけば、普段全く縁のない癒やし系アニメに泣いて、手に力が入らないくらいアニメにどっぷりつかっていた。
「そういえば前にも動物の癒やし系ビデオを二人で見たよね!」
「そういえばそうだね」
「前も幸太くん泣いてたよーな気がするなぁー」
「可愛い映像だった気がするし流石に泣いてないとおもうけどなぁ……」
動物って、可愛いかったり、ちょっとお馬鹿だったり、飼い主にベッタリで幼さを感じたりと色々あるけど、どれも見てて飽きない。
さっき見たアニメに出る柴犬は可愛さと愛嬌があるけど、患っている病気と戦って生きることの価値を僕に教えてくれた。
「幸太くんのちょっとだけ強がりなところも可愛くて好き」
完全に俺のことをからかってる。だけど優香が好きって言えば俺はどんな形であっても喜びを感じてしまう。これも優香の戦略??
「どうだった? 癒やされましたか!」
「うん!癒やされたし勉強になった!」
「なんの勉強? でも、最近幸太くんがバイトとか学校で疲れてるなぁーって思ってたから、少しでも癒やしになったのなら嬉しい!」
優香にいつの間にか気を使わせてしまっていたようで……。いつも元気な優香だけど、優香にだって軽度なストレスや悩みを抱えているかもしれないし。
俺がしっかりしないと……心配かけさせないためにも。
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