第59話  家事分担!のルール

「優香!このチーズとトマト美味しいね!どうやって作ったの?」

「簡単だよー。モッツァレラチーズに切ったトマトを挟んで、味付けはオリーブオイルと塩、胡椒をかけるだけ!」

「すごいなぁ。パスタも美味しい!」

「ありがとう。幸太くんが喜んでくれて嬉しいよ」


 今夜も我が家の食卓は会話が絶えない幸せが広がっていた。

 優香の料理は毎日すごく美味しくて、俺が作るものとは比べ物にならない。


「じゃあさ!明日の夜食べたいもの教えて!頑張ってみる!!」

「いいの!??」

「うん!いいよー!」


 明日の夜食べたいもの……。あまり手のかかりすぎる料理はダメだし、でもせっかく優香が作ってくれるというならば……。


「ハンバーグでもいいかな?」

「わかった! 家にあるもので作れそう!」


 俺はなんて幸せものなんだろう。日本一可愛い美少女の手料理を毎日のように食べれて。でもって食べたいメニューを作ってくれるんだぞ!!

 もはや妻以上、恋人未満。


「じゃぁ、そろそろアイス食べよー!」

「食器片付けておくね!」


 僕たちの同棲生活には簡単なルールがある。これは同居を始めたての頃に二人で決めたことだ。一つ目は、『家事は分担する』二つ目は、『お互いのプライバシーはなるべく尊重』三つ目は、『喧嘩してもすぐ仲直り』。


 三つ目に関してはこの間のようなすれ違った喧嘩になってしまうと通用しないので、あまり効果はない。


 それはともかく、家事分担はとても大切なことで、お互いが得意な家事はそれぞれ決めてして、どちらも苦手な家事だと交代でするルールになっている。


 今日は優香が晩御飯を作ってくれたので、俺は食器運びと食器洗い。普段は優香の方が沢山家事をしてくれているので本当に助かっている。


「幸太くん! お皿洗いしてくれてありがとうぉ」

「いいよ!分担だし!」

「それじゃぁー、優しい幸太くんには食べかけのアイスあげちゃいますっ!」

「いいんですか!?」

「冗談だよー」


 お互いの家事も全て終わってソファーでゴロゴロした後はテレビを見て。いつもと変わらない日常だけど、凄く幸せな当たり前。


 もう遅いし、そろそろ寝ようなぁ。


「優香おやすみ! 明日も早いし、もう寝るね!」

「幸太くんおやすみ!大好きだよ」


 突然の『大好きだよ』にドッキっとして顔を赤面させる俺。


「ど、どうしたの?」

「最近言ってなかったよなぁーと思って」

「そ、そぉーなんだぁ。そういえばそうだね」

「幸太くん大好き!」

「なっ!!!」

「幸太くんって可愛い」


 優香に完全に男としてナめられている。

 この家の主兼優香の仮の旦那というのに、こんなんじゃ威厳もクソもない。


「幸太くん。変わらないでね」

「ん?」

「わたし、今の幸太くんの性格が世界一大好きだよ」

「ありがとう。変わらないよ絶対」


 この後、二人はそれぞれの部屋へと別れた。

 毎日会っているのに。明日の朝には会えるはずなのに、この時だけは少し寂しい。


「優香ともっと一緒にいれたら……」


 ガチャっ!


「ん??」

「幸太くん……」

「どうしたの? 優香」

「そのね……。寂しくなったのが一つ目。二つ目はお布団を乾かしてなかったこと」

「そぉなんだ……」

「だから今日は幸太くんと添い寝がしたいです」

「……え?」


 こうして幸太と優香の『ゼロセンチメートルな夜』が始まる。









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