第4話
「まだなの?田島さん」
「えっ?」
決勝トーナメント初戦。
グラウンドに入る直前に長谷部さんが私に尋ねてくる。
「そろそろ、私の嫌いな田島さんになって欲しいんだけど」
腰に手を当てながら、ふぅーっとため息をつく長谷部さん。
「頑張ります・・・」
「頑張るのは当然。てか、私2試合も超ーーー頑張ったんだから、楽に稼がせてよっね?」
元気は元気だけれど、やはり少し疲れている長谷部さん。
「うん・・・」
一回で飲み込むのは苦しくなりそうな大きな期待をゆっくり飲み込む。
「えー、まだやる気にならない感じ?これ以上の田島さんのサボリは許しませんっ」
胸の前で大きなバッテンを作る長谷部さん。
「サボリ?私は一生懸命やっているよ。ただ、実力が・・・」
「駄目でーす、逃げるのは許しませーん」
長谷部さんはもう一度、バッテンを作る。
「逃げって・・・」
「みんな信じているよ?ってか、田島さんがそろそろ本気になれないと勝てない相手だし」
「私だって大失敗しちゃったから頑張ろうと思ってるわよ!!でも・・・わかんないの・・・頑張り方が・・・」
「うん、だから、2試合は許してあげたよ?いいよ、そうやって迷うのも。でも、これは世界大会。あなたはナンバーワンDF。あなたがサボった分は私もだし、他のディフェンダーやミッドフィルダーも負担かかっている。でも、みんな田島さんが本気を出すのを待っている」
「私・・・1番じゃ」
「じゃあ、1番じゃなくていい。そこはどうでもいいの。大事なことは1つ。貴方の力が必要、そしてこれから期待ってこと、以上!!」
そう言って、フィールドへ行く長谷部さん。
(わたしは・・・)
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