第2話
その話をした後も、おじいさんの様子は変わることなく、私は、いつものように畑仕事や家の周囲に貼る罠の点検をしながら日々を過ごしていた。
でも数日後、その異変は思わぬ形でやってきた。
朝、私は、いつものように畑仕事をしようと家の扉を開けると、目の前にフードをすっぽりと被った見知らぬ人間が立っていた。
!?
誰…?…敵!?
そう考えるのとほぼ同時に体が自然と構えを取る。
未知の相手
家の中は不利
おじいちゃん
ひとまず距離を
軽いバックステップ。
いきなりの動作にも男は微動だにしない。フードをかぶって表情が読めない。けれどただ静かにこちらを見つめていることはわかる。
見たところ武器は腰に付けたただの剣のみ。
いや、少し形状が変?
おじいちゃんが使う剣とは少し違う。刀身が少し曲がっていて、長細い。
間合いが広そう。でもここは家のなかだ。長ものを振り回すのには向かないはず…。ひとまず距離をとりながら、なんとかおじいちゃんに…
一瞬の思考、だが、その直後、
男が、目の前にいた。
速い?!
男が拳を振り上げている。それと同時に、男からとてつもない威圧感が発せられる。
本能が一瞬で敗北を理解する。骨の髄から恐怖が這い上がってくる。
全く見えなかった。ガード…いや、間に合わない、食らう!
痛みに備え目を閉じる。
……。
………??
いつまでも訪れない衝撃に困惑してうっすらと目を開けると、変わらず男は目の前に立っていた。
だが、一つ変わった点があるとすれば、男が振り上げた手で私の頭を撫でていることだろうか。
いつの間にか男のフードは脱げていて、男の顔が明らかになっている。
黒髪に整った顔。瞳の色は一つは髪と同じ漆黒、片方には皮の眼帯を巻いていた。
「いい構えだ」
男は満面の笑みを浮かべてそう言い放った。
それが、私と彼との最初の出会いだった。
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