第5話 裸足の旅

 裸足で歩く。痛い。

 アスファルト、痛い。岩石に似た鋭い痛みと無愛想なだけど柔和な熱。

 コンクリート、痛くない。平たくて安定しているけど何か冷たい。

 マンホール、痛くない。見知った模様も足裏ではヘンテコな凸凹、謎の親近感、熱はないけど悪くはない。

 砂利、痛い。上から押さえつけると砂と小石の不破が皮膚を突く、寄り添うように滑らせると指の間や土踏まずを可愛がってくれる。くすぐったあい。あ、砂利はやはりジャリジャリしている。笑い。

 謎の鉄板、痛くない、冷たい。

 草、痛くない。少し怖い。柔らかいけど優しくはない。生き物であると実感する、草も土も自分も。

 裸足で歩く。やはり痛い。

 痛みを伴わないと立っていることもできない。

 それが私の徒歩五分の世界旅行。そうやって生きていく。

 「帰ったら続きを描こう」

 裸足で歩く。

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