第4話 尻尾

 今日は彼女と3回目のデート。

 向かうは勿論、尻尾専門店「OMOSHILO」だ。


 赤地に白字の特徴的な看板を潜り、検温とアルコール。

 店内にはカジュアル、スポーティ、フォーマルまで実にバラエティに富んだ尻尾が置かれている。

 彼女にはどんな尻尾が似合うだろうか。

 今生やしているリボンの着いた白猫の尾も清純な可愛さを持つが、前回の狐の尾の持つ小悪魔的なあざとさ、前々回のワイルドな雰囲気の虎尾も捨てがたい。


 犬尻尾コーナーを横切る。

 くるりとチャーミングな柴犬の巻尾、ピンと真っ直ぐで凛々し可愛いビーグル犬の立ち尾、おっとりとしたお淑やかさのあるシベリアンハスキーの垂れ尾。

 エトセトラエトセトラ。


 しかし彼女が熱心な視線を送っていたのは逞しい動きと扇情的なフォルムが特徴的なコモドオオトカゲの尻尾であった。

 「これ試着してきていい?」

 頬を赤らめる彼女に頷きながら。

 僕は生唾を飲み込んだ。

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