番外編②
俺の親友がおかしい 〜碓井視点〜
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
~碓井視点~
俺には親友と呼べる存在が二人も居た。
二人とも高校一年からの付き合いになるんだが、その内の一人の様子が最近どうもおかしい。
「……雄治……なんかあったか?」
「ん?どうして?」
「だって、最近姫田さんのこと無視してるし、女子に対する態度もなんか冷たいだろ?」
「ふっ……そうやって心配してくれるお前はやっぱり良い奴だよ……」
ぃ、きぃ、きめぇ……!!
鳥肌立ってきた……なんだどうした心の友よっ!!
「よ、よく見ろって!ほら碓井恭介だぜ?見下されるべき存在だぞ?ほら!いつもみたいに罵れよっ!」
「………お前、よく見ると色っぽいまつ毛してるよな?触っても良い?」
「オゲェェェッッ!!」
「大丈夫?体調悪いのかい?僕はそんな君がとっても心配だよ」
「お前なんか雄治じゃねぇ……!!」
「一体いつから……雄治だと錯覚していた?」
「なん……だと……?」
「………」
「………」
「……まぁそれはそうと、今日石田とカラオケ行くことになったんだよ。碓井はバイトだろ?その所為で二人で行くことになったから気まずいんだが?」
「情緒不安定かよっ!……ん?──お前石田と仲良かったっけ?」
「……まぁまぁ?」
「ママ?」
「俺の前で母親の話すんなつってんだろ!!」
「おっ!?こわっ!わ、わりぃ」
そこまでキレなくても良いのに……ギャグっぽい怒り方だけどコイツの場合、割とガチだからな。どういう訳か【母親】の話題になると不機嫌になる……出会った時からそうだったなぁ。
どうせしょーもない反抗期か何かだろ?早く母親と仲直りしろよな?……もう一年以上続いてんだかさ。
「みんな席に着くのデース。授業開始するザマスよ?オホホ」
──授業が始まったので席へと戻る。
俺と雄治の席は離れているので休み時間しかまともに話せない。まぁそれが普通なんだけどな。
その後も親友の様子を見ていたけど、人との接し方がおかしい。というか……やっぱり女子に対して変だと見てて思った。
一部の女子はそれに違和感を抱いてる様だし……このままだとお前モテないぞ?顔は良いんだから女子に嫌われると勿体ないけどなぁ〜……
そして昼休み……俺は弁当を手に持ってそのまま雄治の席へと向かう──
──が、向かっている最中にクラスの女子二人の話声が聞こえて来た。本当なら気にする事でも無い……しかし、良く知った人物の名前が聴こえたので立ち止まり耳を澄ませた。
「ねぇねぇ最近の坂本ってばなんかおかしくない?」
「ん?なんで?」
茶髪のギャルと背の小さい目隠れ女子。
ギャルが西島彩美で、目隠れ女子が内海真子さん。
二人とも中々可愛いのに…………ほれ見ろほれ見ろほれ見ろっ!ああもう言わんこっちゃないぜぇ!!変になっちまったお前の話をしてるぞ?!
けどしゃーない……雄治に文句を言うようなら止めるとするかね?俺と雄治はマブダチ……だから俺だけは雄治の味方だぜ!!例えどんな事があってもな!!
「なんか坂本ってば超クールになったよね!」
「そうかな?ちょっと怖いけど?」
「いやいや、ドライ過ぎるのが良いんじゃん……何言ってんのよ!それに顔もイケメンだしっ!」
「結局顔じゃん……ま、私は孝志くん一筋だからどうでも良いけどね」
なんか西島の方は好意的なんだが……?
内海の反応が普通だと思うけどね……てか内海の意中の相手って俺のもう一人の親友じゃねーか!!世界狭過ぎだろ!!もしかして俺中心に周ってる???
「うんうん!いつもの無邪気で明るい感じも悪くないけど、私は今の坂本が良いと思う!」
「ねぇねぇ、孝志くんの話しよー?この前さ、街中で偶然会った時にデートに誘ったんだけど、変な女の子に邪魔されちゃって──」
「……いや知らねーし。そう言えば姫田と喧嘩したみたいじゃん。もしかしてワンチャンあるかも!?」
「今までは姫田さん一筋って感じだったよね……フリーなら頑張れ彩香ちゃん!結構本気なんでしょ?」
「うん……だってカッコいいし……」
黙って話を聞いてた碓井………しかし、それも我慢の限界を迎えた。親友達への愛語りなんて聞く耳耐えない。もちろん嫉妬心から来るものだ。
「──いやちょっと待てお前らぁ!!」
「碓井くん!?」
「はぁ?盗み聞きとかキモいんだけど?」
「いや、どう考えても前の雄治がいいだろっ!」
「なに急にっ!!後の坂本が良いよ!!」
内海真子はどうでも良さそうだったが、西島は猛烈に抗議した。
「いいや!前のが良かったね!」
「碓井如きがっ!!絶対後の坂本くんよっ!!」
「前前前前!!」
「後後後後!!」
「前前前前前前前前前!!」
「後後後後後後後後後!!」
(なにこの二人?なんかエッチの体位みたいな言い合いしてるし……ん?)
内海真子は呆れ顔で口論を眺めていた。
すると話を聞き付けた一人の男が、三人の前に姿を現した。
「──君達……もしかして坂本雄治について話してたのかい?」
「「「………!?」」」
三人は声のする方を向く。
するとそこには石田一樹が立って居た。学年屈指のイケメンと言われる……そんな男が三人の前に立ちはだかった。
「坂本談義だろ?俺も混ぜてくれ」
「ああ良いぜっ……!雄治を良く知ってるのは俺だっ!お前なんかにアイツは渡さないぜっ!」
「私もよ!!碓井はともかく、パッと出のアンタに負けないんだからっ!!」
「ふん……では来い……!お手並みを拝見するとしよう……!」
「ぬおぉぉッッ!!!!」
「はぁぁぁッッ!!!!」
「やぁぁぁッッ!!!!」
(なにこの三人?……いやもう関わるの辞めよう)
内海は音を立てずに、ソッとその場から姿を消した。
──しかし、内海が立ち去った後も、男二人と女一人による熱い雄治の良いところ語りは続く。
むしろ止める者が居なくなった所為で、談義はより一層白熱を極めるのであった。
ーーーーーーーーーーーー
いつも読んで頂きましてありがとうございます。
恋愛週間14位を獲得し、フォロワーさんの数も500人を越え、とても嬉しく思います。
ただ、これまで毎日二話づつ投稿してましたが、次回更新から一話づつに変更する事としました……誠に申し訳ありません。
時間は12:00です。
投稿ペースが落ち込む事になってしまいますが、それでも応援して頂けると本当に嬉しいです。
いつも暖かいメッセージをありがとうございます。
これからも是非宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます