第6話 再会

 次の日の朝、彼はサーヤを森の入り口まで送ってくれました。

そして、サーヤにこう言いました。

「サーヤ、頼んだよ。」

サーヤも返しました。

「街で、待ってます。」

こうして二人は一度別れを告げたのでした。

その後、サーヤはお父さんたちのお墓にひざまずき、

「どうか、アイリーンを守ってください。」

とお祈りをしたのでした。

その時、サーヤの顔に迷いはありませんでした。

妹のために約束を守る。悪いやつなんかに負けない。

その思いで心はいっぱいでした。

そして、教会に戻り、おじいさんに今までのことを話し、

魔法の言葉の話にさしかかった時、

「サーヤ、それは彼との約束だから、私に話すことはないよ。

 今夜、しっかりおやりなさい。」

とおじいさんに言われました。

おじいさんには、その時、色んなことがわかっていたのです。

そして、アイリーンの無事と、サーヤの健闘を祈るのが、

今出来ることなんだと思ったのです。

その後サーヤは教会を出ると、まっすぐ家へと向かいました。

家には懸命に二人の無事を祈り続けていたエイミーがいました。

帰ってきたサーヤを見て、エイミーはサーヤをぎゅっと抱きしめて、

静かに涙を流したのでした。


 しかし、喜ぶのはまだ早く、サーヤにはやるべきことがありました。

まずはエイミーに今までのことを話し、魔法の言葉の話をする代わりに、

「わたし、やらなきゃいけないことがあるの。」

と言い、時計台へと向かいました。

次にサーヤは時計台の隅から隅までをきれいにして、

「どうか、上手くいきますように...。」

とお祈りをしました。

それを見ていたエイミーは、

今夜のサーヤはしっかりと食べた方がいいと思い、

栄養のつくものを買うために、街へと向かうのでした。

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