2.

 ホシミは落っこちた隕石を見に神社へとやってきました。

 神社は大きな木に囲まれていて、まるで小さな森の中のようです。しかし今は隕石が突っ込んできたため、木々がへし折られて、外の景色が中からも見えました。

 隕石に倒された大木が、参道を通せんぼするように何本も横たわっていました。隕石はきっとその中にあるはずです。ホシミは恐る恐る歩み寄っていきました。

 そして、そこにあったのは。


「お、女の子……?」


 隕石なんかじゃありませんでした。

 そこには女の子が倒れていたのです。

 炎のように真っ赤な髪をシュシュでサイドポニーにして、どういうわけか学校の白い水着姿でいます。体格や顔立ちから、きっと自分と同じぐらいの歳だ、とホシミは考えました。

 水着姿の女の子が空から隕石のように降ってきて、神社の境内で倒れている……訳の分からない状況です。


「どうしよう、とりあえずけいさつ……はダメか……」


 110番をしようと思っても、ホシミには連絡手段がありませんでした。近くの交番まで連れて行こうとも思いましたが、それには少し歩かなければなりません。自分と同じ体格の子を抱えて歩いていける気はしませんでした。

 でもかといって、このまま放っておくわけにもいきません。なのでホシミは、思い切ってこの赤髪の子を連れて帰ることにしました。重たい木々をどうにか退かし、それから女の子を抱き上げようとして──


「重たっ!?」


 ──信じられないぐらい重たかったので、境内の物置にあった電動リヤカーを拝借して、家まで頑張って運んでいきました。

 自分と同じぐらいの小さな身体なのに、どこにこんな重さが隠れているんだろう。不思議な子だな……と、ホシミはリヤカーを引きながら思いました。

 そして赤髪の子を家の玄関へ引きずり上げたところで、疲れが限界になって、そのままそこで眠ってしまいました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る