夏 −春夏秋冬と手紙−

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

第夏の手紙

ひんやりとした波が足指の間を抜けていく。

俺はその波の中に、一つの小瓶を見つけた。


「これは…………」


希望に満ちた声を吐き出して、その半透明の小瓶のコルクをキュポッと開く。


「これは…………手紙……か……?波にさらわれて、こんなとこまで来ちまったのか…………」


波に引っ張られて脱げたサンダルを回収し、砂浜へと場所を移す。


「誰……のだ……?」


日光に照らされて暖まった砂に腰掛けて、小瓶の中身を取り出した。


「これは……マジでなんなんだ…」


カサカサとした生地色の紙を開いて、その中身に目線を落とす。


「………………………」


俺は黙ったままその小さな切れ端のような手紙に目を落として、その文字を読み込んでいった。


「これは……」


きっと俺ではない誰かに渡るはずだった紙は――――





















――――夏の温もりがした。

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夏 −春夏秋冬と手紙− 俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き @Ch-n

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