第二章 女中と異国の元王子①
コチュンが皇后付き女中になってから、数か月。
ニジェナは正体を
そんなこんなで、ニジェナの
「ほんと最悪! 絶対にあり得ない!」
コチュンは、トギを夕食に
「まあまあ、犯人がわかってよかったじゃんか」
「全っ然、よくない!」
コチュンが
先日、長く不明のままだった犯人が、
皇后に対する
「悪いことをした人間が、ほとんど無罪のまま平然と暮らしてるんだよ。犯人のせいでニジェナ様がどんな
「コチュン、ちょっと声が大きいぞ。そのへんにしとけ」
トギは
「最初の
「話してみると、本当は良い人だってわかってきたから。助けたくなったの」
「コチュンらしいな。よし、今日はおれのおごりだ。好きなもの注文しろよ」
トギが景気よく言い放った途端、たちまちコチュンは
しかし、コチュンの
ニジェナは自分の正体を隠すため、ほとんど部屋から出ない。公務も外に出ずに行えるものをとトゥルムがうまく調整していた。だから、コチュンが
コチュンが考えを
「秋分の日に、ピンザオ市で大きな
「そんな
「そうだと思ったから、ちらしを持ってきた」
トギはコチュンに牛相撲の広告を
「なあ、もしよかったら一緒に……」
「このちらし、もらってもいい?」
コチュンが、トギの言葉を
「公務で
目を
「いいんじゃないか。誘ってみろよ」
「ありがとう。そういえば、トギ、今何か言いかけたよね?」
「いや、おれの話はいいんだ。それより、うまくいくように
「牛相撲っ? バンサ国に、牛相撲があるのかっ?」
牛相撲の話を聞いたニジェナは、わかりやすく興奮した。コチュンだけでなく、トゥルムでさえ
「その様子だと、牛相撲の観戦に誘うのは、正解のようだな?」
「観に行けるのかっ?」
「ああ、お前の女中が提案してくれた。お前があまりにも部屋に
トゥルムが答えると、ニジェナは
「団子、ありがとう! お前は最高だ!」
ニジェナはコチュンの両手を
「ニジェナ様も牛相撲がお好きなんですね」
「ユープーにも同じ催しがあるんだ。牛相撲は昔から観戦していたし、牛は大好きなんだ!」
ニジェナは待ちきれないと言わんばかりに
「まさかこんなに喜んでもらえるなんて、思ってませんでした」
「まさに名案だったわけだ。それに、バンサ国の新皇后が、いつまでも国民の前に出ないのはまずいと思っていたからな。公務として観戦するのは、政治的な意味でも最適だ」
トゥルムも表情を
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