第一章 新米女中と嘘つき皇后①
このときコチュンは、少し
コチュンは、独り
それが、まさかこんなことになるなんて。
コチュンは
「お前、わたしの風呂場で何をしていた」
ニジェナが、どすの
「
「し、仕立て直した
「そんなの伝令で済ませろ。バンサ国の女中が、これほど無作法とは思わなかったぞ!」
「大変、申し訳ありませんっ」
コチュンは頭を下げて謝るしかない。すると、ため息と
「ったく、謝って済む問題かよ。とりあえず頭をあげろ」
予想外の
しかし、絹の化粧着から引きしまった胸筋が
コチュンが
「お前、おれの身体を見たな?」
コチュンは、湯けむりの中に見たニジェナの
「あっ、あの、えっと……」
「言いたいことがあるなら、言ってみろ」
ニジェナが
「ニッ、ニジェナ様は、お、お、おとこ、なんですか!?」
「そう、おれは男だ」
「ええええっ!?」
コチュンは混乱しすぎて、もう一度気絶しそうになった。ところが、ニジェナの大きな手のひらに口を押さえられ、コチュンはギョッと目を見開いた。
「おい、声を出すな、外にいる連中に知られたらまずい」
ニジェナはコチュンを
「それって、みんなに噓をついているということですか?」
「そうじゃなきゃ、皇后なんてやってられないだろ」
ニジェナがそっけなく答えたので、コチュンは
そのとき、風呂場の外から、
「ニジェナ、騒がしいようだが、何かあったのか?」
声と同時に、
「トゥ、トゥルム皇帝陛下!?」
目の前に現れたのは、バンサ国の皇帝トゥルムだったのだ。声をあげたコチュンに、トゥルムも目を丸くして驚いた。
「こいつは
「すまんトゥルム。この女中に正体を見られた」
「この女中だけか?」
トゥルムの問いにニジェナが
「トゥルム陛下は、ニジェナ様が男性だとご存じなんですか?」
「当たり前だ。それより、お前はなぜここにいる」
トゥルムに
「ほう、何も言わないつもりか?」
「どうする、トゥルム。ここでこいつの口を
ニジェナの
「口を封じる方法はいろいろある。とりあえず、場所を変えよう。お前も化粧着を
トゥルムは先に風呂場を出ていった。すると、ニジェナはコチュンの前に
「
「わ、わかってます。絶対に逃げません」
コチュンが
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