恋心だが気づかず

 ここは、現在ギルドがある場所から西に数キロの位置にある森の中。


 ティールはブツブツ言いながら歩いている。


「なんで、よりにもよってカシスと行動しなきゃならない!」


 カシスはそのあとを追うがティールについていくのがやっとで疲れてきていた。


「ちょ、ちょっと……ティール。待って、ください。歩くのが、はやくて……。ゼイゼイ、ハァハァ……」


 そうカシスが言うとティールは立ちどまり面倒くさそうな表情を浮かべる。


「ハァ〜。カシス。もうへばったのか?」


「ハァ。やっと、追いつきました。ハァハァ。と、当然です。ティ、ティールと私とでは。体力も、歩幅もちがうので……」


「そりゃ確かにな。だがお前、相変わらず自信なさげにしゃべるよなぁ。もっと自分に自信もった方がいいとおもうぞ」


 ティールが言ったなにげないその言葉にカシスは胸をうたれ顔を赤らめる。


(えっと私どうしちゃたのかな?なんか熱っぽいし胸がドキドキしてる。これっていったい?……)


 カシスはそうこう思考をめぐらせていると考えが追いつかなくなり頭から湯気がでてきた。


「おい、カシス!急にどうしたんだ?お前、顔が赤いぞ!」


 そうティールに言われカシスはパニックを起こしはじめる。


「あ、えっと。は、はい。た、たぶん。えっと。大丈夫でふ。ハハハハハ……」


「ホントに大丈夫なのか?んーもしかしたら疲れと、この暑さのせいかもな。しかたねぇ、少しここでやすんでから動きだすとするか」


 ティールがそう言うとカシスは頷くがその表情はカチコチにかたまっていた。


 そしてカシスが回復するまで2人はここでやすむことにし、ティールは辺りを警戒しながら近くの木に寄りかかり休憩をとることにした。

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