☆一巻発売記念☆ エデンへようこそ!(その3)

登場人物多すぎ回・・・


―・―・―・―・―


てことでお客様のご入場である。

俺もみんなと一緒に玄関ホールでお出迎えはしてるけど招待状を出した(出したとは言っていない)お嬢様方のお相手をしないといけないので場内指名には応えられないので念のため。


「では参りましょうかマイエンジェル」

「あなたが呼んだのはお母様ではなく私ですよね?」

「チッ」

「その舌打ちはなんですか!?あとお母様の手を早く離しなさい!右手だけではありません、マリア様の手を握る左手もです!」


オースティアお姉様たちを見つけたからそのまま席までエスコートしようとしたらフィオーラにガードされたでござる・・・。


「殿下、そちらのお姉様方のご案内をお任せします。ああ、肩に手でも触れようものなら帝都が業火に包まれますのでお気をつけて」

「そのような危険人物の隣になど座りたくはないのだがな!?」


続々と入場してくる物珍しげにはしゃぐ貴族のご令嬢、奥様方を横目に俺の一組目のお客様はフィオーラとリリアナとヴェルフィーナ。


「これもうただの家族の飲み会じゃね?」

「あら、ハリスは屋敷ではお酒なんて飲まないじゃない?」

「これもスパークリングなお酒ではなくサイダーなんだけどね?そもそも苦いものを飲む意味がわからないしなぁ」


「最近ゆっくりとハリスちゃんとお話する時間もなかったしたまにはこう言うのもいいんじゃないかな?・・・何故だか屋敷にお姉さん系の女性も増えたしね?」

「お、おう・・・バタバタウロウロと落ち着きなくて申し訳ない・・・」

「君が忙しないのは出会った頃からだから仕方ないとも言えるけどね?それでももう少しかまって欲しいと思うよ」

「でもほら、夜はちゃんとほら、ね?」


何が「ね?」なのかよくわからないが仕方ない。

うん、やっぱり普通に家族の飲み会だこれ。


続いての二組目はアリシアとスティアーシャの王女皇女ペアである。

二人並んだその姿はまさに赤と黒のエクスタシー(天◯地と)。


「ハリスにこうしてエスコートされるのは二人一緒にお忍びでお買い物デートをしたあの時以来かもしれぬな?」

「まったく忍びもしてなかったしデートではなくただの買い物だったしミヅキも居たんだけどね?」

「むぅ・・・た、楽しかったんだからいいだろう!殿方とお出かけとかアレが始めてだったんだからなっ!」


「ちょっと赤くなって拗ねるアリシア可愛い」

「なんだこの心から溢れ出すどす黒い感情は・・・」

「ただのヤキモチだと思いますので大仰な言い回しは止めてもらえますかね?」


てか二人が場の雰囲気に馴染みすぎてどう見ても金持ちの太客にしか見えないんだけど・・・。


三組目はメルティスとサーラとケーシーの護衛チーム、こちらはうってかわって初々しいドレス姿。

いや、全員それなりの年齢なんだけどね?あんまり着ないじゃん、ドレス。


「閣下、下半身と胸元が非常に落ち着かないです!鎧の着用の許可を!」

「とりあえずサーラはドレスを着るとすぐに鎧に着替えたがる癖(?)をどうにかしような?」

「ふっ、私はドレスなど着慣れているからな!どうということもないのだけどな!でもサーラが着替えるなら私も着替えたい・・・」


「無意味に布が多くて動きにくいワン!でもハリスは脱がせるのが好きだから我慢するワン!」

「ケーシー。それは間違ってます!閣下が好きなのは脱がせるのではなくまくりあげてこう」

「サーラ、他所様が大勢いらっしゃるから大きな声で俺の性癖を広げるのは止めような?」


「そう言えばハリスの部屋につくった穴のあいた壁は何に使うモノなのだ?」

「あれは上半身をあそこに入れて・・・帰ったら二人で試そうね?」

「ずるいワン!四人で試すワン!」


・・・大至急帰宅して壁を増築して穴の追加もしなきゃ!!


四組目はドーリスとトゥニャサの俺甘やかしペア。


「ご主人さまにご接待いただくなんて・・・これはメイドとしてどうなのでしょう」

「ドーリスはメイドの前に奥さんだけどね?」

「私も何かお仕事をいただきたくおもっているのですが」

「トゥニャサには俺の膝枕係って言う大事な仕事があるだろう?」


うん、普段どおりに俺が甘えてるだけでどっちがお客なのかわからねぇなこれ。


そして五組目、ダーク姉妹とセルティナの駄目な子チーム・・・。


「私達の扱いが酷い・・・結構な期間ひとつ屋根の下で暮らしてたのに・・・」

「逆に結構な期間一緒にいたのに手を出してないところでいろいろと気づいて欲しいんだけどな?」

「私は現在進行系で一緒に暮らしてるのに・・・」


「白い人に関しては暮らしてるんじゃなく勝手に居着いてるだけだよな?」

「ふふっ、やっぱりここは一番若手の私の出番!」

「妹にはじゃがいもをあげたでしょ!」


「アレはそこそこ気持ち悪いからいらない!」

「こちらに視線をむけて一生懸命ピアノを演奏してるんだから少しくらいこころほだされてやれよ・・・」

「それが気持ち悪い原因だと気づかないところが嫌・・・あと顔が好みじゃない・・・」


ヤマナシ弟、姉妹揃ってボッコボコである。


それから六組目のヴィオラとミヅキのちっさい、否、『ちったい』コンビ、七組目の元ラモー男爵領の売られそうになってたチビっ子チームと順調にこなし


「なんか落ち着かない店ね?」

「我、本妻なのに飛ばされたじゃと!?」


いよいよラスボスのヘルミーナ嬢、マリンシア王女、南都平民代表ララちゃん、そしてどこにも入れなかった地味子ことカリーン嬢である。

てかもうすでに疲労困憊してるからとっとと帰って寝たいんだけど・・・。


「ハリス、ものすごく待たされたのです!そもそもミーナが提案してミーナだけを接待するようにアレにあれだけ言い含めておいたのにどうして最後に回されたのです?おかしすぎるのです!」

「いや、めんどくさ・・・好物は最後まで残しておくタイプなので。あとマリアン嬢はものすごく頑張ってたからアレは止めてあげて?」

「今完全に面倒臭い女って言おうとしたのです!いえ、そんなことはどうでもいいのです!それ!その膝の上でかいぐりされてる幼女はなんなのです?そこはミーナの席だと思うのです!今すぐに交代するのです!」


「ふおぉぉぉぉう・・・。あ、交代はしないです!」

「この子はほら、お貴族様に混ざった少し可哀想な平民の子だから仕方ないんだ」

「その幼女の恍惚の表情を見ているだけで怒りでお風呂がわかせそうなのです!そもそも席順もおかしいのです!どうして発案者であるミーナだけ向かい合わせなのです!右にマリンが座るのもおかしいですが左にいる子とか完全に知らない子なのです!」


「いや、結構前から屋敷で暮らしてる子だからね?まぁあんまり目立たないタイプだけどさ」

「ミーナさん、席順はちゃんとじゃんけんで決めたでしょ?わがまま言っちゃ駄目ですよ?」

「知らない子にマウント取られてるです!?地味な顔してるのになかなか図太い子なのです!」


「ハリス、それをあーんってしてほしいのよ?飲み物はあーんだとこぼれそうだからくちうつしがいいのよ?」

「いや、そんなことしませんけどね?」

「いつもみたいにするのよ?」


「ハリス!?ミーナに隠れてマリンにはそんなことしてるのです!?ミーナもそれをリクエストするのですっ!!」

「いや、そんなことしてませんけどね?」

「ふふっ、ララは賢者様にお口をあけさせられて大きいのをお口の中に・・・」


「ハリス!?その子に何をしたのです!?ミーナもそれを希望するのです!大きいのを口で」

「いや、飴玉を口の中にほうりこんだことしかないからね?」

「あ、私は出会ったあの時に見せていただいた手妻をまた見せていただきたいです」


「くっ、知らない子達になんかこういい感じの想い出がありますよマウントをとられているのです!ミーナも出会ったあの時のように、またお祖父様の第二夫人に絡まれているハリスが見たいのです!」

「どうして過去の想い出からその場面をチョイスしたのかな?他にもほら、コスプレ姿で二階から飛び降りて騎士団に囲まれてちゃんばらして叱られたり・・・うん、あんまりいい想い出がないや・・・よし、気を取り直してここでシャンパンタワーならぬサイダータワーだ!」


別にやりたくはないんだけどね?


ヤマナシ姉に

「ヘルミーナ様の接客中にぜったいにやってくださいね?じゃないと後で私がシメられるんですからね?ぜったいですよ?」

って念を押されてたんだよなぁ・・・。

立ち上がり、頭上でパチン!と指を鳴らすと場内が薄暗くなりミラーボールが周りだす。

極彩色の明かりが乱舞する中、今まで静かに流れていたピアノの演奏がユーロビートを刻む・・・。

例えるなら『エリーゼのために』が『キッ◯は目にして』に変わった感じ?


「タワーのご注文承りましたー!!全員中央に集合集合ヘルウィゴー!!」


なんだろう?会場内の知能指数がいきなり下がった気がするぞ?

奥からグラスがピラミッド型に、縦に十段以上積み上げられた大きなテーブルが持ち出され、そのまわりに各々のテーブルで接客していたホストたちが集まってくる。

ちなみにこのテーブル、ガタガタとぐらついてグラスが倒れたりしないように台車ではなく浮遊していると言う技術の無駄仕様である。


てか全員で手を叩きながら


「ソイヤ!」『ソイヤ!』

「ソイヤ!」『ソイヤ!』

「ソイヤ!」『ソイヤ!』


とか言ってるけど掛け声は本当にそれでいいのか?

ちゃんと説明を受けていない俺やコーネリウス様、連れてこられただけの第二皇子の困惑気味の表情と無駄に楽しそうなその他のホストのテンション差がエベレストとマリアナ海峡の如きである。


そこから始まるのはもちろん


「ヘル!」(『愛!』)

「ミーナ!」(『愛!』)

「姫様ありがとーう!」(『サンキューな!』)

「ハリス!」(『愛!』)

「愛され!」(『愛!』)

「ウラヤマシーン!!」(『ラブマシーン!!』)


なんだこれは・・・。

あまりにバカバカしいコールと合いの手に目眩を覚えて腰が砕けそうになる俺。

でも中央を見つめる貴婦人の表情が・・・えっ?みんな羨ましい感じなの!?


「ハリス!これはなんなのです!?」

「いや、ちがう、俺じゃない、俺は悪くない」

「よくわからないけどなんかこうミーナはとても楽しいのです!他の女に対する優越感が半端ないのです!」

「あ、怒ったんじゃなく喜んでる感じなんだ?あと他所様のご令嬢を他の女扱いは止めましょうね?」


「ハリス、次はわたしもそれをやりたいのよ?準備するのよ?」

「いや、あれって無駄にお金がかかりますので・・・」

「金ならお父様がいくらでも出すのよ?」

「それお小遣いじゃなく国のお金ですからね?あと生々しいので『金』って言うの止めましょうね?」


わいわいと閉店まで騒がしい幼女達であった。



「・・・はっ!私、バタバタしっぱなしで自分は相手してもらってない!?閣下、延長、営業時間の延長をっ!!」

「姉ちゃん、アニキならもうとっくに帰ったぞ?ま、まぁ?しょうがないから俺が」

「いらないわよっ!!」


―・―・―・―・―


てことで賑やかな感じの一巻発売記念SSでした!メイドさんと聖霊さんは次回で!


書店で見かけたらそっと棚から手にとってレジにっ!

または他の書籍と入れ替えて平積みにっ!(叱られる)


あ、書籍最後の『QRコード』を読み込んでいただけますとあとがきになっておりますのでどうせなら骨の髄までご堪能いただければ嬉しいです♪

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