南都編 その3 都市計画と新しい住民

国にたいして報告しておかなければならないような話は全部終わったのでみんな解散・・・ではなくお義父さん方はお風呂に入ってのんびりと遊ぶらしい。何そのスーパー銭湯。

素直にお家に帰って?俺が居なくてお姉様方が最近寂しそうにしてたので夕方にはこちらに集まる?そ、そうなんだ?なら仕方がないな!


好き嫌いがあるといけないので晩ごはんは適当にいろいろと並べてビュッフェにしようと思いました。

てか貴族様、俺と比べるとほとんど好き嫌いなんて無いんだよね。

平民?何でも食べないと死ぬ世界ですし・・・。


そんなおっさん連中とは別行動で俺と奥さんたちは別の報告会。

もちろんエロいことではないので念のため。

てかどうして奥さんの報告会なのに黒い人とヤマナシ姉が参加しているのか?ヘルミーナ嬢もいる?そちらに関してはいまさらである。

ちびシア様はアリシアとスティアーシャと入れ替わりで少し傷心気味な王様のお世話に行ってもらった。


さて、最初の報告はフィオーラである。


「あなたが王都を出立する前に各方面にお願いしていた畜産農家なのだけれど。声を掛けたら各地から200名程度をまわしてもらえる、むしろ今か今かと待ち構えているわね。そもそもまわしてもらうと言うよりも各地で生計が成り立たない畜産農家の次男三男長男が是非とも行かせてくれとお願いして来ているようなのだけれど」

「長男ですら生計が立ってないってよく生きてるなそれ・・・今年は国内で戦争もあったし、場所にもよるけど去年は迷宮の氾濫もあったから仕方ないのかなぁ。畜産にも迷宮を使うからヴィーゼンから来たみんなの近くにまとめて家を建ててとっとと引っ越ししてもらうか」


お野菜と果物だけだった南都にいよいよお肉が登場である!

目指せ、高級ブランド牛&ブランド豚&地鶏!今すぐに始めても数年はかかる産業なんだけどね?

早めに養鶏だけでも軌道に乗せて卵の安定供給をしてほしいものである。


迷宮内だと最初に指定しない限りは菌の繁殖とかしないんだけど体内から出たものはどうなるんだろう?死んじゃうのかそのままなのか。

迷宮内でう○こして調べればわかる?

そりゃそうだろうけどさ・・・。


「私からはハリスがそれとなくだけど話していた職人関連だね。鍛冶師、木地師、大工に細工師、家具職人に石工などなど。他にも画家や彫刻家なども是非とも使って欲しいと言ってきているね。こちらも弟子や家族などを含めて200人は超えるかもしれないね」

「思ったより集まったって言うかよく他所の領主が引き抜きの納得をしたなそれ。そっちも、職人に関しては迷宮の近く、いや、商業地区に置いておかないと生産物の持ち出しに不便だな。住民が少ない南都で全部の消費が出来るとも思えないし。芸術関係の人間は・・・俺、あんまりそちら方面は詳しくないんだけど丸投げしていいよね?」


続いて口を開いたのはヴェルフィーナ。

領地として開発していくなら職人さんは必須だからなぁ。俺が付きっきりで南都にいるならまだしも・・・全部俺が用意するとかいろいろ前提がおかしいんだよな。

あと芸術品なんてうちの奥さん以外には何の興味もないという。

でもほら、貴族様=パトロンだからさ、そっち方面の保護活動もしておかないと馬鹿にされたりするんだよなぁ。


「他にも農民平民下級貴族問わず移民の要望は数万人単位であるんだけどね?今のところミーナちゃんが全部止めてるよ?」

「現地では仕事らしい仕事も現状では存在しないからなぁ。そんなところに人だけ集まってもスラムができるだけで何のメリットも見いだせないからそれが正解だな」

「そうなのです!ハリスが領内の農民のために農地を整えただとか農民でも屋敷がもらえるだとかいう噂を聞きつけた連中が我も我もと集まっているのです!まぁそんな与えられた土地から勝手に出てくるような連中など必要はないのでその地の領主に苦情を添えて送り返しているのですけどね?それでも住民がいない都と言うのも人聞きが悪いので・・・どうすればいいのか考えていたのですよ?」


昨日トゥニャサを見たときの第一種戦闘態勢とはうってかわり本日はのんびりとした雰囲気のおねぇちゃまと本日も真っ黒な感じの姫騎士様。

なんだろうかこの『混ぜるな危険』感。


「ふわっとした感じの思いつきだけで街づくりを始めてるからなぁ・・・一応は商業流通の中心的なモノにしようとは思っているんだけどさ。それを任せるための商会が成長半ばだという。あれだ、国王陛下を筆頭にお義父さんの隠居所というか別荘地にしてほしいなんて要望もあったし?この際金持ち専用の保養地にでもするか。それなら人口が少なくとも問題は無いしな」

「閣下、発言してもよろしいでしょうか?」

「うん?どうかしたかヤマナシ姉?」

「はい、先程のお話、保養地としての都市開発とのことですが私の暮らしていた世界ではそのような場所がいくつもございまして・・・、もしかしたら何かのお役にたてるかもしれません。よろしければ商業や観光施設なども交えました都市計画を具申させて頂きたいと思いますがいかがでしょうか?」


ああ、なるほど。

小さい所で言えば避暑地としての、いやバブルの頃の軽井沢とか草津や伊豆なんかの温泉地的な場所か。

大きい所で言えばドバイとかラスベガスみたいな感じ?

思っていた方向とは少し違うけどそれはそれでアリかもしれないな。


「なるほど、詳しい話は・・・アリシア、任せてもいいかな?」

「もちろん、引き受けよう。これでも都市の図面をひいたりなども出来るからな!スティアーシャ、お前も手伝え。その方面は得意であろう?」

「もちろん!大都市を一からつくるなど普通なら一生体験出来ぬ話だからな!ふふっ、やはりハリスと一緒にいると面白いな。しかし貴族の保養地か・・・それは帝国貴族の利用も許されるのかな?」

「いや、わざわざ王国まで来なくとも帝国にだって避暑地や保養地くらいあるでしょう?」


「そもそもの魔道具の技術力、とくに居住環境に関する意識が帝国と王国ではまったく違うからな・・・もしも私が帝国貴族であったなら間違いなくこの地に引っ越してくるぞ?」

「他人事みたいに言ってますけど殿下は帝国貴族ならぬ帝国皇族なのですけどね?」

「そのような過去はとうに捨てた!・・・それともハリスはここまで尽くす私を捨てるというのか?」

「クゥーン・・・」


住環境に関してはうちと奥さんの実家以外は王国も帝国も変わらないと思うけどね?

あと「私、誘われなかった・・・」とか言ってる白い人、とっととお城に帰って?

風呂上がりに気の迷いでムラっとしてしまうこともあるかもしれないからさ。


「いきなり何の関係のないわん子まで甘えた声出し始めたんだけど?まぁわん子はメルティスたちに鍛えてもらえば使い物になる・・・かもしれないから頑張れ。殿下のことは・・・前向きに対処することを考えさせて頂く為の会議をいずれ開かせていただくこともあるかもしれません」

「ワオーン!」

「ハリスはどうしていつも私よりもケーシーを可愛がるのだ?やはり耳と尻尾か?あれだぞ?私も耳は無理だとしても尻尾ならお尻に」

「殿下、皇族として不適切過ぎる発言はお控えください」


南都の都市計画はアリシアたちに丸投げで問題ないだろう。

ヘルミーナ嬢が「なるほど、近隣各国から自分から人質となる人間を集めるのですね!」とか物騒なことを言ってるけど聞こえていないふりをしておこう。


じゃあ俺はちょっとドーリスとトゥニャサと一緒に別室で休憩・・・全員休憩に入ると?まぁいいんだけどさ。

もう年末だもんね?慌てた所ですべては年が明けてからの作業になるし。

しばらくはのんびり・・・もしてられないんだよなぁ。


年越しパーティに向けて奥さんたち全員の新しいお召し物の用意とか奥さんの実家とか南都の知り合いに新年の贈り物とか下賜する品の用意とか・・・ドレスは魔導板さんですぐにできるし贈り物は果物でいいか。

ああ、商国で見つけた熱帯系の果物とかよくわからない野菜も植えなきゃな!


―・―・―・―・―


姉はがんばってるのに空気感満載の勇者じゃがいも。

きっとそのうち何らかの活躍を・・・たぶんしないだろうなぁ(笑)

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