南都編 その4 キ○コ
ちょっとサブタイトルの意味がわからなすぎるな・・・(笑)
―・―・―・―・―
「王族がお城をこんなに頻繁に空けていても大丈夫なのか?」と思うほどスキあらば家にお泊りしていく王様と王太子を朝から見送った翌日。
ほかの人?もちろん一緒にお引取り・・・いただこうと思ってたんだけどお姉様方がね?ミヅキにお願いがあると言うことでさ。しばらく留守にしてたから仕方ない。
あ、一緒にお風呂とか俺もエステティシャンとして参加は・・・はい、お嬢様方と一緒にお風呂、そしてマッサージもさせていただきます!
てことで久々に数日間おうちでダラダラと過ごす日々。
どうせ新春シャンソンショーならぬ『年末新年の朝まで生パーティ』まで日にちもないからさ。
そう、のんびりと過ごしてたはずなのに・・・結構毎日あちこち移動してたんだよなぁ。
エルドベーレにお家を建てに行ったり、帝国&商国組を南都に案内したり、奥さん&お客さん全員で師走で慌ただしい王都の観光をしたり。
休日のお父さんも真っ青のお出かけ具合である。
「てか王都をじっくりと見て回ったのとかこれが初めてなんだけど、とくに見て面白い場所も名物料理もなかったな。歴史的建造物的なモノもないしさ」
「貴方、最低でも十年は王都で過ごしていたのよね?食べ物に関してはうちのご飯以上に美味しいものなんて貴族街、平民街とわずあるはずが無いと思うのだけれど・・・名物料理と言うならクシカツがエルドベーレから広がって来てるわよ?それに目立つ建物、歴史のある建物なんて王城と上級貴族のお屋敷くらいだし・・・むしろ今ならこの屋敷が一番みんなが興味があって見たがっている場所よ?」
「ハリスちゃんが小さかった頃はおねぇちゃまのところ以外には全然どこにもいかなかったもんね?昔も今もおねぇちゃまは気弱で病弱な美少女だから一緒にお出かけも出来なかったし」
「リリアナは昔から風邪もひかない健康な人だと聞いていたけど?あと、あの第三王子と大喧嘩する程度には気も強かったよね?私は西都からほとんど出たことがなかったからね。なんとなくああして皆で街を回ると言うのも新鮮で良かったよ」
「妾はそれなりに城から出かけてはいたぞ?でもその、あれだ、旦那さまと一緒に出かけると言うのはとても良いものだな!いや、出会った頃から二人きりでお買い物などに出かけてはいたのだがな!」
「完全に歴史の改ざんがされているみたいですけどその買い物にはミヅキも参加していたんですけどね?」
まずアリシアに関しては一番出歩いちゃ駄目だと思うんだ、一応本物のお姫様だからね?てかうちの王族に限らず貴族様全員腰が軽いんだよなぁ。
ヴェルフィーナは変な指輪で扮装と言うか男装をしてたみたいだけどさ。
まぁそうやってお嬢様がお屋敷から出てきてくれたからこそフィオーラと俺の出会いがあったわけで。
ちらりとそちらに視線をむけると柔らかな笑顔で微笑み返してくれた。
てかさ、南都に案内してやったときのヤマナシ弟、ついでに立ち寄ったダーク姉妹の店で二人を見て一目惚れしてたんだけど、そいつら見た目はエロ系お姉ちゃんだけどそこそこの威力の地雷・・・いや、案外お似合いかもしれないな。
地雷もじゃがいもも埋まってる繋がりで。まぁ三秒で振られてたんだけどさ。
バケツを持っていないバケツ幼女もとても元気に走り回っていたからヘルミーナ嬢と同じ様に抱えあげてクルクルしてやったら顔を真赤にして鼻血をだしてた・・・。いや、そんな遠心力のかかる振り回し方してないよね!?
本人嬉しそうだったし大丈夫だとは思うんだけど・・・そっと治療魔法をかけておいた。
てかさ、ヤマナシ姉。たぶん商国では弟に隠れて・・・もいなかったな、鉄砲伝来させたのこいつだし。
俺の中では地味子二号、または『こけし』って感じの評価の彼女なのだが想像していなかったほど多岐にわたり優秀であることがわかった。
最初はアリシアとスティアーシャに混ぜて南都の設計をさせてみたけどそつなくこなしてたみたいだし、ドレスのデザインの相談をしたら翌日にはデザイン画を上げてきたし、南都でエオリアに押し付けてやろうかと思って紹介したら嫌がられたし。
勇者一行のくせに姉弟揃って秒で異性に振られるとかなかなかないよな!
いや、弟と比較したら姉の方はそんなに悪くはないと思うんだけどね?
なんだかんだで一芸も二芸も持ってるしさ。遠いところではカエサルに見初められたクレオパトラ、近いところでは人気のキャバ嬢って感じで頭が良くて社交性のある女性は魅力的だと思うよ!
だから俺のことを恨みがましい瞳で見つめるのは止めなさい。
悪食のエオリアにお断りされたのを笑ったのは悪かったから!
「いや、僕、別に近くに来た女性全員に食いつくわけじゃないからね!?」
「お前それ帝国でも同じことが言えんの?」
「あ、あの時はほら、いろいろと、そう、いろいろとあったんだよ・・・」
てか今年、戦争はあったし結婚もしたし帝国も行ったし商国も行ったしで去年以上にバタバタしてたはずなのに・・・あっというまの一年だったな・・・。
とくに結婚。それも奥さんがいっぱい。
今でもまったく意味がわからない状況なんだけど。
「主はそんなところで何をしょぼくれているのだ?あれか?最近は我のおっぱいを触ってないから寂しいんじゃろ?」
「しょぼくれてるんじゃなくこの一年を振り返ってただけだよ!あとお前のおっぱいなんて一度も触ってないからな?知らない人が聞いたら信じそうな言いがかりはやめろ!」
そして何が一番意味がわからないって言ってもこいつが正妻ってことなんだけどね?
・・・っと、なんかしんみりして
『最終回に向かっての強引な〆』
みたいな雰囲気になっちゃってるので気をとりなおして王城での年越しパーティである。いきなりだなって?だって公爵邸にその時用のオースティア様とコーネリウス様の奥様のドレスの納品に来てるんだもの。
「マジで行きたくねぇ・・・」
「いや、さすがにハリスが参加しないとか出来ないからね?フフッ、それに今年はちゃんと成人もして嫁も迎えてるんだから途中で帰ったりも駄目だからね?」
「どうして俺が帰れないことでコーネリウス様はそんな嬉しそう顔になってるんですかねぇ?あの体臭と化粧臭と加齢臭と酒臭さが混ざりあった空間、完全に地獄じゃないですか」
「今年からハリスが王城に魔道具を入れてくれてるから足元の寒さだけでもマシになってありがたい限りだけどね」
「暖房の魔道具だけじゃなく脱臭の魔道具も一緒に設置してあるんですけど焼け石に水って感じでしょうしね・・・」
そう、今までの魔道具以上に室内の空気の循環をさせるから室温は保たれるんだけどさ?その副作用として臭いも循環するわけで。
ちなみに脱臭方法は空気清浄機の前部分に活性炭を詰め込んだ箱を取り付けただけの原始的なもの。
ちょっと手間のかかった『キ○コ(冷蔵庫の臭い取り)』だな。
これも一般家庭で使う分にはそこそこ効果があるんだけどねぇ・・・。
「それに今年からは他所の貴族からの挨拶も大量にあるだろうからね?その対応もおざなりにならない様にちゃんとしないとダメだよ?少なくとも名前間違えだけは注意しておかないと凄まじく根に持たれるからね?」
「相手は一人分の名前を覚えるだけでいいのにこちらは全員の名前を覚えないといけない理不尽・・・あれだ、それならこちらもわん子にも黒竜鎧を着せてメルティスとサーラの三人で並べて名前を間違えたら処刑するとか」
「それ、当てずっぽう以外の正解者は絶対にいないよね?」
「えっ?俺は立ち方と体のラインでわかりますけど?それ以外でも色っぽいのがメルティスで健康的なのがサーラでアホの子っぽいのがいたらわん子ですし」
ちなみに『おざなり』と『なおざり』、書き間違いレベルで非常に区別のつけにくい類語だけどおざなりの方がちょこっとだけマシな意味合いだと思ってれば問題ない。
「どうしてあのゴツゴツした鎧の上から体のラインがわかるのさ・・・そしてアレを見て色気を感じる人間は皆無だと思うよ?」
「えー・・・全身鎧に包まれた女の子ってこう、来るものがあるじゃないですか?」
「普通の貴族はそんな特殊性癖を持ち合わせていないんだよねぇ・・・」
「なら今度奥様用に一着プレゼントしますよ」
「うん、絶対にいらないから止めてね?それでなくともうちの奥さんは怖いんだからね?」
「白狼より?」
「ごふっ!?ハリス、そのあだ名はどこで聞きつけたのかな・・・?」
もちろん帝国でですけど何か?
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