南都編 その2 商国でのいろいろ・・・後編

ちょっと変わった時間に投稿予約してみました(笑)


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王太子殿下とコーネリウス様により沈んでいた空気が少しだけ軽くなる。

それを機に一旦休憩として国王陛下にはご退出頂くことに・・・。

いつもより小さく見える王様と一緒にアリシアと何故か黒い人も付き添って部屋を出ていった。


「耳にしていたのとは随分違うけどスティアーシャ殿下とは怖い人だね」

「あれで可愛いところもいっぱいあるんですけどね?偉ぶったところもないですし気も利きますし何よりおっ・・・いえ、何でも無いです」

「なら素直に貰ってあげなよ・・・」

「それはそれ、これはこれですからね?」


アリシアに続いてコーネリウス様まで取り込むとか侮れないなスティアーシャ・・。

あとおっぱいの話しには触れてはいけない。なぜなら鬼神が覚醒してしまうから。



少し人数が減っちゃったけど報告会はまだまだ続く。


「トゥニャサ嬢の話が出ましたので先に他の者もご紹介させていただいておきますね?先程、アリシアの後を継いで商国の話をしたのがハフィダーザ、商国より王国との外交を一任されてやってまいりました者です。ハフィダーザ、挨拶を」

「ハフィダーザと申します。商国では屋号を名乗る商家以外に性を名乗る習慣がございませんのでハフィダーザとそのままでお呼びください」

「ほう・・・商国の内情の微に入り細に入ることこまかな説明、ラポーム候の間諜ででもあるのかと思ったが外交官だと言うのか?」

「これはお手厳しい。先の戦争の事もございますし商国にはこれ以上何も隠すことなどないとお受け取り頂ければ幸いでございますれば」


不審そうな目を向けるガイウス様をサラッと交わして笑顔で返すおっさん二号。

ハフィダーザ、港で商船だけでなく軍船の出入りも管理してたらしく貿易、海運に留まらず海軍に関しても物凄く詳しかったからなぁ。

もしエルドベーレを治めてるエオリア父に同じ様に情報を出せって言っても調べるのに数ヶ月単位で時間がかかりそうな事柄を数字をまじえてさらっと説明できるという。間違いなく小役人の才能じゃないと思う。


「ほう、キーファー公に睨まれてうろたえもせぬとは。さすが商国人とは肝の座ったものなのだな」

「いえいえ、そのような・・・私はその、ラポーム閣下がご来遠の際にお叱りを受けたことがございますので」


うん、全員で「お前・・・何をしたんだ?」って目を向けてくるのは止めてほしいな?あの時はほら、奥さんを危険な目にあわされかけたからさ。


「まぁそのような昔の話は置いておくとしてですね。こちらに座る二人ですが」

「ヤマナシマリアンと申します。ラポーム閣下には危ない所を保護していただきました」

「ヤマナシツルギです!自分も兄貴、いえ、閣下にお叱りを受けたことがあります!」


全員から「本格的に何をしてきたんだお前は・・・」って目を向けられてるけど全部誤解で悪いのはすべてそこのじゃがいもなのである!いや、それよりも


「誰が兄貴だ誰が・・・まぁいろいろとありまして半日ほど磔にしたくらいでとくに何もしてないんですけどね?」

「ハリス・・・普通の人間は半日も吊るせば死ぬんだよ?」

「丈夫さだけが取り柄みたいな姉弟ですので」

「お、弟と違い私は普通に死んでしまいますのでご勘弁を・・・」


「大丈夫だよ?なにかの際にはヤマナシ姉より先にそこの白い人がアレされるだろうし」

「ヒィッ!?わ、私はすでにハリス様に忠義を誓う愛の奴隷でございますっ!」

「あっ、それでしたら私も、私もその枠に入れていただきたいですっ!」


おい、お義父さんが揃ってる場でシモ系の発言はやめろ。

いや、怖いのはお義父さんじゃなく目を見開いてこっちを見つめてる姫騎士様なんだけどな!


「三人のウイットに富んだジョークは置いておいてですね」

「主はなんでもかんでも置いとくもんな!」

「ミヅキ、来年までおやつを抜くぞ?」

「来年までとかながっ・・・くもなかったのだ、あと十日もないし。でも一日でもおやつ抜きは耐えられそうにありませんので我は黙ります!」


ちなみに『ミヅキを怒らせる=お姉様方にエステが回らなくなる=叱られる』なので普段通り何も変わらないミヅキに対して微妙に不思議そうな顔をしている王太子以外のおじさん連中はとくに何も言わない。


「で、話は戻りますがこの二人、異世界の勇者らしいんですよ。商国に置いておいてお馬鹿な人間に利用でもされると・・・いえ、既にそこそこ利用されてたんですけどね?そのままで放っておくと後々ちょこっとだけ面倒なことになりそうなので連れて帰ってきました。こちらにもどるまで二人とも話しをしたのですが王都で八百屋でもやってもらおうかと思っております」

「情報量の多い話だな!?勇者・・・その二人は勇者だというのか!?」

「はい、まぁ自称?ですけど、二人というかジャガ・・・弟の方がそうらしいです」

「それもイセカイと言ったか?」


「はい、ええと・・・どこから来たんだったっけ?」

「太陽系第三惑星の地球からです閣下。北半球にある日本という島国の京都と言う地方から来ました」

「ニホンであるか・・・勇者と言うからにはとてつもない力を持っているのであろう?」

「そうですね、サーラ、うちの嫁が殴ったら吹っ飛んで壁にめり込むくらいの強さですね」

「勇者を殴り飛ばす・・・前から気になってはおったのだが卿の嫁とはどういった存在なのだ!?」


うちの奥さんはみんな可愛い女の子ですがなにか?

まぁ呼び出されてと言うか迷い込んできたはいいけどこれと言った訓練も受けてないんだから強くなりようもないと思うんだけどね?

あとヤマナシを名乗っておきながら山梨県出身じゃなかったのかよ。


「ふむ、既に利用されたと言ったがどのように?」

「異世界の武器を作らされていたみたいですね。王国でも昔から使っている・・・人が極々少数いる『魔砲』ってあるじゃないですか?アレと似通った武器を商国が量産して戦に使おうとしておりました。一応工廠は更地にして現物はすべて回収いたしましたが飛び道具、それも暗殺向きの道具でありますので注意は必要ですね」

「魔砲か。確かに数が揃っていれば多少厄介かも知れぬな。そしてその勇者が・・・王都で八百屋?」


「はい、本人たちもこれ以上国同士の騒ぎには巻き込まれたくないと。それよりも金儲けでもして魅力的な異性でも囲ってこれからの人生を楽しみたいと。私もそれは常々考えていたことなのですけどねぇ・・・」

「どうしてそこで遠い目をするのかな?ハリスにはまだうちの娘も貰ってもらわないとならないからね?いや、マジで、これは決定事項だからね?」

「それならついでにうちの妹ももう一人くらいかまわないよな?」


「もちろんかまいまくりますので勘弁してください。むしろお帰りの際にはお連れ帰り「わたしのお家はここなのよ?」ください」

「私も!私も貰ってください!一応元お姫様ですのでお得だと思います!ハリス様のお屋敷にお泊りしてみてもうお城には戻れないと確信しました!」

「なら私も!異世界人なのでレア度は高いです!あとこの世界では知られていないようなセイギも本で覚えてます!」


ヤマナシ姉、日本で一体どんな本を読んでたんだよ・・・。それらの技は是非ともドーリスにご教授いただきたい。

白い人はそのちょっとむちっとした肉付きの良い体以外とくに魅力は感じないのでいらないです。


そして鉄砲、口頭説明しただけではイマイチ危機感を持ってもらえず。いや、今のままなら確かにそれほど使える武器じゃないんだけどさ。

回収したのを改修(魔改造)して一度実演しておいた方がいいかな?


―・―・―・―・―


第二王子、いつ自分を暗殺しようと狙ってくるかわからない弟だったので亡くなったと聞いても王太子は何も感じていないどころかホッとしていますが王様はさすがに・・・。

黒い人は自然な流れで人に取り入るのが上手いといいますか人を使うのが上手いといいますか。

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