東へ西へ編 その21 ちょっと真面目な(?)政治のお話、またはおやじと朝チュン

昨日に引き続いて朝食後もそのまま滞在する王国の重鎮と言う名の義父&義兄。


「・・・いや、このまま今日も泊まっていくつもりじゃないですよね?」

「結果的にそうなってしまったとしてもそれはあくまで結果であって故意の行動ではないのだ」

「ちょっと何言ってるのかわからない」


国王陛下がキリッとした顔で意味の分からない事をのたまっているがマジで帰って?

おやじ連中、全員よく食べるからうちのエンゲル係数が上がっちゃうの!

あ、お姉様方は大丈夫です、なんなら個人のお部屋もご用意させていただきますので。


「トイレも風呂も家具もここん家の方が王城より何倍も素晴らしいのが悪いのだよ」

「家具類に関してはちゃんとお義父さんにもそれなりにお渡しして・・・あ、お城には届けてなかったかも」

「卿は今とてつもなく聞き捨てならない事をもうしたな!?えっ?他のお家にはあのお布団とかソファとか配ってるのにうちだけ貰って無いのか!?」

「テヘッ☆」


「そもそもハリスよ」

「どうかなさいましたか?国王陛下」

「まさしくそのことなのだがな!!」


どのことだよ・・・。


「最近お前はキーファー公爵を何と呼んでおる?対外的にではなく身内だけの時だぞ?」

「ガイパパ」

「ではフリューネ侯爵は?」

「マルパパ」

「最後にヴァンブス公爵」

「ブルパパ」


「そう、それだ!そんな感じで皆仲良くしてるのにわしは何だ?」

「国王陛下ですよね?」

「もうこれ完全に隔意があるだろ?乗り越えられない壁があるだろ?そんなだから家にはお布団もお風呂も来ないのだと思うのだが!?」


知らんがな・・・。


あくまでもお姉様メインで配ってたからおばさん(王妃様)のことはまったく頭に無かったからなぁ。大変申し訳無い。もちろん反省はしていない。

そこから始まる各ご家庭に配った備品の聞き取り捜査。・・・お城以外は各ご家庭それほど変わらないんだけどね?

ヴァンブス家はお姉様と娘さんが多いから少し数が多いくらい?


「わたしはハリスにお布団もお風呂も貰ったのよ?」

「お前はアレだな!ほんっとうにアレだな!?」


ちびシア様、余計な発言はお父様を刺激するのでお控えください。


さて、そんな事はどうでもいい「全然良くないからな!?王家の待遇の改善を要求する!もっと王家に優しく!お義父さんを大切に!」「お義兄さんも大切にな?」どうでもいいとして、昨日の話の続きというか留守中の王国内の出来事を説明してもらうことに。

いや、ひと月くらい居なかっただけだし特に何も無いはずなんだけどさ。


「新通貨、特に銅貨に関しては順調に量産されてるよ。でも出来れば早めにダンジョンから銅の採掘が出来るようになればありがたいかな?あとオースティア様の次はうちの奥さんはどうかな?」

「そうですね、それ(銅)に関してはお世話になった北都の第三騎士団の訓練と強化も兼ねて年内に。次の絵柄は・・・考えておきます」

「王都での金貨銀貨の製造も特に問題は無いな。来年の年始には旧硬貨との交換を開始出来るだろう。と言うよりもあの造幣の魔道具、物凄い性能だな。上から素材を入れただけで下から貨幣が出てくるとか高性能過ぎて意味がわらからない」

「何事も楽が出来るのが一番ですからね!」


どうせなら紙幣まで持っていきたいところだけどまだしばらくはどう考えても無理そうだから余計なことは言わない。何故なら仕事が増えるから。

為替とか手形っぽいものは存在してるしそこまで無理無茶無謀な話では無いと思うんだけどね?紙幣。


「ああ、そう言えば皇国からまた使者と名乗る何かが来ていたな」

「皇国人は使者であろうと商人であろうと王国に出入り禁止としてますよね?」

「商国の商船で潜り込んできたようだ。もちろんエルドベーレの港で捕らえたがな?『戦時中ではあるが食料の輸入をしてやるから安くしろ、むしろ迷惑をかけているのだからただで商人に持ってこさせろ!もちろん食料以外もよこせ!』と騒いでおったそうだぞ?とりあえず首を刎ねて送り返したが」


「ストレートに頭でもおかしいんですかね、あの国の人間は・・・いや、教国産の変な薬が蔓延してるからでしたか」

「そもそもあの国の貴族は昔からそんな感じだったぞ?」

「どうしてそんな国と国交を持っていたのかと小一時間。いや、鉱物の輸入の為以外ありませんけども」


その鉱物も国内でどうにかなりそうだしもうこのまま完全に国交断絶で良いのではないだろうか?

とりあえず俺個人的には心の底から関わりたくねぇ連中だな・・・。

マジで殲滅するのが王国だけじゃなく他の国にとってもベストな選択肢ではなかろうか?


「あとは商国だが・・・相変わらずこれと言った反応はないな。商人の出入り、エルトベーレに商船は戻ってきている様だが正式な外交官などはよこして来ては居ない」

「なかなか対応に困る反応であるな!いや、そもそも向こうに駐在している第二王子殿下は何をされているのか」

「ああ、そう言えば商国にいらっしゃるんでしたよね?そもそもどの様な方なんです?第二王子殿下」


「そういえば弟は卿とはまったく面識はなかったかな?そうだな、一言で表せば『とっつきにくい男』だろうな。良く言えば謀略家、悪く言えば陰に籠もった陰湿な人間か」

「ご兄弟がその評価と言うのはどうなんですかね?非常に申し上げにくいですけどそれもう完全に今回の戦争に外から関わってますよね?」

「・・・その様な事はないと否定出来ぬ所がなんとも」


うちの王家、王妹含めて問題児多すぎじゃないですかね?

まぁトップの二人、王様と王太子殿下がわりと常識人っぽいので何とかなってるみたいだけど。

あと想像よりも留守中が穏やかじゃなかったと言う。



お互いの報告も終わった(そもそも昨日の夜に終わらせられた気がするんだけど?)ので、今後の王国の方向性。

て言っても西のトンネルと北の造幣が完了したので残るは東の港関係の整備と船舶の造船のみ。

いや、先にヴァンヴス公と一緒に帝国と通称の細かい打ち合わせとかもしておかないといけないな。


てか最初の予定は港の整備ではなく商国の偵察だったはずなんだけど・・・どうしてこうなったのか?

あ、畜産酪農関係の人材についてはお義父さんの各領地から回してもらえることになったので帝国から戻ったら牛さん豚さん鶏さんと一緒にその人達もお迎えに行くことに。


結局その日も「王様は休日です」などと意味のわからないことを言う国王陛下を筆頭に全員お泊りコース。家の娯楽室が紳士の社交場みたいになっちゃってるんだけど・・・バニーガールでも置くべきだろうか?


どうしてだか翌日は奥さんだけでなくお義父さん連中にまで見送られて半ばとんぼ返りで護衛の2人&俺にしがみついて離れないミヅキ、ヴァンブス公(ブルパパ)、「父がいいなら私もかまわないよね?」とヴェルフィーナまで連れて帝国に向かうことに。

お義父さんは帝国との交渉に向かうのであって遊びに行くんじゃないんだけどね?

もちろんドーリスはまた南都で一人お仕事になっちゃうんだけどさ・・・帰ってきたら埋め合わせ(意味深)するからもう少しお願いしておくね?


「皇女殿下、お国に帰りますよ?」

「私はまだ昨日来たところだよな!?いや、そもそも私の家はもうここだし。むしろこの屋敷を一度体験してしまったらあんなトイレの臭う城などに帰れぬし。ご飯もおいしいし」

「わん子?」

「行ってらっしゃい!・・・だワン!」


こいつら、完全に居着く気満々である。


「ハリス、ワンで思い出したが新しい精霊様の話はどうなっている?闇の精霊様なのだよな?とうとう六大精霊様が王国に揃われたのだよな?」

「ああ、そう言えばその説明もまだでしたね」

「おい、何の話だそれは!?わしは何も聞いておらぬぞ!?凄まじく重大事項だよな!?」

「また帰ってきて覚えてたら報告しますね?」


面倒くさそうなのでそのまま出発した。

いや、だって黒柴の子犬が増えただけだしさ。

もちろん家の子だからどこにもやらないからな!!



「えっと・・・僕、このメンバーの中に置いてけぼりな感じなのかな?一緒に帝国に連れて行って?」


忘れられてるエオリアであった。


―・―・―・―・―


登場人物がほぼおっさんオンリー回・・・。

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