東へ西へ編 その10 だって女心とかわかんないし・・・
魔物騒ぎ――と言ってもダンジョンからヒュドラが1匹迷い出てきただけで魔物の氾濫的なものでは無かった――も、落ち着いたので後片付けと言う名の素材回収をした後で宿泊予定の宿屋・・・ではなくこの街の領主の館に移動することに。
余計なことに手を出した結果、結局面倒な挨拶とかしないといけなくなっちゃったじゃねぇかよっ!!
物凄い勢いで遠慮(拒否)したんだけど街の危機を救った英雄扱いだから仕方ないね?
まぁ今回は皇女殿下もいるし?その協力者って事で流してもらう予定だからこの街の名士を集めたパーティと次期皇帝参加のパーティに出席する程度らしいんだけどさ。
いや、次期皇帝とかきちゃうのかよ。
それもう完全に国家的な感じの表彰的なアレじゃないですか?
てかもともと次期皇帝(第二皇子)に会いに来たんだから手間が省けたとでも思っておかないと心が荒むしごはんもススム。
ス○ムくんの麻婆豆腐好きだったなぁ、甘いやつ。
てか第二皇子が来ると思って待ってたら全然知らない人が来たらちょっと笑うよな。
てか俺は時空庫があるし紛いなりにもお貴族様だからパーティ用の装束の用意とかあるけど普通の冒険者なら絶対に衣装なんか持ってないよね?
なんなの?褒めると見せかけて晒し者にしたかったの?
あ、そう言う人(平民)にはお屋敷でサイズの合う服をコーディネートして貸し出してくれるのか。
穿った見方しか出来ない捻くれ者で申し訳ない・・・。
まぁ何にしても街に到着早々騒ぎに巻き込まれて非常に疲労してるので披露の前に屋敷でお風呂を用意してもら・・・あ、帝国ではサウナがメインなんだ?
なんかこう『帝国=ローマ帝国 ※神聖ではない方』ってイメージだから完全にお湯に浸かるイメージだったわ。
もちろんサウナだけでは疲れが取れないので久々のネコ(っぽい足のついた)バスを設置する。
肉体的な疲労じゃなく主に精神疲労なんだけどなっ!
あとご飯も何と言いますか久しぶりに『お貴族様のご飯』みたいなのが出てきて非常に胃もたれしそうです!
甘さ全開のおかずは辛いんだよなぁ。
『あまい、つらい』じゃなくて『あまからい』なら大好きなのに。
あ、今日は別に晩餐会でも何でもないから知った顔だけでお食事なんだよ?
だから嫌そうな顔をしながら食べても大丈夫!
あ、王国で見たこと無い大粒の葡萄がある!・・・確保。
てかあの年老いた犬のキン○マみたいなやつはライチだよね?
俺の中では南国産っぽいイメージがあるんだけど帝国でも採れるのかな?
もしかしたらうちみたいに迷宮産なのかもしれないけど。
ちなみに俺はあの匂いと食感が得意じゃないからビュッフェとかで見かけても絶対に食べないんだけどね?ライチ。
でも売れそうだしこちらも確保しておこう。
余談ではあるけどライチってみんな大好き『ムクロジ』科なんだよ?
ムクロジ、洗濯石鹸の代わりに使うアレな。
食後、エオリアを伴って皇女殿下のお部屋にお呼ばれしたのでのんびりと雑談タイム。
ゆったりとしたイブニングドレス姿がとってもエロスを感じさせる。
サーラとメルティス?流石に他所のお屋敷を歩き回るには少々物々しい格好だからね?あてがわれたお部屋でのんびりしてる・・・はず。室内で剣を振り回して無いことを祈ろう。
てかこの館の主、迷宮都市の領主にはまだ会って無いから名前を名乗ったりとか一切してないんだけど・・・大丈夫なのかな?
一応他所の国の貴族なんだけど・・・もちろんテロ行為とかする予定はないからね?
「じゃあわん子のことをお預かりしていってもいいですかね?」
「ああ・・・そう言う約束だったな。どうか出来る範囲で・・・幸せにしてやってほしい。私は望まぬ相手に嫁がされてしまうからな」
「いえ、一晩お借りするだけでいいんですけどね?あと望まぬ相手と結婚に関して詳しく、どうぞ!何かの御役に立てるかも知れませんので!」
うん、別にわん子をお嫁さんにくださいとか言う話じゃないからね?そのへんはちゃんと言葉にして伝えておかないとな!
まぁ言葉にして伝えちゃうと違う意味での面倒が発生しそうな発言ではあるけれども。
そして・・・押し付けれれそうだったお姫様本人から『妾はお前に嫁ぎとうなど無い!』発言いただきました!
これ、ちゃんと処理できたら嫁が増えないパターンに持ち込めるのではないだろうか?
「き、きさまっ!本人を目の前にしてまさかのヤリ捨て宣言とはなかなか豪気な男だなっ!!気に入ったぞ!!わたしはこれでも『薔薇園の番犬』と言われた女だぞ?優秀そうな番を見つけたからには絶対に逃さないからなっ!!」
「そもそも耳と尻尾に触りたいだけでヤル予定自体がないんだけどなぁ。あと肉食獣でも女の子なんだからヤルとか言うの止めて?てかヤリ捨て宣言で気に入られるとか今までにないパターンでちょっと困惑気味だわ」
「お、おまえいきなり・・・み、みみに触るだと・・・あまつさえしっぽにまで・・・なんと、なんというハレンチな!?でも・・・大丈夫だ!ちゃんと受け入れる準備は出来ているからな!!」
耳と尻尾がハレンチって獣人的その部位はどんな扱いになってんだよ・・・。
俺、普通の人間なんでちょっとわん子獣人の貞操観念とかわからないです。
いや、人でもいきなり「ちょっとみみたぶこねくり回していいかな?」とか言い出す奴はそこそこのド変態だった。
「まぁわん子は一旦ステイしてもらうとして・・・皇女殿下、嫁がれるお話の続きを!」
「ふふっ、卿は私の結婚話がそんなに気になるのか?しょうのない男だな・・・よかろう、詳しく聞かせて・・・いや、さすがに国の話でもあるし不味いか?しかし卿はおそらく兄が差し向けてきた護衛であろうし・・・まぁ大丈夫だろう」
てことでゴニョゴニョと独り言をつぶやいた後でお姫様の結婚話が始まる。
・・・いや、何なのその敗戦国の女の悲哀、てか妙に皇女がしおらしい乙女キャラになってるんだけど貴女先程まで迷宮で刃物振り回してたんですよね?
あと話しがビックリするくらい長いんだけど?
まとめると『王国の新興貴族の脂ぎった名も知らぬ豚親父に嫁ぐことになった』らしい。
おい、あの、なんだ、ヴァ・・・ヴィ・・・ヴォルデモート!・・・みたいな感じの名前の第二皇子!
ハリスくん太ってないし若いやろ!!
「それは・・・何と言いますか・・・(俺の評価に)納得のいかないお話ですね」
「そうであろう!?私も皇族の女の端くれ。好いた男と結ばれるなどと生娘の様な甘い恋愛観は持ってはおらぬのだがな?ああ、勘違いするなよ?そう言う考えを持ってはおらぬだけで私は生娘なのだからな?」
「そんなこと聞いてねぇし・・・てかもしかしなくても酔ってますよね?」
「しかし、しかしだな!いくら戦に負けたからと言って・・・仮に王国の王太子の正室だと言うのならまだ、いや、まったく納得はいかないがな!そもそも王太子、何度か会ったことがあるがまったく好みではないからな!説明し辛いのだがこう・・・顔と性格と体型と声が気に入らぬ!世間一般で言う『生理的に無理』なタイプなのだ!だが、それでも、腐っても王族だからな!」
王太子殿下、血筋以外まさかのフルボッコの全否定である。
「なのに・・・相手は成り上がり者。何でも子爵から侯爵まで一代で陞爵したらしい中年男。まったく、出世の為にどんな薄汚い手を使ったのであろうな!!」
そいつ、子爵様からじゃなくど貧民からの成り上がりらしいっすよ?
そして汚い手もなにも・・・しらないうちに爵位が上がってましたが何か?
「おい、ちゃんと聞いているか?さらに、さらにだぞ?その男・・・既に嫁が何人もいるらしいのだ!それも・・・年端のいかぬ幼女を正室に迎えているらしい!いや、正室だけではなく側室も幼女で固めているとの話だ!!そんな所に私が嫁いだところで・・・一体何になるというのだ?」
「ブフッ!!ゴフッ、ゴホッ!!」
「エオリア、皇女殿下のお話中に咽るなど失礼だぞ?躾が行き届いておりませんでして申し訳ございません」
「ふふっ、構わぬさ」
てかその正室様、人間どころか存在してるどの国家よりも歳上なんだけどなぁ・・・。
そして俺の紳士(ロリコン)疑惑がたまに浮かび上がるのは一体どう言うことなんだぜ?
(まだ)嫁ではない姫騎士様以外は(ハリスくん換算で)全員歳上なんだけど?
「はぁ・・・いや、すまない、詮無き話をした。ふふっ、でも卿のおかげで随分と気持ちが楽になったよ。そうだな、それも国のため、家族のためだからな」
「何をおっしゃいますか!!そのような・・・そのような貴女が、貴女(と俺)だけが犠牲になるような婚姻など許されるはずが・・・ないじゃないですか!!」
「・・・そう言ってくれるな。卿に・・・あれほどの事を私にしてくれた男に・・・そのようなことを言われてはせっかく踏み切ろうとしている私の決意が揺らぐではないか・・・」
「そのような気持ち(結婚の決意)は揺らいで結構!なに、俺には策(本人が嫌がっているという言質を取ったので皇子に直訴)があります!鉄で出来た大船に乗ったつもりでお待ち下さい!」
「ふふっ、鉄で出来た船など沈んでしまうではないか。・・・ありがとう、では期待しないで・・・待っているよ」
『では、これでお暇します』と告げてエオリアと2人皇女殿下の部屋を退出する。
・・・あ、わん子のこと連れてくるの忘れた!!
「ふっ、これで・・・今回は嫁が増えることは無さそうだな」
「えっ?君・・・それ、本気で言ってるの?」
本気も本気ですが何か?
むしろなぜ冗談だと思ったのか?
―・―・―・―・―
ハリスくん幼女好き疑惑の出処はもちろんヘルミーナ嬢である(笑)
そしてスティアーシャ殿下、宮城(『みやぎ』ではなく『きゅうじょう』)に落ち着かずやたらと出歩くアクティブな性格の為に『あの』とか眉をしかめて言われがちだけどからっとした性格の一番お姫様らしいお姫様だったりします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます