東へ西へ編 その4 西にある国と言われて一番に思い浮かぶのは天竺(ガンダーラ)じゃね?
さて、今日の会議のおさらい。
・港を整えて軍船を買い替える。と言うか王国基準で最新鋭艦と入れ替える。
・帝国との間の山脈にトンネルを通す。
・ちゃんとした硬貨を鋳造する。
の3点を提案、紆余曲折・・・と言うほどのモノも無くほぼそのまま受け入れられることになったわけだが。
この中で一番簡単なのはもちろん『硬貨の鋳造』と『軍船の新造』。
硬貨の方は各金属の地金や今使ってる貨幣からの再鋳造、むしろ鉱石からの精製をするにしても魔道具を揃えておけばいいだけだし軍船の建造は魔導板さんと建設スキル・・・では無理そうなので造船スキルを新しく所得して作るだけの簡単なお仕事。
俺、帆船にはちょっとうるさいからね?
ジーベック最強!(ゲームの大航○時代的な意味で)
そしてガレアスとガレオンは名前がややこしいと思います。
もちろん造船のための材料、木材や鉄、そして帆船なので帆布用の布は大量に必要だけど各地から集ったリサイクル品や南都の周りの整地の際に出た使い切れないほどの木材が時空庫に入ってるので何の問題もない。
ああ、硬貨にプレスする(もちろんプレスはしないんだけど)ための肖像画を書かないといけないって体でオースティアお姉様のヌードデッサンとか・・・特に脱がせる必要は無い?・・・確かに。
ちなみに俺の知っているヌードデッサンにはモデルさんだけじゃなくて男優さんも居ると言う不思議。みんなもそうだよね?
で、通貨と言うか『金本位制』とか『銀本位制』とか『交換する際の比率』の話になるんだけど・・・非常に長くなるので省略。
個人的にはこの辺の話は大好物なんだけどね?
簡単に言うと
『金貨、銀貨、銅貨、ともに同じ重さでも純度がまったく違いますので今までの国内通貨、及び他国貨幣との交換率を考え直さないと損しちゃうよ!』
って話と
『国によって金と銀の値段が違うところもあるからそのへんも加味してね!』
ってことだな。
ちなみに金の純度が24段階になってるのは非常にわかりにくいと思うんだ。
24金(K24)が純金と言う。そこはもう100段階でいいんじゃないかと。
そしてK24のKはカラットのKなんだよね。
カラット、宝石の重さの単位じゃないのかよ、どうして別物なのに同じ単位使っちゃったんだよ・・・。
うん、完全に話がそれたな。
「とりあえずは旧王国貨幣及び帝国貨幣から新王国貨幣への交換比率は1.5対1、皇国貨幣は10対1、商国貨幣及びその他遠国のものは2対1で良いかと思います」
「ほう・・・しかし皇国に対してはかなり厳しい対応だな?」
「向こうからふっかけてきた戦争が現状継続中でお互いに戦時中でありますからね?そもそも現状で皇国との交易を認めておりませんのでこれといって問題はないでしょう?」
「くくっ、勝手に密輸入してる商人連中が大騒ぎしそうではあるがな!」
もしも騒ぎだしたらそのまま『御用改め』と言う名の討ち入りが決定するんだけどね?
まぁ硬貨を作るとしても数を揃えてからじゃないと流通させるわけにもいかないのでとりあえずは魔道具だけ設置してしばらくは王都と北都で量産に勤しんでもらうことになるんだけどさ。
そして日本の戦国時代と同じ様に銅鉱石からそこそこの量の金銀が採れることに驚かれたり喜ばれたりしながらも・・・俺の目的地は西の帝国。
灰吹法の説明?いや、魔道具使って精製してるだけだから細かい事を聞かれても・・・困る。
『てか帝国?商国に向かって海の旅じゃなかったのかよ!』って?
だってほら、トンネルのことだけじゃなくて通貨のことの連絡もしておかないといけないじゃないですか?
もしも納得してもらえるなら帝国のお金も王国の新貨幣と同じ基準に純度を合わせてもらいたいし。交易の度に毎回通貨の両替とかめんどくさいこと甚だしいからね?
向こうも譲位が近いみたいだから改鋳にはちょうど良さそうだしさ。
何にしても外交官でもない貴族(俺だな)が勝手に他国に行っちゃうと亡命か宣戦布告と取られかねないので先触れを送ることに。
・・・送ることにしたんだけどね?
ほら、帝国に行こうと思ったら王国から山を越えないといけないじゃないですか?
馬や徒歩だと物凄く時間がかかるんだよ。
西都から帝国の一番近い街まででも2週間はかかるらしいし。
帝都まで徒歩だと片道ひと月は見ておかないといけない。
だからサクッとメルティスとサーラの2人に王国の国旗とラポーム家の旗を持たせて送り出そうと思ったんだけど。
「ハリス、あれは・・・第二皇子と王女殿下のいざこざの事で今でも帝国を潰そうと思ってたんだね?」
「いえ、今のところ帝国に思うところなどは一切ございませんが」
2人の姿を見慣れているはずのコーネリウス様に何故かドン引きされた。
想像してみて欲しい。
ちょっと(ちょっととは言っていない)厨二病っぽい漆黒の全身鎧を纏った見た目ゴツゴツ(中の人はやわらか)した騎士が珍走団も裸足で逃げ出す様なゴテゴテとしたデコトラならぬデコバイクに跨って背中には旗まで差している姿を。
さらに初めてのお使いに挑む幼児の様に気合を漲らせている2人。全身にやる気(威圧感)を漂わせオーラの様に揺らいでいる。
そうだね、2人に似合うBGMは初めてのお使いじゃなくてクリスタル○ング(世紀末的なアレ)だね!
むしろ戦闘力的には高橋○子(新世紀的なアレ)かもしれないと言う。
ほら、初○機(サーラ)はたまに暴走しちゃうし?
どっちにしてもただの危険物なのに違いはない。
「ま、まぁ第二皇子とは面識もありますし?大丈夫・・・だといいな?」
「そうだね、大丈夫だといいね・・・」
「とりあえず通りがかった村々で懐柔のために飴玉でもバラ撒かせましょうか?」
「全くの初見だとして君はあの2人がバラ撒いたモノを口にしようと思うのかな?」
もちろん絶対に食べません、むしろ拾うこともしませんが何か?
そもそも懐柔しているはずなのに怪獣が来たと大騒ぎになるかもしれないな。
コーネリウス様が「キーファー家から早馬を出そうか?」と気を使って(正気を疑って)くれたけどそこまで気を使わなければいけない相手でもないしなぁ。
そう、俺の心遣いに対して刺客――アレと呼ばれるような妹――を送り込もうとするヤツなど少し苦労すれば良いのだ!!
てなわけでメルティスとサーラがバイクに跨り出発・・・する段になってふと思った。『あれ?山越えに苦労するなら飛び越えればいいんじゃね?』と。
ほら、俺って飛行系の魔法も使えるじゃないですか?
で、それを2人に伝えたんだけど2人に心の底から拒絶された。
そこまで力いっぱいの拒否とかちょっとうちの奥さん酷すぎではないだろうか?
まぁ前回の時は着陸時に生まれたての子鹿みたいになってたし軽く粗相もしてたもんね?
でもそのあとちゃんと2人ともお風呂で洗ってあげたじゃないですか?(ゲス顔)
「いや、空からいきなり越境するのはどうかと思うんだけど・・・そもそもハリスは能力を隠したがっていたと記憶してるんだけど?」
「だって2人に苦労をさせてまで隠すほどのモノでもないですし?」
「ハリスは本当に嫁大好きっ子だなぁ。あ、もちろん私もお嫁さん大好き、娘も大好きなんだからね?」
「いや、知りませんけど・・・」
何故か慌てながらそう付け加えるコーネリウス様だった。
―・―・―・―・―
次回!帝国編開始!・・・するといいな?
てかハリスくん、原案では孤児院からシーナちゃんと2人で帝国に亡命、一緒にダンジョンに潜ったりする予定だったんだよなぁ・・・。
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