南の都編 その11 引き抜き工作と言うか売り込み工作?

結婚式その他諸々も終わったのでいよいよ南都の建設予定地・・・何回も言ってるよなこれ。

そして残念ながらまだ外回りではなく内回りの処理が完了していないので行けないと言うか行かないんだけどね?

まず一つ目はここ、王都のお屋敷。

現状でもやりくりにメイドさんをキーファー家から少人数借りてる状況だしさ。

簡単に言うと執事さんとそこそこ大量のメイドさんが必要なのだ!


てかうちのお屋敷、門衛から厩番から庭師までまったく居ないんだよなぁ。

てことで執事の方はジョシュアじーちゃんにラブコールを送って公爵家から出向してもらえることになったので王都のお屋敷の管理は丸投げすることに。

門衛や宿直(とのい)はじーちゃんの伝手で退役した騎士さんを雇えるらしい。

てか新しい都市の警邏とかも任せられそうだしやる気があって働けるなら大量に雇って大丈夫だからね?

むしろ怪我等で働けない人も雇って大丈夫。給金からの分割払いで安価で治療するし。


ジョシュアじーちゃんの顔が広いおかげで思ったよりも簡単に男手が揃ったと言う。

てかよくよく考えなくとも公爵家騎士団の退役騎士とかちょっとした将軍レベルの人材もいるんだよなぁ。

某うちのおっちゃんもそのうちスパルタ教育してもらおう。

いや、レベル的にはおっちゃんの方が強いんだけどさ、指揮とか戦術とか。


続いてはメイドさん。とりあえず各ご家庭でお嬢様付きだったメンバーから何名かずつ・・・だけだと内部抗争で血を見そうだと。

いや、なんでやねん。物騒だな・・・上級貴族様のメイドさんs’。

仕方がないので各お宅で希望者を募ってみると各ご家庭平均で7割くらいのメイドさんから移籍願いが出たという。

大人気だな俺、というかおそらくうちの屋敷のバス・トイレ。

メイドさんの実家との兼ね合いもあるのでそのへんの問題が無さそうな人員、今回は平民の娘さんだけで選出してもらった。


教育とかドーリスに任せたいんだけど男爵領での仕事があるしなぁ。

『どうしよう?』と思ってたらオースティア様とマリア様が教育を引き受けてくださった。

はい、しばらくはお泊りで。それは添い寝などは・・・いえ、何でもないです。

フィオーラ様、リリアナ様、とても怖いので貼り付けたような笑顔で両サイドから見つめないください。


もちろんお二人共大歓迎させていただき・・・えっ?夜はガイウス様とマルケス様もお泊まりにいらっしゃると?

ばんごはんには毎回必ずデザートを付けて欲しい?

ちょっと何言ってるのかわからないです。

あと娘婿の家をラブホ扱いするのはお控えください。


てか南都の建設が落ち着いたらヴァイデ男爵領、もちろん製塩施設込みでフリューネ侯爵家かヴァンブス公爵家に譲ろうと思ってるんだよね。

さすがにあっちもこっちもは見てられないしさ。

それに南都では砂糖とか何やかやを生産予定だから海水塩の利権くらいは手放しても問題無いのだ。

もちろん魔道具と魔石もお安く納入させていただきます!


ヴィーゼンの領民に関しては希望者がいればもちろん南都に付いて来てもらおうと思ってる。

最初はもののついでに一揆を起こしそうだと思ってたけどむっちゃ真面目に働いてくれてたし。あとバケツ幼女、見てて和むし。

塩作りから砂糖作りで『白い粉を扱う仕事』って括りでは同じだもんね!


まぁあれだ、とりあえずは集まってもらったメイドさん達との顔合わせである。


「改まりまして、クロエでございます。これから末永くよろしくお願いいたします旦那様」

「Cさんはこっちに来てくれることになったんだ?てか北都組のメイドさんいっぱいいるけど勤務予定地南の端っこだよ?ご実家の方は大丈夫なの?」

「もちろんでございます。例え違う大陸までであろうともお供させていただきます」

「うん、別に流刑にされるわけじゃないからそんなに遠くには行かないけどね?」


今のところはそんな長距離の旅に出る予定もないし。

今回集まったメイドさんはおおよそ50名。内訳はキーファー家20名、その他のご家庭が各10名ずつって感じかな?

てかこうやって並んでると某アイドルグループの選抜メンバーみたいだな。

超上級貴族家に行儀見習い(花嫁修業&婿探し)に出るような女の子たちだからルックス偏差値がやたら高いんだよ。お手つきにとかしないからね?


もちろん見た目以外のレベル、職務面も優秀・・・なはず。そう思いたい。

Cさん以外のメンバー、顔を知ってるメイドさん、初めて見るメイドさんと見渡す。

まぁこの人数だと全然足りないので新しい人を募集する事になるんだけどね?


「ハリスさん!今ちらっとこっち見ましたよね!?どうしてクロエにだけ声をかけて私はスルーしたんですか!?」

「いや、感想が『あ、居たんだ?』くらいだったし?」

「酷いです!初めてお会いした時からあんなに仲良くしてくださってたのに!エッチな感じのお話もしたのに!」

「知らない人も居るから風評被害をばらまくのは止めなさい。そして俺の方はそこそこ距離を取ってた気がするんだけど・・・」


うん、CさんだけじゃなくAさんも居たんだ。

てかAさんとの想い出、『俺の晩飯食われた』とか『俺のおやつ食われた』とか『ミヅキのおつまみ食われた』とかしか無いんだよなぁ。



王都のお家のことを任せる人員の次はもちろん『領地の事を任せる人員』である。

そうだね、あの男だね!


「てことで宜しく」

「相変わらず突然だなぁ。そしてまったく何のことかわからないんだけど?て言うか君さ!お宅訪問の時も結婚式の時も連れて行くだけ連れて行ってほったらかしにするとか酷すぎないかな!?」

「ちょっと見てて面白かった。反省はしていない」

「反省くらいはしようよ!!ストレスであのあと3日くらいお腹壊したんだからね!?」


やってきたのはもちろん東の港町・・・ではなく王都のラフレーズ伯爵邸。

ご長男が領地(エルドベーレ)に戻ってご次男(エオリア)が社交――と言うか俺担当として王都に残っているらしい。


「しかしアレだな、あれだけあくどく金稼ぎしてる割には質素な屋敷だな」

「心の声が口から漏れてるからね?あとうちは色んな所からの税が凄いからそれほどの収入は無いからね?」

「などと不満を漏らしていましたと義父上(王様)と義父上(フリューネ侯爵)に伝えておけば良いのかな?あと茶のおかわり」


「絶対に止めてね!?そしてとりあえず帰ってもらってもいいかな?」

「あれやぞ?わし侯爵様やぞ?」

「そうなんだよねぇ・・・そして年内には公爵様とかもう意味分かんないよねぇ・・・」


だらっとした姿勢でうだうだする2人。

てかお部屋の中で控えてるメイドさん。

たぶんエオリアの友達が遊びに来た程度に思ってただろうに俺の発言で「侯爵様!?」そしてエオリアの発言で「公爵様!?」ってアワアワしてるし。

ちょっと可愛らしいのでうちのメイドさんにくれないだろうか?


「で、まぁ少し真面目な話になるんだけどさ。エオリアはラフレーズ伯爵家は継がないんだよね?」

「そうだね、普通に優秀な兄がいるからね。特に僕がどうこうなるようなことはないよ?このまま家業手伝いって感じさ」

「言い方は悪いけど安心した。ならうちに来ないか?すぐには無理だけど伯爵までは保証するよ?」


「えっ?・・・えっ!?いやいや、いきなり何の話なのさ!?」

「何の話も何もそのままだけど?噂程度には聞いてるだろ?南都の建設」

「もちろん聞いてはいるけどさ。何十年、いや、何代かけて開発するつもりなんだって言われてるよね」


常識で考えたらそうなるよな。

一から樹海の開拓をするとなると。


「予定では年内に終わらせるつもりだけどな!で、そうなってくると官僚とか必要じゃないですか?」

「サラッととんでもないこと言うね君・・・南部のあそこらへんって平地も殆どない場所でしょ?道を通すだけでも国が破産するほどのお金が掛かりそうだけど」

「道くらいなら南の山脈の麓まででも3日くらいで開通出来るんじゃない?」

「仮に道があったとしても到着するのに10日以上はかかると思うんだけどね・・・」


いや、道さえあれば余裕を持って1日で着くだろう。


「まぁそんな感じなんで奥さん連れて来ない?今なら新しいお屋敷も付けるよ?そもそも現地にはあばら家どころか洞穴くらいしかなさそうだけど」

「もちろん男爵位で飼い殺しだと思ってた僕としては諸手を挙げて大歓迎なんだけどさ、。ほら、奥方のご実家の意向とか大丈夫なのかい?僕、暗殺とかされない?」

「飼い殺しとか世知辛いな・・・義実家の方は特に何も無いかなぁ。むしろ有能有望な人材がいれば紹介して欲しいんだけどねぇ。知り合いに居ないかな?能力があって暇そうな人」

「面識のある人間で何人か居るけど・・・一度集めてみようか?そこそこ癖は強いけどみんな無能ではないよ」


男爵領が広がった時に集めてもらった人間がアレだったからなぁ。

いや、あの時はサーラを見つけられたんだから十分すぎるか。

そしてサーラはどちらかと言えば集めてもらった人材じゃんなく話を聞きつけて勝手に来た人材だったんだよね。

マジ行動力が凄いなうちの嫁。


そして癖の強いメイドさんに続いて癖の強い官僚ゲットだぜ!・・・でも限度はもちろんあるんだからね?

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