新しい年と皇国の脅威

新しい年編 その1 隙きあらばおっぱい

最終的に帰宅組のメンバーはオースティア様とフィオーラ嬢、コーネリウス様の奥様とヘルミーナ嬢とご嫡男、その他3名と言うことに。

馬車はもちろん俺の馬車とキーファー家の馬車の2台だ。

あ、誰が何処に乗るかの話し合いが長くなりそうなのでコーネリウス様のお身内だけお預かりしますねー。

もちろんメルちゃんとサーラ嬢も共に帰宅する。


てか2人、駐車場の空きスペースで待ち時間ずっと稽古してたらしく、その様子を見学していたらしい厩番さんとか他の馬車の御者さんたちが顔を引きつらせていた。

いや引きつらせるというか『バケモノみたいな格好した変なやつが居ると思ったら本当にバケモノだった』って顔をしていた。

人間離れした速度で木剣を振り回し、骨が粉々になるような手加減なしの強さで鎧にぶち当てられても特に気にせず、馬鹿げた長時間2人揃って裂帛の声を上げながらぶち当たってるのを見せつけられたらそんな顔にもなるわな。


そんな中現れる美少女の集団。


『おい、ご貴族様、て言うかあの赤い人って王女様じゃねぇか!?誰か、誰かそこで暴れまわってる気の狂ってる2人を止めろ!!もし巻き込んだりしたらここにいる全員まとめて処刑されるぞ!!』


みたいな空気でわたわたし始めたけれど・・・そこの2人、関係者なんすよ。なんか本当にごめんなさい・・・。


「ハリス・・・ミーナはねむいのです・・・おうちについたらまただっこしてベッドまではこんでほしいのです・・・」

「そうですね、お付きのメイドさんにちゃんとお伝えしておきますからご安心しておやすみを。そして未だ嘗て、一度もお姫さま抱っこでベッドにお運びしたことはないので『また』と言うのはおかしいです」

「もう、ちがうのです!メイドではなくちゃんとハリスがおひめさまだっこではこぶのです!」

「後半の話はスルーされるのですね?てか、おねむなのにお元気でありますね・・・」


くっ、今はそんな甘えた感じで可愛い声を出してるけど姫騎士様は普通にハキハキと話せる子だってもう知ってるんだからねっ!!

あと変にお部屋まで運んだらひと月後くらいに『あかちゃんができました』とか言い出しかねないと言うことも・・・。


そして公爵邸に帰ってからヴィーゼンに戻る際にもうひと悶着。

いや、メルちゃんとサーラ嬢は護衛なので一緒に帰るのは仕方無いんです、皆さんはそのうち、そう、そのうち連れていきますから!

そもそもあそこは俺の家じゃなくただの親戚の家だからそこに連れて行くって言うのもよくわからない行動なんだけどね?

内陸部で暮らしているお嬢様方は海とか見たこと無さそうだし、一度くらいは遊びに行くのも良いかもしれない。


そんなこんなで・・・やっと男爵邸に帰宅するとお留守番組の幼女2人とメイドさんがお出迎えしてくれる。ほっと一息だな。


「おお、ヴィオラはこんな遅くまで起きてられるんだな?偉い偉い」

「あんたよりお姉さんなんだから夜ふかしくらいするわよ!!」

「おかえりなさいませ御主人様」

「ドーリス、何度も言うけどそいつはご主人様じゃない・・・まぁいいわ、どうせそのうち私の婿になるんだから同じよね」

「ならないけどね?」


見た目同類なのにヴィオラとヘルミーナ嬢のこの落差よ。君はいつまでもそのまま無邪気な幼女でいてね?

でもこの子も婿取りしないといけない年齢なんだよなぁ。わけのわからない貴族のバカ息子とか押し付けられたら塩の生産に支障ががががが。

・・・まぁそれ以外にも親戚のお兄ちゃんとしては色々と心配もしちゃうしさ。


「何故だかわからないけれど妙に生暖かい目で見られてるのがすごく不愉快だわ・・・」

「飴ちゃん食べるか?」

「食べるわよっ!!」



王城で一応――ひな鳥の様にリリアナ嬢とアリシア王女にごはんを運んできてもらってたので。でもほとんど残したけどさ・・・甘ったるい味付けが多くて俺には無理なモノが多かったんだ――食事はしてきたけれど小腹の空いてる俺。

ここはアレだな、年越しそば・・・そば粉もそばの実も買った記憶がねぇな。そもそもハリス君(の中の人の出身地の地方)ってあんまりそばって食べないんだよね。

キツネさんがイメージキャラクターのメーカーのインスタントの奴を年に何回か食べるくらい?

ならば年越しうどんか?


「てなわけでまずは小麦粉を用意します」

「お前は城から帰ってきてそうそう何をしているんだ?」

「いや、年越しの・・・縁起物?でも食べようかと。メルちゃんとサーラもごはん食べてないでしょ?」

「王城に向かう前、公爵家を出る前にちゃんと頂いたぞ?まぁそれなりに空腹ではあるが・・・でもこんな時間に間食すると体重が増えそうだし・・・」

「乙女か」

「私はどっからどうみても乙女だろうが!?」


おおう、失言失言。そして帰宅直後でまだ2人とも黒い鎧脱いでないから普通に乙女じゃなくプレデ○ーだからね?

少しオコのメルちゃんと斜め後ろに控えて何か用がある時はすぐ手伝えるように待機するドーリスに見られながらちゃちゃっとうどんを捏ねる。

年越しうどんとは言ったものの出来上がったのは年明けなんだけどね?寝かせる時間もあるしさ。


その間にお出かけ組は3人でお風呂に入ってさっぱりしてやった。

一緒にお風呂(俺だけ2階のお風呂)だったけどな!!

てかみんなに「眠いなら先に寝てもいいからね?」って言ったら「食べてから寝る」って返ってきたし。


「変わった食い物じゃの?細長くて『くしかつそーす』の匂いがするのだ。ほう、焼いたからそーすが焦げて香ばしくて良いの」

「食欲をそそるかおりね!あ、そっちの方がお肉が多そうだから交換して?」

「お前らは普通に忘年焼き肉パーティをしてたはずなんだから遠慮をしろ遠慮を」


「おいしいです閣下!私、ここん家の子になってよかったです!」

「うう、確かに美味い・・・でもあんまり食べるとお腹にお肉が・・・」

「サーラは絶対に覚えてないと思うけどここのご家庭は『ヴァイデ男爵家』だからね?俺の家じゃないからね?そして毎日、今日もつい先程まであれだけ2人でカロリー消費してたんだから絶対に腹に肉とかつかないと思うよ?」


贅肉が無いからと言ってボディビルダーみたいに筋肉でバキバキになってる訳でもない不思議。

例えるなら部活少女みたいな身体つき?なんかエッチだなそれ。ブルマコスプレ計画を速やかに再稼働するべきだな。体操服であんな激しい殴り合いとか危険すぎるからあくまでもプレイ衣装になっちゃうけど。


あとすでにお気付きかと思いますが年越し『焼きうどん』になりました。

もうそれ年越し関係なくね?まぁ普通のおうどんだったとしても既に年は明けてるからただの夜食なんだけどな!受験の追い込み中か。


「どうかしたかの?年寄りみたいな穏やかな顔になっとるぞ?あれか?おっぱい揉みたいんじゃろ?」

「お前は隙きあらば俺におっぱいを揉ませようとするよな!?そして穏やかな顔の年寄りはおっぱいは揉まねぇんだよ!だいたい揉むならドーリスの」

「どうぞ」

「食いつきが早ぇなおい!今のはあくまでも『もののたとえ』だからね?そもそも職務中のメイドさんにおっぱい揉ませろって言うのはセクハラでパワハラだから!いや、職務中関係なくセクハラだったわ!最近はこう言うツッコミもロジハラって言われるらしいしどうしろっていうんだよ!」


今年最後の一家団欒の雰囲気に少しほんわかと温かい気持ちに、そしてその何倍かの涙腺が少し弛みそうになるセンチメンタルな気持ちに酔いしれてたらこれだよ!

繰り返すけど既に年も明けてるしな!相変わらずしまらねぇな・・・。



「新年あけましておめでとう。昨年はここに居る皆に迷惑をかけ・・・られただけのような気がするけど今年もよろしく!」



「おねえちゃん、私達見えてるよね?ちゃんと生きてるよね?全然認識されてない気がするんだけど?」

「大丈夫・・・きっと私はハリスにとって空気・・・のように自然な存在という事」

「自己評価が建設的すぎるよおねえちゃん!?」

「あとおうどんおかわり・・・」



その日は少しすることがあるのでミヅキとは別の部屋で就寝することに。


「あれかの?爺さんみたいになっとると思ったら今度は自慰さんになるのかの?」

「新年早々シモネタはやめろ!」


いや、もうすでにおっぱいの話してるから早々でもないな、うん。

てかなかなかないよね?女の子に囲まれてのんびり団欒してる空間でおっぱいの話することなんて・・・。


―・―・―・―・―


よし、時代がハリス君に(ハリス君が新年に)追いついたっ!!

新年だから新章スタートっ!!


・・・って1月1日に言いたかったんだけどなぁ。

いや、新年一発目予定だったモノのタイトルが『おっぱい』はどうなんだと(笑)


さらに赤と緑のコンテストをやってる最中にあえて『ど○兵衛』押ししちゃうと言う

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