新しい同居人編 その29 鉄壁のガード
さて、もちろん入場しただけで本日の俺の予定が全て終了するなんて都合のいい事が起こるはずもなく、引き続きパーティ会場継続中の俺である。
いや、そもそも今日は年越しの為の宴なのだからいつもの5倍くらいの長時間コースは避けられないんだけどさ。
・・・もちろんいつもの夜会を知らないからどれくらいの時間なのかよくわからない&仮眠も可能ではあるらしいが。
下級の貴族は王城でご宿泊を楽しみにしている人もいるらしいし。
楽団は居るけどダンスをするわけじゃないので会話の邪魔にならないように静かな調べを奏でてる。
ダンスパーティとかマジ勘弁だからね?
それを考えると年末年始の挨拶と顔を覚えてもらうことがメインなのはまだ救いか。
『肉食獣』否『肉食嬢』全員と踊らされるとか命に関わりそうだしさ。
『そういえば外国の子供ってアレがあるんじゃないの?ほら、アレ。デ・・・デ○ィたんがポールダンスみたいな名前のやつ!』
と疑問に感じる方も居るかも知れないが・・・デビュタントポールの習慣は無いらしい。てかここ、外国じゃなくて異世界だしね?
まぁかわりに(?)教会で例のアレ(祝福の儀式とか言うスキル確認会)が10歳で行われてるし、15歳になれば成人式もある。
あと夫人を『たん』付けで呼ぶとか斬新すぎるだろ。
もちろん普通未成年(15歳以下)は身内主催以外のパーティに呼ばれることはないんだけどね?年末と年始の王城の夜会は特別らしい。
てか夜会と言うよりも『年に一度の貴族のお祭り』って言う方が正しい感じかな?
普通の王城で行われる夜会には男爵家以上しか参加出来ないけど今日は普通に士爵や准士爵なんかも参加出来るもん。もちろん家族連れで。
だから今日はお子様が大量にいるのだ。ご入場が終われば保護者(主にお母様)と一緒に子供専用の別室に移動するんだけどね。
お子様だけじゃなく大量にいる男爵家以下の下級貴族も入場の賑やかしが終われば別室に移動させられるけれども。
普段はこちら(上級貴族)側のパーティに参加出来てるのにあちら(下級貴族)側に回される男爵家がかわいそう?
いや、向こうに行けば男爵家が最上位貴族になるから向こうのほうが気楽だと喜んでると思う。少なくとも俺なら喜ぶ。俺、顔を売る気とかゼロだから・・・。
そもそも貴族に向いてる日本人(元)高校生なんて居るがはずがないんだよなぁ。
男爵と言えばヴィオラはどうしたのかって?彼女はほら、こう言う催し物にはまだ早いから置いてきた。
ミヅキももちろんお留守番組だ。だって今日はメルちゃんもサーラ嬢も王都にいるからさ。男爵領は男爵領で年末の祭りをドーリスの仕切りで行っているのだ。
相変わらず肉が中心ではあるが菓子なども下賜してきたからね?菓子を下賜。
ちなみに未成年者でもお昼のお茶会などの参加には(もちろん主催者にお呼ばれする必要があるが)特に年齢制限はない。
そして俺もまだ今日までは未成年なので是非ともお母様方がいっぱいいる子供用の別室のホールに行きたいです。
そっちの部屋の人達は入場のセレモニーさえ終われば飲み食いした後いつ帰ってもいいらしいし。俺もとっとと帰りてぇんだよ!
まぁそちら(お姉様の園)に行く前にするべきことをしておかないといけないのでこちらに残ってる俺。
そう、他のご貴族様との名刺交換会ならぬ挨拶会だな。
いや、俺はスキルで相手の名前が視られるからいいけどさ、1回2回挨拶を交わしただけで似たような格好、似たような髪型のおっさんを覚えろとかそこそこの無理ゲー、例えるならヒント無しの神経衰弱だと思うんだ。
一応は装いのどこかにに家紋の入った刺繍やアクセサリーが配置されてるらしいんだけどそんな難易度高めのアハ体験みたいな違いわからねぇよ・・・。
てことで挨拶なのだが・・・俺には特に挨拶するような人間はいないんだよねぇ。
ラッパーじゃないけど『悪そうな奴(地方都市を治めている最上級貴族の方々)はだいたい(御令嬢と)友達』だしさ。家長様のお顔も知ってるし。
最初に通された待合のサロンで拝見したお姉様方・・・色とりどりのドレス、オースティア様は少し攻めた感じの背中の大きく開いたドレス、マリア様は基本を押さえたクラシックな雰囲気なのにあの驚異の胸囲を内包させたドレス、アリーサ様は・・・王都にいらっしゃらないから不参加なのが寂しい。もちろん違うお姉様、馥郁おじの一番お若いご側室が参加されてるんだけどね?
満面の笑顔でご挨拶した後そっとお姉様の手を取り手のこうに口づけを・・・しようとしたら娘さん方に阻止されたのはとても業腹だと思いました。フィオーラ嬢がいつも邪魔する(プンスコ)。
うん?王家の方々に挨拶?なにそれおいしいの?わざわざこっちから行かねぇよ面倒くせぇ。どこかから『お前そう言うとこやぞ』って聞こえてきたけど敢えて無視する。
そんなとても、とても楽しかった待合室でのお姉様方との甘い時間(とき)は過ぎ去り上級貴族様の集まるパーティホール。
いつの間にか三大美女全員とあまり社交界には参加しないヴェルフィーナ嬢の4人に囲まれている俺。
知ってるぞ?これって包囲殲滅陣って言うんだよな?
お姉様方に負けず劣らず各々を最大限まで引き立てる斬新とも言えるデザインのドレスをまとう美少女が4人も集まってるものだからこの一画だけ華やかさが段違いだからね?
てかさ、リリアナ嬢とアリシア王女。俺、そこまで健啖じゃないから。2人でお皿に色々と料理を盛ってきてくれるのは嬉しいんだけどそんなに食べないから。
そう、公爵家の晩餐会ですでに経験してる通り・・・見た目は悪くないモノがほとんどなんだけど味がね?あんまり美味しくないんだ。
『この世界の人と俺とではそもそもの味覚が違うのか?』なんて思いもしたんだけどさ、色んなご家庭でお料理したじゃないですか?
その際にはみんな普通に美味しいって食べてくれるんだよね。お子様のお皿の料理が残ってなかったことから特にお世辞とかでは無さそうだし。
いや、原因はわかってるんだよ?だって外食してる時はそこまで味のおかしなモノってあんまりないもん。
『高い食材に高い調味料を組み合わせる事が至高』みたいな考え方が・・・特にパーティ中に長々とする話ではないな、うん。
てかついでにまったくの余談になるんだけど
『4人の絶世の美少女(ギリギリセウト含む)』
4人ということを鑑みて、例えるとしたら最初に出てくるのは
『ミカエル』
『ウリエル』
『ラファエル』
『ガブリエル』
の四大天使だと思うじゃないですか?
いや、おそらく笑顔の彼女たちは他人から見ればそんな感じで見えているはず。
でもあれだぞ?俺の中では
『多聞天(北・・・フィオーラ嬢)』
『持国天(東・・・リリアナ嬢)』
『広目天(西・・・ヴェルフィーナ嬢)』
『増長天(南・・・残ってるアリシア王女)』
の四天王だからな?字面だけですでに厳ついんだけど?
だって当人たちから発せられる圧がすごいんだよ圧が。
そしてアリシア王女を残り物扱いはやめて差し上げろ、本人の耳に入ったら泣いちゃうから。
話が完全にそれたけど・・・挨拶の話の続きだな。
挨拶、もちろん俺から他人の元には行かない。
公爵家はキーファー家とヴァンブス家だけなんだけど侯爵家はフリューネ家以外にも2家あるし、伯爵家もそこそこあるみたいだけど特に行かない。
子爵家?そもそも行く必要がない。・・・だって変に繋がりが出来る方が厄介なんだもん。
一応あいさつ回りをしない言い訳として『まだ未成年ですから』が通るのだ。・・・それも今日まで、残り数時間だけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます