新しい同居人編 その27 私のために争うのは止めてっ!!

塩や鋼や魔水晶や布や革といった商品の補充などで結局たいしてのんびり出来ていない年末。

ノルド(ノルデン)商会が支店ともども取り潰された為、王国内での物資の流通にそこそこどうしようもない混乱が発生しているので『今回に限り』俺が各地方都市のご領主のお屋敷に直接品物を卸してまわったからね?

そこいらの商会よりもお安めに卸していることもあり、販売店(ディアノ商会や公爵家、侯爵家などなど)に売上金がかなりの額溜まっているらしいが特に使い途が無いところが寂しい。


・・・妄想だけで一度は断念したが、エルドベーレに土地を押さえて

『リゾート開発という名目で一大歓楽街(風俗街)を築く計画』

を再開すべきであろうか?


楽しかったことと言えばオースティア様のご紹介でいろんな上流のご貴族のお姉様方と知り合えたことくらい。

石鹸も洗髪剤もキーファー家の取り扱いで少量だけ販売していたりする。

もちろん下着に関してもオースティア様が取り仕切って完全予約制で。

お値段は・・・ものすごくお高いです。でも売れてる。

だってそこいらのモノとはフィット感がちがうのだから。


色っぽいお姉さんの着用姿を妄想しながらパンツを作る時間だけが最近の俺の潤い。

フィオーラ様、少し出て行ってもらえませんかね?貴女がそこにいるとお姉様方のフィッティングが出来ませんので!!

頼まれてもないのに余計なことはしなくていい?相手に言われてから行動するのは二流なんですよ!?


ちなみにオースティア様にも玉パンをお見せしたところいたく気にいられたご様子。

ちょっと血涙が流れ出すくらい着てるのを拝見したいんですけど・・・。この人は人妻、この人は人妻、この人は今は人妻・・・。

いかん、ちょっと油断したら危うく某野蛮な方の人の暗殺計画を事細かく練っちゃうところだったよ。


このままパトスを溜め込まないためにも帰ったらドーリスとダーク姉に着てもらって・・・ダーク姉は止めておいたほうがいいよな、うん。

黒い肌、白い玉から覗く・・・桃色の片○い。松浦○弥に飛び蹴りくらいそうだな。

ドーリス?彼女もほら、どこまでも甘やかしてくれそうで歯止めがかからなくなっちゃうかもしれないから俺みたいなダメ人間にとっては危険度が非常に高い存在である。



まぁそんなお姉様のパンツの話(?)は置いておくとして。

今回こそ本当に今年最後のイベント、王城での忘年新年会である。

てか戦争があるかもしれない、むしろ既に他所の国から喧嘩売られてるのに呑気だよなこの国の貴族。

もちろん忘年新年会にも正式名称はあるが特にどうでもいいことなので割愛する。


俺は関係ない行事だと思ってるけど、都貴族に取りたたて貰いたい地方貴族が自分を売り込むのに大量に押し寄せるからいつもは閑散としてる上級貴族街の街道がこの時期だけはがやがやと賑わっていたりする。

人の大量に集まってるところ、それも貴族が集まってるところとか心の底から行きたくねぇなぁ。


「ハリス、ほら、君も大貴族の一員なんだからね?そんな『貴族の集まりに出るくらいなら国を出てやろうか』みたいな顔してちゃいけないよ?」

「心の中を推測してピンポイントに当ててくるの止めてもらっていいですかね?」


そしてもう馬車に乗り込んでるんだからいまさらごねないですからね?

うん、俺の黒馬車には今日はお客様(コーネリウス様ご家族)が一緒に乗ってるんだ。

ここん家のご嫡男、久しぶりに見たよ。そしてご長女は当たり前の様に俺の膝の上に座ってるんだけどパパもいるよ?ここがいい?畏まりました。

そして馬車に乗る前に「どうして私は向こうの馬車なのかしらっ!?」といつもの方がごねてましたけどそっちの馬車、貴女の所有物ですからね?

もう少し大切にしていただきたい。ちなみに俺もオースティア様とそっちの馬車に乗りたいので代わっていただいても・・・かわらないですかそうですか。


それほど急ぎでもないけれどもお屋敷でのんびりしてるとさらに行きたくなくなるのでさっそく出発する公爵家御一行with俺。

先頭にはバイクに跨るサーラ嬢。相変わらず外見の威圧感と異物感が凄まじい。

キーファー公爵家とアプフェル伯爵家の大きな旗を背中に差しているその姿は完全に戦国時代の傾奇者。今度赤い槍も作ってあげよう。

てかサーラ嬢、特に意識すること無く力こそパワーを地で行ってるからなぁ・・・。例えるなら『優しくないゴリラ』なのである。見た目は美人さんなのになぁ。


その後ろに続くのはメルちゃんの運転する俺の黒い馬車、そして最後尾がジョシュアじーちゃん運転する公爵家の真珠色の馬車である。

公爵家の旗もあるし妙な乗り物にのってるしサーラ嬢はサーラ嬢だしでビックリするくらい他所様の注目を集めているんだよね。


当然(公爵様は)道を譲られる身分なので特に問題もなく王城まで――門衛さんが『なんか前見た時より増えてるぞ!?』みたいな顔してたけど――到着、公爵家ご一家と俺が馬車を下りるとサーラ嬢とメルちゃんとじーちゃんはお城の厩でそのまま待機する。

あ、サーラ嬢も馬車に乗って待ってるといいよ、外は寒・・・くもないな、その鎧、体温管理してくれるもんね。


冬場に生あたたかい鎧、快適なんだか気持ち悪いんだか・・・。もちろん運動などして体温が上がると涼しくなる。


俺たちは城内の待合室というか上級貴族用のサロンでしばらくはのんびり。

・・・出来ると思ったのに・・・。


「ハリス、貴方は当然私をエスコートしてくれるわよね?」

「ハリスちゃんはおねぇちゃまとお手々つなぐんだもんね?」

「まぁここは肌を晒しあった仲の私と入場するべきだと思うよ?」

「・・・年の瀬くらいは最年長をたてるべきであろう?」


そう、すでに登城していた見目麗しいご令嬢方が揉めているのだ。


何をかって?もちろん聞いて貰った通り『俺が誰をエスコートしてパーティ会場に入場するか』についてに決まってるじゃん。

これまで『一応(性格的にはアレな人物だったけど)婚約者がいたおねぇ・・・リリアナ嬢以外はずっと父親(または兄)に手を取られてのパーティ参加』だったからか、絶対にこれだけは譲れないと全員の目が座っているので各々の保護者の方々ですら目をそらしてる。


「おばさまがた、ハリスはわたくしとにゅうじょうするのですよ?」


そしてそこに加わる最年少の姫騎士様。いや、マジ色んな意味で幼女強すぎだろ。物怖じしない無敵メンタルなのである。

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