新しい同居人編 その26 満を持して風の精霊様登場
おかしい・・・年明けに合わせて物語の新年を持ってくるはずだったのに年末部分が未だに終わらない・・・。
―・―・―・―・―
その後はフリューネ家で久々にウサギさんとのんびりと遊んだ後ヴァンブス家にもお届け。
もうね、まじ可愛いよねウサギさん。食べるのは野菜じゃなくて土属性の魔水晶だから一般家庭での飼育には向いてないけど。
そもそも一般家庭で精霊様は飼わないのは置いといて。
そして遂に明かされる驚愕の真実!!
なんと、ヴァンブス家の風の精霊様・・・ペンギンのあかちゃんだった。
風要素!いや、一応そいつも鳥だけどさ!ペンギン、どっちかと言ったら風じゃなくて水(海)じゃん!
あと成体じゃなくあかちゃんってところがあざとすぎだと思いました。
いや、クマも子グマだし精霊様は全員が幼体・・・ウサギさんは普通におっきい子だったな、うん。
てかさ、ペンギンってさ、臭いんだよ。そこそこキツめに生臭いんだよ。
そしてあの外見のくせして結構凶暴だしさ。
昔関西地方の某水族館でペンギンがお外をチョコチョコ歩くって言うイベントやってたんだけどね?
可愛く歩いてたペンギンのうち一匹が鞄の赤に反応したのかいきなりはしっこを咥えたかと思ったらそのまま大暴れだからね?もちろん係員のお姉さん大慌て。
鞄に『絶天狼抜○牙』レベルの攻撃かましてたからね?
・・・あと奴らはマジで生臭い。
そんなペンギンであるが・・・精霊の子ペンギン、当然生臭いニオイはしない。魚食ってるわけでも海に住んでるわけでもないから当然だな。
そしてモフモフ。あかちゃんだからなのか毛がとても柔らかい。
てかさ、俺が知り合った全精霊様に共通してるんだけど計算したように可愛い表情でこちらを見つめてくる。
否、間違いなく計算してるはず。強さよりも可愛さに極振りしてくるとか意味がわからないぞ精霊様。
でも魔水晶あげちゃう・・・くやしい・・・ビクンビクン。
贈り物を受け取ったのに精霊様のせいで影の薄くなったリリアナ嬢とヴェルフィーナ嬢、とても不憫な娘であった。
いや、本人の方は夢見心地な表情で作動キーを握ってご満悦な感じだったからいいんだけどさ。
そこまで喜んでもらえたら馬車もきっと満足しているのではないだろうか。
最後になってしまったが残るはキーファー家、フィオーラ嬢である。
いや、最後になったのは特に含む所があるとかじゃないんだよ?面倒そうなところから済ませただけで。
そう、決してラスボス扱いとかそんなのではないのです。
あ、あと特に呼んでないのにガイウス様とコーネリウス様がいらっしゃるのはどうしてなのかな?
なるほど、先に持って行ったヴァンブス公とフリューネ候に自慢されたのが悔しかったと。
1日、2日の事でそんな大人げないことを言われましても・・・。
「てか馬車(これ)、あくまでもお嬢様に対する贈り物ですからね?」
おじさんにはもう剣をあげたでしょ!!
メルちゃんとサーラ嬢の持ってる剣のほうがいい?あれも非売品なので・・・。
「フィオーラお嬢様、本年は私の様な者に多大なるご温情を賜りましたこと、誠にありがとうございました」
「よいのですよハリス、貴方と私の仲ではありませんか」
「特にそこまでの仲でも・・・いえ、何でもないです。まぁ、アレです、これからのお嬢様の旅の安全のお役に立つと思いますのでどうかお受取り下さい」
白く光り輝く馬車と真珠の様な光沢を放つ腕輪をプレゼントする。
「ハリス、それは娘にこん」
「お父様、本日もお忙しいのでしょう?速やかに公務に戻られる方がよろしいかと思いますわよ?」
「お、お、おう、そうだな!では、またなハリス!」
「そうか、ハリスもやっと」
「お兄様、先程お義姉様がさがしていらっしゃいましたわ、早急に向かわれないと命に関わることもございましてよ?」
「そ、そ、そう、だね!ではハリス・・・気をつけてね?」
いや、きっと2人ともお嬢様から馬車を取り上げたりしないと思うよ?そんなに威圧しなくても大丈夫だよ?
あとコーネリウス様、お屋敷の中で俺は何に警戒しないといけないのか詳しく告げてから行ってもらえませんか。
お父様とお兄様を追い払ったとは思えない慈母のような暖かな笑顔でさっそく嵌めた腕輪を撫でるフィオーラ嬢であった。
残る予定は今年最後の王城での忘年会兼新年会だけなので田舎で引きこもるために帰宅しよう・・・と思ってた俺の背中に刺さる視線。
振り返ると柱の陰から見つめる・・・小さな人影。
「あ」
そうだね、完全に忘れてたよね、姫騎士様。
まずい、非常に気まずい。だってノーマークだったから何も用意してないもの。
もちろん実害はいっさいないんだよ?特に我儘とか言わないからね、ヘルミーナ嬢。
でもその寂しそうな、うるうるした眼(まなこ)はとても俺の罪悪感をくすぐるのだ。
ちなみにこう言うときは『忘れてた』事がバレるような行動を取ってはいけない。そう、堂々と、凛々と、粛々としておくのが正解なのだ。
すでに「あ」とか言っちゃってるけど大丈夫、バレてないはず。いや、粛々としてる時点でバレてるよな。
いつもの元気な雰囲気とは違い遠慮がちな雰囲気で声をかけてくるヘルミーナ嬢。
「・・・」
「・・・」
いや、声かけてこなかったわ、無言だったわ。
無言の幼女と2人きりとかビックリするくらい気不味いわ。
「どうかなさいましたかヘルミーナお嬢様?」
「・・・ミーナどうもしてないですよ?ミーナだけ・・・なかまはずれだとかおもってない・・・です・・・」
ぐっ!!齢7歳にしてこの上目使いの攻撃力よ・・・。
「仲間はずれとかそんなことあるはずがないじゃないですか。お嬢様にはさすがに馬車は早いかと思いまして」
考えろ、小学生女児に丁度いい贈り物を思考をフル回転させて考えるんだ!!
現代日本の7歳児に何が欲しい?って聞いたらおそらく『スマホ』とか『お金』とか即物的な答えが帰ってくるから何の参考にもならないな・・・。
まぁそんな困っている俺とはウラハラに
「そうだよね?ハリスとミーナはなかよしだもんね?」
「ええ、もちろんです」
いつものようにこちらに手を伸ばしてくる姫騎士様をそっとだっこする。
うむ、子供はこれくらい素直なのが一番だと思います。
「ミーナも・・・フィーおばさまとおなじようなうでわがほしいなぁ・・・あっ、うでわだとあそぶときにこわれるといけないのでくびかざりがほしいのです!」
「首飾りですか?そうですね、ではこの大魔道士ハリスがこれよりすぐにご用意いたしましょう」
ヘルミーナ嬢のイメージカラー、ピンクゴールドをメインにお守り代わりの各種魔水晶を散りばめ、ご希望で製作者名を『ハリス』と彫り込んだネックレスをプレゼントした。
「受け取ってもらえますかお嬢様?」
「もちろんなのです!ありがとうハリス!!」
首に抱きつかれて幼女にキスされる俺だった。
もちろんほっぺにだからね?
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