新しい同居人編 その10 見たり触ったり出来ると思ったのにっ!!
やってきました王都まで。うん、もちろん目的地は公爵邸である。
だってほら、あの方に報告しておかないと・・・後々密偵から報告が入ったら折檻されることうけあいだからね?
・・・それはそれでアリか?
てことで本日のお供はいつものミヅキではなくドーリスである。
女騎士2名?2人はほら、今までとは比べ物にならないくらいに技量が上がってテンションもマックスまで上がってるから・・・下手に連れてくるとこのお屋敷の兵隊さんに命の危険が生じるかもしれないので置いてきた。
特にサーラ嬢は前例じゃなく前科があるからね?道場のみんなっ早く逃げてっ!!
ミヅキはヴィオラの護衛ってことで今日はお留守番である。一応幼女でも男爵様だしさ。
まぁ蛇と2人のことは置いといて、本日俺が訪れたのはもちろんオースティア様にご報告のためだ。
『えっ?公爵様にダンジョン制覇の報告しに来たんじゃないの?』って?そんな些細な事はどうでもいいのである。
てかそれならドーリス連れてくるんじゃなくてメルちゃんとサーラ嬢連れてきてるしさ。
最近俺が急に屋敷内に現れても動揺してくれなくなったメイドさん。少々寂しさを感じたり。
あ、そこのメイドさん・・・確かクリスさんでしたっけ?オースティア様にお取り次ぎよろしくお願いします。
特に先触れもせずにそのまま付いてくるように言われた俺御一行。
すれ違うメイドさんみんな――北都組、王都組問わず――こちらを二度見する。
なぜなら『圧倒的なメイド力(ちから)』を有するドーリスが三歩後ろを楚々とした足取りで付いてきているからだ。
そう、彼女たちの衣装が『MS-○6F』だとしたらドーリスは『MSZ-○○6-3』なのだ!!これ例え話として伝わっているのだろうか?不安が隠せない俺である。
「ハリス様がお見えになられました」
の声が室内に届くとしばらくして開いた扉から現れたのはもちろんこのお部屋の主(あるじ)、オースティア様だ。
ご自分で扉を開いてくださったらしい。
てか今は公爵様のご夫人はこの方だけなんだよなぁ。・・・嫉妬の炎が俺を包み込みそうだぜっ!
「あら、お久しぶり・・・と言うほどでもないけれども貴方の方から訪ねてくれるのは珍しいわね?」
「そうですね、最近少々ばたついておりまして顔を出すこと叶わず申し訳ございません・・・。でもお姉様のお呼び出しならば何時何時どのような場所からでも駆けつけ」
「ハリス、貴方が呼ばれて駆け付けるべきなのは私だけでしょう!!そもそも何度も言っておりますがお姉様ではありません。そうですね、どうしてもと言うならばお義母様と呼ぶことを許しましょう」
「あ、フィオーラ様、いらっしゃったんですね?」
「私に対する再会の感情が雑すぎます!!・・・それよりも後ろに立つ女・・・ゴホン、女性は?」
いや、だってフィオーラ嬢は今でも毎日『地獄の業火君改』を使ってお手紙送ってくるじゃないですか・・・。
そしてうちのメイドさんを敵視するのは止めて下さい。
「何度か私と一緒の所をご覧になられてるかと思いますがヴァイデ家のメイドをしているドーリスです」
「へぇ・・・男爵家のメイドはドレスを着てお仕事をさせているのですか?あなたの趣味で」
「ドレスではないですよ?正式なメイド服です」
『他所の世界の』って付くけどね?てか何だよ俺の趣味って。確かにメイド服は俺の趣味で作ったものだけれどもっ!
「まぁ私の趣味嗜好は置いといてですね・・・オースティア様にお知らせしておく方が良いかと思われる案件が」
「ハリス、直ぐに室内に。フィオーラは・・・まぁいいでしょう。他の者は全員部屋から出て待機するように。なお周りに怪しい人物を見つけた際には・・・殺りなさい」
「「「はい奥様」」」
相変わらず物騒すぎるこの対応・・・。
そして追い出されかけたフィオーラ嬢。娘でも容赦なしであるらしい。
てかオースティア様付きのメイドさんって不審者を殺れるくらいに強いのん?北都組のメイドさんもちょっと鍛えるべき?
「それで、今回のお話というのは何でしょうか?もしかしてそちらのメイドがミヅキ様の秘術の様な力を?」
「いえいえ、本日はそこまでのモノではないですよ?ドーリス少しスカートをたくしあげて」
パンツを見せてくれる?って言おうとしたけど冷静に考えるととんでもない命令だよなこれ!?
『大貴族の奥さんと娘さんの前で使用人にパンツを見せろと強要する』もうこれ言い訳のしようもないじゃん・・・。
途中で気づけて・・・ってドーリスさん、こちらを見つめながら恥ずかしそうな、でも満更でも無さそうに赤らめた顔で長いスカートをまくりあげて下着を丸出しにしていた。
「ハリス、あなた・・・」
「違いますお嬢様誤解ですそんな事実は一切ありません」
人間ここまで感情の抜けた表情が出来るのかってくらい無感情な顔でこちらを見つめるフィオーラ嬢。
これはオースティア様にも勘違いされちゃったか!?と慌てふためきそうになったが
「なに・・・これは・・・なに?これ・・・下着なの・・・まぁ・・・このような・・・」
驚愕の表情でドーリスのパンツを食い入る様に見つめる。そしてそっと指をはわそうと
「申し訳ございません、そちらに触れられるのはハリス様だけでございます」
「ハリーーーーーース!!!!!!」
「ですので本当に誤解ですそもそも俺はそこに指一本入れ・・・触れてはおりませんので!!」
・・・公爵家は今日も大騒ぎである。
『やはりこいつを一人で旅立たせるなど間違いでしか無かった』と言う顔(どんな顔だよ・・・)でこちらを見つめるフィオーラ嬢と女の子の下着姿に興奮するオースティア様を宥めながら説明することしばし。
「・・・つまりそれは女性専用の下着、それも女性の色香を最大限に引き立たせる、そう言うものなのですね?」
「そうですね、今見ていただいたのはパン・・・したばきですが胸用のものもございましてそちらは胸を持ち上げて美しく、そして大き」
「ハリス、先程は少々取り乱してごめんなさいね?いえ、私はそんなに興味はないのよ?でもほら、一応ちゃんと確認しておかないとあとあと何かあるかもしれないでしょう?早急にそちらを見せていただいてもよろしいかしら?」
今度はフィオーラ嬢が食いついてきた。
てかブラジャーの確認をしないと何が起こると言うのだろうか?
・・・そんなに気にしなくて大丈夫ダヨー。
ドーリスに
「こんなお願いしてごめんね?」
「いえ、ご主人さまにならどのようなご命令でも喜んで・・・」
「・・・早くしてもらえるかしらっ!!」
とドーリスに謝罪して、下着の確認が出来たら呼んでくださいね?と伝えて俺は部屋から退出する。
・・・そして廊下に集合している北都組のメイドさん。
「ハリスさん!先程の方の衣装は何なんでしょう!?エプロンを付けていたのでおそらくは使用人の服だと思うんですけど!!」
「あ、はい、使用人服というかメイド服ですね」
「め、メイド服ですと!?あのエロ可愛い服がメイド用の服なんですかっ!?もうそれは完全にエッチな感じのやつですよね!?」
Aさんちょっと落ち着いて?あと大きな声でエッチな感じのやつとか言うのやめて?恥ずかしいから。
「Cさんとかは似合いそうですよね?雰囲気だけは清楚なお嬢さんですし」
「あら、旦那様ったら・・・確かにとても私に似合うと思いますけども。あと雰囲気だけではなく完全無欠の清楚なお嬢様ですよ?」
「またまた」
「いえいえ」
「もう!私も!私も清楚ですよぅ!きっと似合いますよぅ!」
「ハリスたんひどい・・・お姉たんが、お姉たんが一番あのメイド服を上手く使いこなせるのにっ!」
あんたのは完全に『使いこなす(プレイ衣装)』じゃねぇか!!・・・アリだけどさ。
フィオーラ嬢とフィオーラママが下着の確認を終えたのはそれから小一時間後。いや、そこまで時間をかけてチェックする様な項目ないと思うんだけど・・・。
「ハリスちゃん、これは・・・そう、これはとても素晴らしい物ですわね?それで、私の分はご用意して頂けてるのかしら?」
「いえ、さすがに目測だけではオースティア様のお身体のサイズがわかりかねますので出来ましたら直に」
「ハリス、あなた見ただけで判断出来ましたよね?私に『胸の小ささ』などと宣(のたま)った事、今でも鮮明に記憶していますよ?」
「・・・チッ」
「貴方今舌打ちしましたよね!?」
フィッティング名目でなら人妻でも見たり触ったり出来ると思ったのにっ!!
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