新しい同居人編 その9 迷宮核(ダンジョンコア)

てなわけで(?)それからさらに8日が経過。


第一階層・・・サバンナ

第二階層・・・サバンナ

第三階層・・・サバンナ


『何の為に階層分けたんだよ!』海外旅行なら苦情が殺到しそうな変化の乏しい(出て来る魔物は相変わらずゴブリンとコボルトだし・・・)景色に辟易としていた所に現れたのが


第四階層・・・ジャングル


うん、文句言ってごめんなさい、サバンナの方が移動もしやすいし見渡しもきいてよかったわ。

まぁこの10日で連れの2人――メルちゃんとサーラ嬢――のステータスも上がってるのでそうそう問題にはならず(時間はかかったけど)先に進む。


追加で8日が経過。


第五階層・・・ジャングル

第六階層・・・大きな広間


そう、大きな広間。何となく最下層なのではないかと期待する。

いつのも松明がついて行くギミックかと思ったら今回は真ん中に置かれた大きな壷の様なものから炎が起ち登り室内を明るく照らす。


「今までとはうってかわって石造りで・・・いや、普通のダンジョンの大部屋って感じに戻っただけか」


「今度はどんな大物が出てくるのか楽しみだな!」

「そうですね!でもここまでは少しサイズの違うゴブリンばかりでしたしあまり期待は出来ないかもです」


相変わらず妙に戦意と言うか殺意の高い2人。

入ってきた扉の反対側の扉が開くのはこの迷宮のボス戦のお決まりなのかもしれない。


そして現れたのは


「おお、ようやくボスっぽいの出た!」


巨大な斧を持ったミノタウルス。・・・まぁレベルは15なんだけどさ。

でもこれまでのゴブリンと比べると能力値平均は倍くらいになってるから強敵であることに変わりはない。

・・・まぁ5分と持たずに2人が切り刻んだのは言うまでもない。

ん?ドロップアイテム?ミノタウルスのデカい斧?いらねぇ・・・ああ、メルちゃん部屋に飾りたいんだ?

女の子の部屋に遊びに行ってこの斧が壁に掛けてあったらドン引きすると思うよ?


そしてミノタウルスの登場した通路の奥、いつもなら違う階層に通じる扉の向こうには・・・部屋の壁に光る線の走る妙にSFチックな小部屋。

そして中央にはいかにもって感じの大きな・・・直径50cmはある魔水晶・・・ではないな、素材のよく分からない丸い玉。

まぁ鑑定してみたら『迷宮核』って書いてるし迷宮核なんだろう。


「てか本当にあったじゃん『迷宮核(ダンジョンコア)』!!『主(ダンジョンマスター)』は居なかったけど」

「ほれ、我の言う通りだったじゃろうが?」

「いや、薄い胸張ってるところ悪いけど何かJAR○に怒られる程度には曖昧な表現だったからね?」

『新しい外部デバイスを確認いたしました、登録いたしますか?』


そしていきなり喋りだす魔導板さん。てかそれ(迷宮核)って外付けのハードディスク感覚のモノなの?


「登録するとどうなるんだろう?」

『コア-03215の全機能の使用が可能となります。またコア-03215の移動が可能となります』


なるほど・・・良く分からん。


「この迷宮を消したりとかも出来るのかな?」

『はい、迷宮の作成及び消去も可能です』

「なら登録で」


迷宮核を魔導板さんに登録してこの迷宮を破棄(領域の解放)。画像がバグったかの様にビキビキと点滅しながらゆっくりと消えていく部屋の景色。

特に転移したわけでもないのに迷宮の入り口だった場所に佇む4人と・・・迷宮核。


こうして俺たちの長い探索の旅(日帰り)は終わりを告げたのである。



「いや、そんなさらっと流すようなモノじゃないよね?迷宮核だよ迷宮核!!なんなのコレ?とりあえずなんとなく登録とかしちゃったけどさ、コレ、壊されると俺も死んじゃうとかそう言うのじゃないよね?」

「知らんのだ。と言うよりも仕舞っておけば壊しようもなかろう?」

「・・・それもそうだな。まぁまた今度暇な時にでも調べてみるか」

「それがいいのだ、早く帰ってごはんにするのだ」

「お婆ちゃん、さっき昼ごはん食べたところでしょ」

「晩ごはんは別腹って言うしの?」

「言わねぇよ・・・」


「いや、我々は迷宮の踏破を成し遂げたのだよな?私の知る限りでは、少なくともこの国では前人未到の偉業だぞ?何故それよりも晩ごはんが優先されているのだ?」

「そうですよね!ぜんじんみとう?ですもんね!晩ごはんはきっと豪華になりますよね!!」

「・・・お、おう、そうだといいな・・・貴様は私の想像を超えて大物なのか・・・それともただのアホの子なのか・・・」


イマイチ納得のいかない顔のメルちゃんと素直に喜ぶサーラ嬢であった。


ちなみに最終的な2人の基礎能力値(2人共通部分)



レベル・・10


HP・・・30(195)

MP・・・30(195)

体格・・・30(195)

筋力・・・30(195)

知能・・・30(195)

魔術・・・30(195)

器用さ・・30(195)

敏捷さ・・30(195)



・・・どっかで見たことある?そうだね、孤児院時代に俺が三年間かかって上げたステータスそのままだね。誰だ『コピペ乙』とか言う奴は!!

いや、目標がここだったから見た目の数値が同じになるのは仕方ないんだよ・・・。

そして俺の三年間の苦労がひと月足らず・・・いや、それを言うなら現状の俺のステータスなんて竜一匹で稼いだみたいなもんだからなぁ。


スキルも2人がもともと持っていたものは全部ランクを5まで上げて、持っていなかった『体術』や『格闘』、そして『毒耐性』などを増やしておいた。

サーラ嬢の『調理』が役に立つことがあるかどうかは置いておくとして・・・。

調理と言えばあの姉妹は元気にやってるだろうか?時間を作って一度見に行ってみるかなぁ。

『残りの経験値』は状況に応じて振り直しだな。普段はHPとMPに入れておけばいいか。『いのちだいじに』である。


あれだな、これだけ成長していれば装備の分で圧倒的なアドバンテージもあるし2人で王国軍全軍と渡り合えるかも知れないな。

・・・アドバンテージでなんとなくボンテージ姿の2人が思い浮かんだんだけど・・・黒竜の新装備としてソレも用意しておくべきだろうか?


『新しいタイプの鎧下作ったよー』とか言えばおそらくサーラ嬢は疑いもせずに『ありがとうございます閣下!!』と喜んで着用してくれるはず。

うん、残り少ない俺の良心がとても痛むな、たぶん。

メルちゃん?メルちゃんは『おお!何だそれ、かっこいいな!!(願望)』または『そ、そんな破廉恥なモノが着れるかっ!!(現実)』のどちらかの反応だと思います。

どちらかって言いながらそこそこ俺の気持ちが入っちゃってるじゃん。


『だって 女騎士様に エッチな格好を してほしいんだもの   はりす』


姫騎士様?変な格好させたらおとんとじいじに殺されるわ!本人は喜んで着そうだけどさ・・・。


てか何か忘れてるよな気が・・・あああああ!!

あれだ、あの人だ、早急に報告しておかないと大変なことになってしまうっ!!!

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