新しい同居人編 その5 マグネットな感じのコーティング
久々の黒ハリス君登場!
・・・いや、それなりにいつも黒いなハリス君・・・。
―・―・―・―・―
さて、意気揚々と迷宮散策、いや、探索の準備に来た男爵領の新領地で『居なくなったバカ貴族の負の遺産』にいきなり遭遇してしまった俺。
・・・男ならほっとくんだけど女の子だしさ。そう、俺はどこまでいっても女の子の味方なのである。女の子であっても悪人はたぶん覗く、いや、除く。
「で、これはどうすればいいと思う?」
「我に聞かれても知らんのだ」
そりゃそうですよね・・・。
とりあえず栄養が足りないで痩せてはいるけど全員外傷は無さそうだから一安心。
精神的外傷?それは・・・今の俺ではどうにも出来んだろう・・・。
一応この村?の迷宮の場所を聞くと案内出来ると言う子が1人。
てか残りの4人も必死にアピールしてくるんだけど、これは何か出来ないとここで置いていかれるとかそう言う感じに思ってるんだろうなぁ。
一番小さい幼女、おっぱいの大きさアピールは君には無理だから。
よし、これはあれだな、細かいことは他人に丸投げしてしまおう。
幼女と少女を身体にしがみつかせてヴィーゼンの浜辺の村まで転移する。
いきなり海のみえる高台(浜辺の住民の住宅地)に飛んだもんだから全員目が点になってるが気にしない。
そして他の家と同じ形の量産型住宅を適当な場所に一軒建設。一緒に住んでたみたいだししばらくはみんなで暮らしてくれ。
後のことは坂道を下って行って
「バケツの幼女、おるかー」
「はい!賢者様!」
「おう幼女・・・反応が高速過ぎてちょっと怖いぞ?」
塩っぽい白い粉工場のそこそこ奥に居たはずなのに驚異の速度で目の前に現れる女の子。
マグネットな感じのコーティングでも施されてるのかこの腹ペコ幼女は。あと危ないから走っちゃ駄目だよ?
こう言う時の注意事項ってなんだっけ?いかのおすし?それ不審者対策だわ。
「とりあえずこの村で暮らしていく・・・かもしれない5人だ。色々とここでの生活の決まり事なんかを教えてやってくれ。あ、1人はちょっと今から連れて行く所があるから後でよろしく」
「かしこまりましたっ!みなさんよろしくおねがいしますねっ!私はララっていいますっ!」
腹ペコバケツちゃんの名前を初めて聞いた瞬間である。この子も随分と元気になったよなぁ。
『拾ってきた幼女と少女を働き者の幼女に丸投げする』と言う
『ちょっとお前人間としてそれはどうなんだ?』って感じの行動だけど・・・ほら、この幼女(ララちゃん)間違いなくサーラ嬢より優秀だからね?
たぶん政治力が『73』くらいはあるはず。この前面接した王都の連中より絶対に役に立つ人材なのだ。
サーラ嬢の政治力?彼女はきっと『13』くらい。呂布かよ。
それに女の子は女の子同士の方が気楽だろうしね?
ああ、身の回りの品なんかもまったく無さそう、いや間違いなく無いから後で届けに来るわ、家はあそこに新しいの建てといたから。
工場内の他の領民にも声をかけると全員で大きな声で『よろこんでー!』の返事。居酒屋か。
ちょっとここの領民の性格が最近よくわからなくなってきたけど将来的にはヴィオラが上手いことこう・・・するんじゃなかろうか?
俺的には一揆さえ起こさないならば細かいことは気にしないのだ。
迷宮まで案内してもらわないといけないので女の子一人(一番お姉さんの子)とミヅキを伴って蜻蛉返りで再度荒屋まで戻る。
うん、そんなに力一杯抱きつかなくていいからね?あと到着したら離れてね?捨てないから、大丈夫だから。
人身売買の中継地点なんて見るだけで気分が悪くなるので荒屋を回収して更地にしておく。
てか回りの畑が荒れてたのは冬だからじゃなくそもそも使ってなかったからなんだな。
別に俺、100%奴隷制に反対とかじゃないんだよ?圧倒的少数かもしれないけどそれで幸せになれる人間もいるかも知れないしさ。
表情には出さないようにグチグチと余計なことを考えながらも迷宮の入り口があるらしい山裾方面に案内してもらう。
少女が手を繋いで離さないからミヅキも真似をして両手に女の子状態で手を振りながら歩くと言うハイキング状態で。
てかのんきに3人で歩いてるけどさ、魔物の氾濫があった場所なんだよねここって。
なおかつその後戦闘行為が行われてるので草むらは踏み荒らされ、木々はなぎ倒されて、地面は赤黒く変色してるんだよね・・・。
間違いなくこれ、血溜まりの跡だよね?魔物の物か人の物かは不明だけどさ。
繋いでいた手を離して軽く手を合わせておく。そう、俺はこう見えて偽善者なのだ!
大丈夫、みなさんの家族は新しい領主様がしっかりと守っていくはずだから。
残った魔物も一匹残さず殲滅する勢いで退治するので安心して欲しい。
・・・教会の運営する孤児院で三年間も暮らしたくせにこの世界の祈りの言葉すらまともに知らないのは・・・許してもらいたい。
いやそれ以前にハリス君が11年生活してるはずなのに記憶にないのはどうなんだろう。
「・・・行くか」
「うむ」
「は、はい」
そこからさらに歩くこと半時間、荒らされた何軒かの無人の荒屋を回収しながらも通り過ぎて到着したのは――普通の森っぽい場所。
一応杭が何本も打たれて囲われて居た形跡はあるものの当然無茶苦茶に壊されている。
「地下迷宮じゃなく野外迷宮は入り口らしい入り口が無いから知らなかったら絶対に気付かんよなこれ」
「魔力の流れがあるから我はわかるぞ?いや、主もわかるだろう?」
そうなの?・・・あ、ほんとだ、魔眼で見れば遠くからでもわかるわコレ。
「てかそう言うことは早めに教えてね?」
「うむ、覚えてたら次からはそうする・・・努力は怠らないかもしれない・・・けど期待はしないで欲しいのじゃ」
「さだ○さしかお前は」
入り口の場所は記憶したので本日の予定はこれにて終了。さすがに普通の女の子を連れて迷宮に入るのは危険が危ないからな!
とっとと戻って新しい住人5人分の最低限の生活基盤を整えてやらないとな。
・・・この子(年長さん)のパンツは新しく作ったタイプのパンツを出すべきか否か、それが問題だ・・・。
ん?この領地の他の領民?知らんがな。
理由はあるかもしれないけど女の子が5人も餓死したかもしれないんだぞ?ならそいつらも同じ様な目に遭っても文句は言わないだろう。
おそらく無関係の多くの人に八つ当たりしてるって自覚は多大にあるけど我慢して笑顔で助けるなんざまっぴらごめんなのである。
『みなさんの家族は守る』って言ったのに?それはヴィーゼンの領民に対してだ。
そもそも俺が領民を飢えさせないと約束したのはヴィオラに対してであってここの元男爵ではないしな。
もちろん勇者様ならどんな人間でも平等に助けるんだろうけどさ・・・残念ながら俺は『元』だからね?
新しく雇った文官候補が来るまでは放置だ放置。
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