東への旅編 その6 タラララッタタッタッタ―!(某レベルアップ音)
てなわけでそこそこ無駄な時間を浪費してしまった俺とミヅキの御一行、今日の宿探しである。
ある、のだが・・・。
「何故付いてくる?」
「だって・・・あなたのことが・・・諦められないの・・・」
「どうしてクリクリはそんな捨てられたメンヘラ彼女みたいな小芝居してんだよ・・・あんまりしつこいと法的手段に訴えるよ?」
「ふっ、これでもそれなりの名家の子息だ、もみ消すことなどわけもない」
「開き直ったぞこのエルフ・・・よし、とりあえずは侯爵家、それで駄目なら公爵家、最終的には王家の伝手まで使って叩き潰してやる」
「ごめんなさい生意気言ってすみませんでした!・・・君はそんな上級貴族に伝手があるのかい?」
「さぁ・・・どうだろうな。試してみればいい」
「・・・止めておくよ。精霊様が態々指名するような相手と事を構えるとかあまり穏やかじゃないからね」
うむ、そうしてくれると助かる。ちなみに王家(アリシア王女)に力を借りるとかそれこそ穏やかじゃなくなってしまうからな。
お、あそこの宿、そこそこ規模も大きいし小綺麗でいい感じじゃね?
「・・・」
「・・・」
「だから何故付いてくる・・・?」
「いや、私達はここに宿泊しているのだが・・・」
あっそうなの?それは失礼・・・。
ちなみに「じゃあ違うとこ探すわ」ってほどにこの二人を嫌ってるわけでも意識してるわけでもないので俺達もここで部屋を取ることにする。
・・・財布の残高がこの宿換算で10日分くらいしか残ってねぇ。
受付(と言うか見た目も内容も完全に酒場のカウンターだが)で鍵を貰い部屋に向かう。3階の広めの二人部屋だ。案内?そこそこいい宿とは言っても日本で言えば安いビジネスホテル程度の質だからなぁ。掃除は行き届いているけど特に豪華なわけでもサービスに優れるわけでもない。
ちなみに安い宿になると大銅貨1枚から泊まれる様な雑魚寝部屋(壁のしっかりした木賃宿)になる。置き引きとかまくら返しとか天井なめとか小豆とぎとか沢山取り揃えられてます。てか置き引き以外は全部妖怪だな。
部屋に入るとため息と共にベットにごろんと横になる。何だかんだでここまでよく歩いたからなぁ。肉体的にも精神的にも疲労は蓄積されてるわけで。
のんびり風呂に浸かりてぇ・・・。
いや、それよりも金策だな。そこそこ残金がレッドゾーンに入ってるし。何か手軽に稼げる様な方法は無いかと久々に魔導板を取り出してスキルの確認
「ファッ!?」
「うにゅ!?・・・主よ、いきなりオカシナ声を上げるでない、驚くじゃろが」
「ああ、悪い悪い」
いや、だってさ魔導板を開いたら一番最初に目に入るもの、そう『レベル』なんだけどさ
『レベル 26』
うん、ちょっと意味がわからない。えっ?俺の変化のない生活に何が有ったの!?
思い出す・・・思い出す・・・必死に思い出す・・・。
うん、特に何も・・・いやいやいや、あったじゃん!ほら、黒竜!!
完全に出落ちで勝手に死んだみたいなイメージしか無かったけどあいつ普通にドラゴンじゃん!!
基本的に得られる戦闘経験値は『倒した相手のレベル』と『自分のレベルと倒した相手のレベルの差』で決まる。
まぁレベル差のプラス分はそこまで大きくないんだけどさ。
こちらの方がレベルが上だとむっちゃ経験値が減るのに少し理不尽・・・。
まぁ亜竜でも下位竜でもない普通の(下手すれば上位だったよね、迷宮の主だったかも知れないし)属性持ちの竜をソロでレベル10しかないヤツが倒せばそりゃ大幅なレベルアップもするわな。
いや、それにしてもレベル26て・・・草むしり何日分の経験値だよ・・・。
もうこれはアレだな、久しぶりに、全力で『やりなおし』開始だ!!
まず初めにすることは『レベルを0まで落とす』こと。
そして今は30で揃ってる基礎能力値を上げること。
最後に残りの経験値と相談しながらスキルもランクアップ&新規習得。いや、新規は必要な時で十分だな。
で、最後に下げたレベルを上げる。
で、レベルを0に戻した時の経験値が
『88,453,684,000』
・・・ちょっと何言ってんのか分からない。
いちじゅうひゃく・・・
『884億5368万4000』
草むしり(1日5000経験値換算)だと約1769万0737日。
この世界は一年360日(ひと月が30日で12ヶ月)なので約4万9141年だな。何その無限地獄。アク○リオンでも愛が冷めてお互いに浮気してるわ。
しかしこうしてみるとやっぱり戦闘での経験値効率が一番だよなぁ。
そして上げた基礎能力値がこちら。と言うか8項目とも全部100(カンストが100なので)まで上げた。使用経験値合計が『36,680,000』。ふふっ、気分的には端数が少し減った程度。
次に今取っているスキル27種もランク10まで上げきる。・・・いつの間にか結構な数になってるな。ランク5から10にしたものが25種とランク7から10にしたもの(転移魔法を使うため闇魔法だけ7だった)が1種で合計『25,312,000』。能力値カンストより安くついてるな!
あ、一つだけ上げてないスキルがある。・・・精霊の友。なんかこう・・・上げすぎると恐いような気がしたから。
饒舌に喋るクマとかあんまり可愛くなさげじゃない?そうでもない?
だから上げたスキルは結局27種中26種だな。
・・・思った以上に全然経験値が減らないな・・・。もちろん良いことなんだけどね?
そもそもスキルを一つランク10まで上げるのに必要な経験値が『1,023,000』だもんね。
ん?何だ?『やりなおし』スキルが点滅してる・・・。えっ?爆発とかする感じ!?どうする!?どうする!?!?とりあえず押してみる!?!?
・・・ポチッ・・・
『やりなおしスキルを覚醒させますか?』
・・・なんだよ覚醒って・・・。いきなり脅かすの止めて欲しいんだけど。
ちなみに覚醒するとどうなるんだろう?
『スキル「やりなおし」が「みんなでやりなおし」になります』
何その『全員でスタートに戻る』みたいなやつ。
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