王都公爵邸編 その4 お食事会・・・完食

 まず前菜っぽいのは・・・これかな?薄く切った生ハム?サーモンっぽい魚?と生野菜を和えてソースっぽいのかけたやつ。

 あ、やっぱりハムだな!脂身が無い&切り方が悪いから魚っぽく見えたけど。うん、肉、肉はいいよね!


 でも


「ソースって言うより煮詰めた酢?酸味がキツイし苦味がある・・・ハムも塩分が強いから少し味が濃すぎるし」


 うん、御飯をかきこみたくなる前菜ってなんだよ。

 スープは・・・コーンポタージュみたいな色だけど


「カボチャか、そろそろ夏だし温かいより冷製の方がよかったかな?甘味も少し弱いような。てかどうして変な臭いの香草?香辛料?を入れちゃったんだよ、なんか臭いよ」


 俺、お子様舌だからね?甘いの大好き!そしてパクチーとか苦手・・・。

 前菜、スープの次は魚料理だ。てかすげぇ久しぶりだな魚なんて。北都の寮の食卓には上ったこと無いし。

 孤児院?ザリガニも出ねぇわ!てか最近(転移前の記憶でだけど)日本では高級食材扱いなんだよね?ザリガニ。

 昔は帰省したばぁちゃん家の近所の田んぼの近くの用水路(ただの小川)で棒っ切れに凧糸くくりつけてスルメを餌にしてよく釣ったな。

 もちろん食ったことはないけど。ザリガニ、くせぇもん。


 ちなみに日本人が全員魚を好きだと思ったら大きな間違いなのである。俺、寿司屋(回る)行っても生魚一切食わないからね?

 コーンサラダとかツナサラダとかいなり、あ、海老天とかもいいよね!回らないトコだと玉子とうなぎくらいしか食えない。寿司屋に行く必要性皆無なのである。

 ちなみに魚料理で一番好きなのは『まぐろフレーク(缶詰)』料理と言っていいのかは疑問。

 あ『ビッ○カツ』も好き!完全に料理ではなく駄菓子である。


 そして出された魚は


「川魚かな?うん、普通に臭いな。下ごしらえってかそもそも鮮度が悪いんじゃ・・・それに変にソースで味付けるより塩焼きの方がまだマシじゃないか?」


 うん、マズイ。

 後、フォークとナイフとスプーンを駆使して小骨を取るのが凄まじく面倒くさい。店員さん、お箸もらえる?

 魚料理のあとは箸休め!お楽しみの・・・まぁ異世界でシャーベットとか出てくるわけないよな・・・。


 気を取り直して、否、満を持していよいよお肉のご登場である!メインの肉なのである!・・・お上品なサイズだけどさ。

 100グラムくらいかな?お金持ちならガツンと500グラムくらい食わせろと。


「・・・下味が薄い。塩胡椒をもっと振ってほしい・・・。そしてソースがくどい、ナニコレ甘ったるっ・・・」


 脂身は少ないけどそこそこいい肉っぽいのにベッタベタにソース絡めてんじゃねぇよ!あと甘いのは好きだけどそう言うこっちゃねぇんだよ!

 そしてこの肉なら塩コショウだけでもいいだろ!もしくは別添えでワサビ醤油!

 てかこれ500グラムも食わされたら凄腕のスパイが泣きながら機密情報漏らすわ。


 口の中が気持ち悪い・・・水・・・飲み物・・・。


「あ、紅茶おいしい・・・」


 ストレートで濃いめの紅茶が烏龍茶みたいでイケる!

 うん、まぁ腹八分には膨れたけど点数付けるなら


「40点くらいかな?」

「なかなか辛口だね?」

「おおう!?」


 誰!?いや、誰じゃねぇよ。次期公爵様だよ!

 みんな静かに食ってるから集中して呑気に食レポしながら食っちゃったよ!

 隣のお姉様(オースティア様)は微笑んでる(反対隣の美少女は顔真っ赤にしてプルプルしながら机叩いてる。安定の笑いの沸点の低さである)けど斜向かいのおばさまにむっちゃ睨まれてるよ!


 食後は楽しく懇談会。ただし俺以外って付くけど。可愛い娘さんも含めて久しぶりの家族団欒だもんね?ホントに何故参加してるんだ俺。

 そしてどうしてなのかは分からないが同じ食材を使って翌日の晩ご飯を作らされることになった。

 いや、まぁ調理スキル持ってるから別にいいんだけどさ・・・。

 でもさすがに料理に設計スキル使うわけにいかないよね?毒なんて入れないように近くで見張られるだろうし。


 あとで厨に行って調味料のチェックもしとかなきゃ!やる気満々か。

 てかさ、もうね、斜向かいの二人からの敵愾心が半端ない。何なの?今日の料理作った人と親戚か何かなの?

 あ、奥向の話?貴族のあのおばさんが第二夫人でオースティア様が第三夫人だと。

 うん、ご側室同士で仲が良いなんてあんまり聞かないもんね。それに何処から見ても俺は第三夫人派閥だしさ。


 そろそろお部屋に戻りましょうか~みたいな雰囲気になって安心してたら突然お隣のお姉様が


「ああ、そう言えばハリスくんから贈り物があったのよ」


 ふあっ!?そんなの聞いてませんけど!?ここにきていきなりの無茶振り!?!?


 ・・・あ、すでに渡してあるんだ?全然記憶にないんだけど・・・。ああ、王都に来る馬車の中で暇つぶしとフィオーラ嬢のセキュリティ強化のために作った首飾りか!

 ほら、王都、なんとなく危険そうじゃん?いや、たぶん王都の人間には『どう考えても北都の方が危険だろ!!』って突っ込まれると思うけど。

 だからお嬢の有事の際に少しでも役に立たないかと思って魔道具を作ろうと思ったんだよ。ほら、俺って超優秀な魔道具職人じゃないですか?(ウザ絡み)

「どんなアクセサリーが欲しいです?」って聞いたら「指輪!」って即答されたから無視してネックレスにした。

 さすがに未婚の御令嬢に指輪を贈るのは危険が危ないからね?いや、ネックレスもギリギリなんだけどさ。『あなたを束縛したい』みたいな意味もあるから。


 貴族様と言えば『毒』って事で解毒、そして不慮の事故に遭った時のために回復。

 いや、それだけなら魔道具じゃなくて光の魔水晶を身に着けてるだけで十分じゃん・・・。

 てことで3センチ大の光の魔水晶をしずくの形(涙滴型って言うのかな?)に加工した物をご用意。


 もちろんこのままだと首にかけたらくっそ眩しいので外側を『精霊様の似姿の金細工』で囲む。つまり子熊のペンダント。

 パカッと開くことも目の部分だけ開いて光らせることも出来るすぐれもの。何その無駄なギミック。

 あ、ご家族の分もいります?いくつくらい?自分含めて4人分?俺とメルちゃんの分も含めて6つ作っとくか。


 男女2人ずつらしいのでシンプルなもの(クマを鎖でぶら下げるだけ)を2つと女性用の少し豪華なもの(クマに後光を付けてみた)を2つ。俺のはもちろんシンプルに。メルちゃんも普段遣いするならシンプルなのが良いよね?

 てかクマに後光とか意味がわから無さ過ぎてちょっと面白い。

 チェーンとか装飾部分も金製でいいか。


 金?ふふっ、金貨を整形しなおすという力技で乗り切ったさ。もちろん金貨はフィオーラ嬢に貰った。

 金貨と金の地金じゃお値段がかなり違うからもったいないのなんの・・・。


Q:えっ、魔水晶って丸以外の形にも出来るの?

 A:成型する時はガラスと同じだもの。どんな形にも出来るよ?でも変な形にしすぎると魔力が込められなくなるのでただのガラス細工になるけど。


 オースティア様が控えているメイドさんにシンプルな方を2つ渡すと公爵閣下、ご長男と順にに手渡される。

 野蛮な方のコ○ンとインテリヤクザによるクマのネックレスとのコラボレーション。

 豪華な方?隣に座る母娘がさり気なく首に掛けてるよ?てか2人揃って服の胸元から外に取り出して目の部分を光らせる必要なくなくないですか?(CVあや○る)


「これは、精巧な細工物の首飾り?もしかすると精霊様のお姿なのかな?それに中に入ってるのは・・・光の魔水晶か!?この大きさの魔水晶を一体どこからどうやって・・・」


 ご長男(名前は知らない)が目を細めてつぶやく。どうみても白い粉(たぶん小麦粉)を吟味するインテリヤクザ。うどん屋さんかピザ屋さんでも経営してるのかな?

 そして蚊帳の外の二人というかおばさんの方が鬼の形相でこちらを睨みつけてくる。相反して隣のお姉様、むっちゃいい顔。

 はぁ・・・いつまでも守りたい、その笑顔・・・。

 すいません、痛いです、脇腹をつまんでひねるのはお控えくださいお嬢様。

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