北都・公爵館 その3 実は着痩せするタイプなんです
案内してもらった後は部屋の鍵を受け取り、お礼を言ってAさんとは一旦お別れする。
通されたのはもちろん物置でなく普通の部屋。広さは六畳間くらいかな?それなりの広さだ。
鍵付きの部屋・・・感慨深いな。ほら、思春期だし?将来的には部屋でゴソゴソするかも知れないし?鍵は大切。
掃除は行き届いてるけど備え付けの家具はベッドと小さな机と椅子とオイルランプが一つずつ。
ベッド、簀の子のような物に直にうっすいボロ毛布が一枚敷いてあった孤児院の倉庫とは違い、頑丈な箱型の上にそこまで柔らかくはないがマットのような物が置かれている。
その上には敷毛布と掛毛布。暖房器具(温めた煉瓦)が無いと普通に寒そうだけど平民レベルは確保されてる様だ。
寝具も出来る限り早めに綿とか羊毛とか羽毛とか入ったのが欲しいなぁ。睡眠の質はとても大切なのである。
部屋の(木製の)窓を開くと外に広がるのは・・・一面の洗濯物。
・・・メイドさんのパンツがたくさん干されているのに・・・形状が俺の物と何ら変わりがないからまったく心が踊らない・・・。
外は寒いし心も寒くなりそうなのでそっと窓を閉じる。
干されているのが色気のないパンツならまだふんどしがはためいている方がいいよね?もちろん女性限定だけどさ。
なんかこう、いいよね?女の子のふんどし姿。俺の性癖がどんどんおかしなことになって来てるが深く考えたら負けである。
戦闘的でふんどし姿の女の子・・・もうそれサムライかニンジャじゃね?
その日はフィオーラ嬢から特にお呼び出しもかからなかったのでそのまま晩ごはんを頂いて就寝することに。
お風呂は!お風呂はどうでしょうか!?・・・次は3日後?わかりました、お手数おかけいたしました・・・。
あ、晩御飯はふっくらとしたちゃんとしたパンにちゃんとした野菜の入ったちゃんとした味のするスープに焼いた鶏肉っぽいちゃんとした味付けしたお肉が三切れと添え物のニンジンと言う料理らしい料理を頂きました。
・・・少し泣きそうになりました。
ちゃんとしたって、いっぱい繰り返すくらいまともな料理だったもん。
貧しさの中でも特に『食べものが貧しい』のが一番心に堪えてたのかも知れない。
俺氏、孤児院からいきなり公爵邸にお邪魔することになった訳だが・・・とりあえずアウェー感が半端ない。
まぁ知らないガキがいきなり公爵家内ヒエラルキー上位の存在に連れられて来たんだから警戒するのも当然の反応と言えば当然の反応では有るけれども。
現状Aさん以外のメイドさんとは頭を軽く下げる挨拶以外の接点はない。
俺のこと見る皆さんの目が『なんでこいつこんなとこにいるの?』って言ってるもん。うう・・・どこもかしこも世知辛い世の中やでぇ・・・。
てかさ、昨日から薄々気付いてたんだけどさ。この建物(この寮)って
メイドさんの寮じゃん!!
男俺だけじゃん!!
食堂でご飯食べてるの女の人ばっかだったもん!!
アウェーなのは女の園に男が一人だからじゃん!!
トイレとか他の人が入ってないか凄まじく気を使うわ!!
あっ、お風呂も女湯じゃん・・・俺、入れないじゃん・・・。
昨日嬉々として風呂に入りたがった俺、Aさんにド変態だと思われてるんじゃないかな・・・。
ちゃうねん、一緒に入りたいとかそんなんやないねん。単純に入浴がしたいねん!!
・・・晩御飯に続き朝御飯も美味しかったです。焼いたウインナー、とても美味しかったです。
そして朝食後、まだ午前中にフィオーラ嬢からの呼び出しが入る。
アレだぞ?『入る』これ漢字で書かないと駄目だぞ?最低でも平仮名。カタカナで書いたりしたら欧米で大騒ぎになるからな?
『入る』とか言いながらタクシーとめようとしたらそれはもう恐ろしいことになるんだからな?まぁそんな事はどうでもいいんだけど
「お呼びにより参上いたしました御主人様」
「早かったわね。・・・ハリスと少し込み入った話があるのでメルティス以外は退室してちょうだい」
「畏まりました」と声を揃えて出ていくメイドさん達。残されたのは俺とお嬢様と・・・女騎士ちゃん。
「・・・ああ!メルって女騎士ちゃんの事だったんだ?」
「なんだその女騎士ちゃんと言う胡乱な呼び方は?貴様、肉片に変えてやろうか?」
謎は全て解けた!いや、特に謎でも何でもなかったけどさ、薄々そうじゃないかな?と思ってた女騎士ちゃんの名前の確信が持てた、と言うか知れた。
「何となく不快だから二人でいちゃつくのは止めなさい」
「『イチャ』ついてるんじゃなくてどちらかと言えば『オラ』つかれてるんだよなぁ」
そんなプンスコ気味な女騎士ちゃんも可愛いんだけどな。ヘイ彼女、一度ふんどししめてみない?
「・・・貴様、なぜ生暖かい瞳でこちらを見ている?」
「キノセイデス」
「やっぱりいちゃついてるじゃないの!」
だって、知らない人ばっかりで、寂しかったんだもの。
いや、ちがう、そうじゃない。
「てか、現状が色々とおかしいんですけど!どうして俺は女子寮に住むことになってるんですか!?」
「女子寮?あなたが住むのは使用人の屋敷でしょう?」
「いや、ですからその屋敷に住んでるのが女の人だけで男は俺だけで・・・あれ?これ俺が自意識過剰なだけで世間一般的には普通の事なの?」
確かに住み込みの男がたまたま今は俺だけなのかも知れないし。
「お嬢様、一応こんな軟弱そうな見てくれの子供でも男は男ですので・・・さすがにお預かりされている他の女性と一緒というのは不味いのかもしれません」
「・・・確かにそうね。もしかすると夜這いとかされるかもしれないものね」
「あ、するほうじゃなくてされるほうなんだ俺」
あれだぞ?見た目はこんなだけどドラゴンとタイマン・・・は無理かな?でも人類としてはおそらく最強の部類だぞ?あくまでも確認できている範囲でだがな!
・・・出来るだけ早めにこの国で一番強い人間の鑑定をしておかないといけないな。そして負けそうなら能力値を安全域まで頑張って上げる。必死に経験値を稼いで。
転ばぬ先の杖だな。
あ、ついでだからメルちゃんのステータスも見ておいてやれ。
・・・
・・・
・・・
「・・・ふっ」
「貴様・・・今こちらを見て鼻で笑ったな?」
「キノセイデス」
スキルとして剣術や槍術をランク2で取得してるけどレベルは3で能力値は筋力と敏捷さが高い(共に12)以外はそこそこの平均値。
俺の敵ではないな。いや、最初から敵対はしてないけれども。
でもあれだよ?
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「・・・鎧で覆い隠してるけど中身は・・・脱いだらすごいんだ・・・」
「きっ、貴様っ!?」
「ハリス、跪きなさい、頭を踏みにじってさしあげます。私には『胸のちいささ』などと宣っておきながらどういう了見なのですか。そうですかまずは徹底した英才教育が必要ですか。フィオーラ様万歳しか言えない口になるまで躾けてあげましょう」
大丈夫、フィオーラ様はおっぱい以外は素晴らしいですから!
ですので何処から出したかわかりませんがその馬用の一本鞭はしまって下さいそれはひっぱたかれると危険な奴です!
そうじゃないですバラ鞭ならいいとかじゃないんです!ノーモアムチ!
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