北都・公爵館 閑話 メイドさん達の夜のお茶会

※本編とは無関係――ではなく繋がってはおりますが『閑話はギャグ回』のようなものと思っていただければ幸いです♪

あれだ、コミック本編の最後に付いてる4コマ漫画的な?

本編が既にコメディなのにギャグ回と言う・・・ちょっと何言ってるのかわからない。


―・―・―・―・―


 ここは公爵家のお屋敷――の本宅の裏手に有る使用人の住み込み屋敷。

 使用人と言っても公爵家ともなればただの平民が雇われるはずもなく裕福な商人、豪農、下級貴族の娘さんたちが行儀見習いや花嫁修業の一環として働いている。

 平たく言えば『公爵家や出入りの上級貴族の子弟狙いでワンチャン狙い!』・・・もちろん正室ではなく側室ではあるが。


 仕事も終わり、いつなら夜勤務の女性以外は1日の疲れを癒やすために早めの就寝をしている時間であるが今日は多くの女性が食堂に集まっていた。


「それでエリーナ、お嬢様が直々に連れて来られたあの男の子は何処のどなたなの?やっぱりお嬢様のご婚約者様候補なのかしら?」

「馬車の中で親しげに話してはいらっしゃいましたが婚約者・・・ということはないと思いますよ?お迎えに行った先が、その、孤児院でしたし」

「えっ?孤児院ってあんなレベル高いお顔の男の子がいるの!?ちょっと私休日は孤児院通いすることにする!」

「でも雰囲気とか身のこなしとかどう見ても貴族様の振る舞いだったよね?お嬢様があんなに気軽に異性に接してらっしゃるのなんて初めて見るし何らかの訳あり・・・もしかして公爵家のお身内とか・・・?」


「顔!顔がどう見ても平民じゃなかったと思います!抱かれたいです!むしろ抱きたいです!」

「止めておきなさい。お嬢様にバレたら一族郎党どころか実家の村まで根切りにされるわよ?」

「お嬢様、確かに今まで浮いた噂の一つも無かったもんね?そしてその初めてのお相手にちょっかいかけるとか・・・」

「根切り・・・なにそれありそうで恐い・・・」


「でもでも、ここ(女性用の寮)で生活するって言うのも何か訳ありっぽいよね~?」

「あれじゃないかしら?本宅ではほら、鬼ば・・・第二夫人様が何時王都から戻ってらっしゃるかも知れないし?」

「ならやはりお嬢様のお相手ではなくお身内なのかしら?」

「お身内でもご婚約相手の線は消えないけどね」


「でもさ、ここで暮らすってことは私が美味しく頂いてもいいってことなんじゃないかな?」

「なんであなた限定なのよ・・・頂くよりも頂かれたい、そして二人で心を通じ合わせる純愛希望。美少年と美少女の甘い恋・・・」

「頂かれてるのに純愛ってどうなのよそれ?そもそもあんた美少女じゃないじゃない?」

「今すぐ屋上に来い」


「て言うかエリーナ、早く情報出しなさいよ。何、独占するつもり?寝てる間に複数人で手足抑えつけて濡れた薄布1枚ずつかぶせていくよ?」

「具体的な私刑方法の説明止めてもらえるかな?情報って言ってもなぁ、お迎えに行ったのがエタン教会の運営している孤児院って事と馬車でのお嬢様との会話、お屋敷に来てからお部屋に案内するまでの事務的なおしゃべりくらいしかしてないし・・・。あ、お嬢様とどんなお話されてたかは絶対に言えないからね!口にしたらそれこそ村ごと根切りにされちゃうから!!」

「え~、あれよ?一人で抱え込むよりみんなで分かち合ったほうが心が軽くなるわよ?」

「そ、そんな甘言には騙されませんからっ!」


「えっ?て言うか馬車の中で隠す必要があるようなお話してたの?むっちゃ気になるんだけど?」

「とりあえず彼はそれなりの重要人物であることが決定~って感じだね。よし、これからは私あの子一本に絞る!可愛いし!」

「確かにあの顔で甘い声で『おねぇたんだいすき☆』とか囁かれたら色んな部分が蕩けちゃう・・・」

「変態ブラコンは実家に帰れ!いや、確かあんたん家って弟はいなかったよね?」


「うん、ただの性癖☆」

「それはそれで業の深い・・・」

「それを言うならあなただって軽度の露出狂じゃない!」

「残念ながらそこそこ重度なのよねぇ。夢遊病のふりして彼の部屋の前でうろつこうかしら?もちろん全裸で」


「露出って言えば今日お洗濯してたら彼が部屋の窓を開いて干してる下着見てたよ?」

「ほほう、パンツに反応していたと?」

「反応・・・はしてなかったかな?なんかこう儚げな表情で『ふっ』てため息ついてたもん」

「それはそれでどういうことなのよ・・・」


「あ、そう言えば彼、やたらとお風呂にこだわってたよ?お風呂があるって言ったら飛び上がって喜んでたもん」

「お~、女の園でお風呂に入りたがるとか思ったよりもエロエロ少年だったか。そして飛び上がって喜ぶ少年可愛い」

「あれよね?下半身丸出しだったらぷらんぷらんしてそうだもんね?」


「なぜそこで半裸の発想が出てくるのか・・・『ぷらんぷらん』じゃなくて『ぺちんぺちん』だったらどうしよう?」

「可愛いのもアリ、凶悪なのもアリ」

「大きさの話なんてどうでもいいわよ・・・て言うかたぶん純粋にお風呂に入りたかっただけじゃない?私も初めてこのお屋敷でお風呂に入った日のことは今でも覚えてるもん」

「でもそんなに喜ぶって事は彼、お風呂に入ったことあるんだよね?だったら結構なご身分確定じゃない?」


「確かに・・・そうなってくるとやっぱりお嬢様との関係が気になるわね・・・」

「お嬢様、そろそろ世間一般で言うお年頃通り越してるものね」

「とクロエが申しておりましたって明日報告しておくわね?」

「本当に洒落にならないから止めてね!?笑顔で斬首されちゃうからね!?」


「何にしてもしばらくは様子見で直接的なアプローチは控えたほうが良さそうだね~」

「残念だけど完全に同意」

「ああ・・・美味しそうな青い雄しべが・・・」

「卑猥な発言は控えなさい耳年増の生娘」


 その後もワイワイと繰り広げられる雑談の主役が自分であるとはまったく 窺い知らない少年はおとなしく自分の部屋で寝ているのであった。

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