使い潰された勇者は二度目、いや、三度目の人生を自由に謳歌したいようです

孤児院編 その６ 心の底から望んでいたモノ・・・

　てことで経験値を振り分けた俺のステータスがこちら。

レベル・・０

ＨＰ・・・３

ＭＰ・・・３

体格・・・２

筋力・・・２

知能・・・10

魔術・・・１

器用さ・・10

敏捷さ・・２

　レベルが０だから数字の後ろにあったカッコ（レベルによる補正分）が無くなって少々寂しい。

　あと増えてるのが知能と器用さだけなので全体を表示する必要は無かった気もする。

　いや、メインはスキルだから！こっちは前菜みたいなものだから！そう例えるならば『クラゲの和え物』。ガッツリと中華料理食いてぇなぁ・・・。

　ちなみに俺はクラゲもピータンも食べれません。まだ若い（日本に居た頃は高校生だった）からね？好き嫌いが多くても仕方ない。

　気を取り直して・・・取ったスキルがこちら。

属性魔法

　光魔法ランク１、闇魔法ランク１、火魔法ランク１、水魔法ランク３、土魔法ランク３、風魔法ランク１

補助魔法

　合成魔法ランク１、植物魔法ランク３

生産スキル

　設計ランク１、製造ランク１、錬金術ランク３

　こっち（スキル）は素晴らしい成長である。あ、経験値の残りは2,000だ。

　魔法の基礎属性全持ちとかこの世界だと宮廷魔法使いでもおそらく居ないのではなかろうか？

　いや、自画自賛は後でもいいとして（するのは決定しているのだ）紙！そう、紙なのだ！！

　さて、ここで『紙の作り方』なのだが大別すると

『コマンドワードを唱える』

『魔導板を開いて仕様を登録してそのまま生産する』

『魔導板に登録された内容をコマンドワードで実行する』

　の３つになる。３つ目は先に仕様を登録しないといけないから実質２つかな？

　違いは何かと言えば簡単なのは『コマンドワード』で応用が効くのは『仕様の登録』だ。・・・と魔導板に書いてあった。

　いや、そもそも前の世界ではそんな便利なモンじゃなかったんだよ魔導板。ステータスの確認くらいにしか使わなかったし使えなかったもん。

　てことで物は試しとコマンドワードから試してみる。

「製造、紙、20㎝四方」

『原料が手元に存在していない為ＭＰの消費が大きくなります』

『魔術が低くＭＰが少ないため実行すると人体に影響、高確率で体中の穴から血を流しながら死亡しますがよろしいですか？』

「まったくよろしくないです！！中止で！！速やかに中止でお願いします！！」

　凄まじいホラー映像になるだろそれ！？

　逆に何故その条件で「よし、やれ」って言うと思ったんだ魔導板さん・・・。

　てか今喋ったよね魔導板さん。

　音声入力だけならまだしも出力まで出来るんだ？すげぇな魔導板さん。

　あれか？乳とか腰とか尻とかそう言う感じのやつなのか魔導板さん。オッケー魔導板さんなのか。

　まぁ音声で注意してくれるのは非常に便利なので有り難いからいいとして問題は原料だな。パルプとか必要なのかな？それとも普通の木片とかでもいいの？

『草花木材生花枯れ木落ち葉等等、植物なら何でも構いません。また生産スキルを使用時には時空庫の利用をオススメします』

　時空庫かぁ・・・確かにあれば便利だけどさ。

Ｑ：時空庫とは何ぞや？

　Ａ：所謂『ストレージ』とか『アイテムボックス』の別名だな。

Ｑ：それって（異世界転移者の）標準装備じゃなかったのかよｗｗｗ

　Ａ：繰り返すがこちとらハリス君だぞ？そんなものあるはずが無いだろう！！

　紙で尻を拭きたいだけなのに・・・凄まじく先が長いです・・・。

　いや、こんなとこでくじけちゃいけない、だってハリス君には『前向きな心（脳天気な頭）』しかチャームポイントが無いのだから！

　ホントに我が事ながらろくなもんじゃねぇな。

　そして時空庫はと言えば・・・初期スキルには当然無い。うん、知ってた。

　前段階で空間魔法がランク３以上いるんだね？じゃあ空間魔法は・・・こちらも無い。

　光魔法ランク３、闇魔法ランク３、風魔法ランク３が必要・・・と。

　なんとなくだけど光魔法と闇魔法は納得出来る様なそうでもない様な感じなんだけどさ、風魔法は何故？いや、いいんだけどね。

　体中の穴から血を垂れ流すのも嫌だからＭＰと魔術も上げておくべきだろうし、またひと月おあずけかぁ・・・。

　拭きてぇなぁ、尻むっちゃ拭きてぇなぁ・・・。

　もちろんちゃんとした歯ブラシで歯も磨きたいし風呂も入りたいしそもそもごはんがちゃんと食べたいんだよっ！！着るものも酷いもんだしさ。

　衣食住の全ての満足度が低すぎて礼節が裸足で逃げ出すレベル。

　てことで・・・次の目標に必要な経験値である。余計なこと考えだしたら辛くなるからね？特に外食のメニューとか。

ＭＰを　　３から10　49,000

魔術を　　１から10　54,000

光魔法を　１から３　6,000　

闇魔法を　１から３　6,000

風魔法を　１から３　6,000

空間魔法を３　7,000

時空庫を　１　1,000

計　129,000

　・・・前回よりも必要経験値が多いんだけど・・・。

　だ、大丈夫、多いって言ってもちょこっとだけだし？またひと月頑張ればいいだけだし？

　・・・

　・・・

　・・・

　季節はそろそろ初夏とも言える『実上月の』・・・面倒だから『６月27日』でいいよね？

　草むしりで稼いだ小銭でシーナちゃんと二人で買い食いデートなども挿みながらも稼ぎました経験値132,000点。

　てかさ、小汚くても一応はお客さんじゃないですか？それなのにそこそこの確率で屋台で買い物しようとしても追い払われるんだよね・・・。

　いや、わからなくはないんだよ？お金も持って無さそうだし、見た目がこれだから。俺一人なら仕方ないで済ませるもん。

　・・・でもさ、シーナちゃんがさ、その度に悲しそうな顔するんだよ・・・。お前ら、そのうち何らかの仕返しをしてやろうと心に誓ったからな？

　普通に、むしろおまけしてくれたお店もあったんだけどさ。

　・・・よくよく考えると俺、まともなデートってこれが初じゃないだろうか？（精神的には）アラサーのおっさんの初デートの相手が12歳の女の子ってどうなんだこれ・・・。

　うん、深く考えるのはよそう、そう、経験値、経験値が溜まったのだ！！

　時空庫をランク２にした以外は予定通りに全てスキルを取り基礎能力値も上げて――もちろん時空庫に材料の草も放り込んで――いよいよ紙の生産である！！

　前回のように『死にます』みたいな警告が出ると恐いので今回はコマンドワードではなく素直に魔導板を開いて詳細を入力していく事にした。

　えっと・・・どうしたら『記憶の中にある品物に関してはそこからある程度の品質のフィードバックが可能です』・・・そうなんだ？マジ有能過ぎるだろ魔導板さん。

　さっそくトイレットペーパー（60ｍロール）を登録。・・・白いと目立つよね？深緑とかに出来るかな？大丈夫？ならそれで。迷彩柄のトイレットペーパーとか自衛隊でも使ってないだろうなぁ。

　・・・ああ、製造にはＭＰが足りないと。駄目じゃん！何か方法は『ロールタイプではなくティッシュペーパータイプでの製造をオススメします』・・・じ、じゃあそれでお願いします。いや、マジで応用利きすぎだろ魔導板さん。

　ちなみにティッシュペーパータイプのトイレットペーパーは『落し紙』って言うんだぜ？

「てことで完成しましたトイレットペーパー改め落し紙！！長かった・・・ここまで長かったよ・・・尻の痛みに耐えること早ふた月・・・いや、毎回治療してたけどさ」

　現状だと生産量は１日に20枚程度なんだけどね。これは製造スキルのランクを上げればどうにかなりそう？もちろんＭＰとか魔術とかも知力とかも上げるべきだろうけど。

　それでも紙の生産が可能になったのは大いなる成長では無いだろうか？てか普通の紙なら売れそうだよね？商人に一切のコネクションがないから現状では無理だけど。

　この勢いで次は『歯ブラシ』そして『歯磨き粉』さらに『石鹸』に『シャンプー』と夢が広がるな！！

　いや、石鹸は作っても当分使い道は無さそうだけどさ。