第13話

「うん…いいよ、、それは最初からそうゆう契約だったわけだし…うん…気にしないで。また時間が出来たら。はい、じゃまた…」


「…睦さん、なんかあったの?」


「あぁ、、本業が忙しくなったから、しばらくこっちはお休みしますってさ。まぁ、副業ってか主軸は向こうだからね。」


「…そっ、、、」


「人は減るけど、応援入れる?それとも彼女じゃないと分からない仕事とかあんの??」


伊沢は鈍い。

オフィスのみんなが俺の気持ちを分かってると思うが、彼は分からないらしい。

かと言って自ら言う必要もない。

付き合っているわけでもないし。



彼女にしばらく会えないのか…


最後に話したのがあんなキッチンでの会話かよ。。



「はぁ……」


「福良さぁ……一日何回ため息つくわけ⁈」

河村が呆れたように言った。

きっと周りの皆んなも思ってただろうし、俺だって分かってる。

「分かってるよ……でも……自然と出ちゃうんだよ…………はぁ…………」


「しっかりしろよ!プロデューサー‼︎」


そうだった、、、仕事はしなくては。。。

ため息は出るが、現状は一人減ってしまったんだ。割り振りもし直し。…集中しなくちゃ。。


仕事スイッチを入れたお陰で、ため息はなくなった。


編集室はマウスとキーボードの音のみが響く。


不意に彼女がオフィスに来始めた頃を思い出した。


「なんかさぁ、、、暗くない?」


もちろん照度の問題ではない。雰囲気。

チャンネルも増え、週に二回の動画目標、人数は変わらないが企画は増え続ける。

メンバーは疲弊していたのだと思う。

ミスを指摘し合ったり、人の粗探しをしたり。切磋琢磨とは程遠い状態だった。

しかし、必死な俺はそんな状態に気づいていなかった。


そんな雰囲気を誰よりも早く察し、その雰囲気も空気も全てを嫌がった。


“忙しい中でも楽しく仕事しよう!”


忙しくてもゲームの時間を設けたり、思った事を言葉にしようと彼女は率先して突然叫んだりした。


最初は戸惑う人や、呆れていた人も中にはいた。しかし、彼女はめげる事なく、続けた。

すると、次第に雰囲気が変わり、会話も増え、協力し合い、助け合い、、、

天と地ほどの差だった。


…またあの時のようにならないよう、気をつけなきゃ…


気配りもしながらの日々は想像以上に体力を奪う。精神的にもやられる。


それでも雰囲気が悪くならない様…ならない様…気疲れは蓄積していった。

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