第90話 家族と……です。(姉の場合)①


おはようございます。

前世では子供の頃、近所の年上の女性に憧れていました。

優しく面倒見がいい……そんな女性でした。

こんな人が姉だったらどれだけいいか………そう思えるくらい、今世の姉は最悪でした……。

たまに今世の姉の夢を見てはうなされる。そんな僕は、元王子ことユーラです。


旅生活28日目(オアシス生活627日目)

夢の中の姉は……いつも通り、僕を剣術の相手にしてボコボコにしていました。

将来〝剣聖〟のスキルを授かる姉………それ以前から、片鱗は見せていたのです。

逃げても逃げても………その度に捕まり、ボコボコにされてました………夢で思い出してもムカつく話です……。


そして、正夢って本当にあるんですね………。


なぜ姉の夢の話をしたか………って?

だって………目の前に立っているんだもん。

ビッチが………。




バカ第2王子を捕まえてから2日。

捕虜の皆さんの部屋牢屋等の準備に時間がかかってしまった。


出発前に一息入れようと、宮殿の庭でお茶をしていると………。



「ムムムムム………?」



っと、膝の上の桜花さんが難しそうな顔で唸り出す。


どしたの? っと顔を覗き込むと………。



「敵が侵入したようなのじゃ………」



その一言に合わせたかのように、森から人影が出てくる。

うげ!…………その見知った顔に、僕は思わず嫌悪感を露わにしてしまう。

キャスは嬉しそうに顔を輝かせている……仲良かったもんね………。


そう。彼女はマルクス王国第1王女……〝剣聖〟のローゼ………マルクス王国の最高戦力で僕たちの姉である。

桜花さんに気づかれず………どうやってここまで来たのか考えているとビッチから声をかけられる。



「久しぶりね。キャスにケビン……ユーラの方がいいのかしら?」


…………久しぶり……ローゼ様。


「そんな寂しい呼び方をするな。姉さんでいい」


…………久しぶり……姉さん。



言い直した僕を見て満足そうな顔を浮かべるビッチ



っで、なんのようですか?


「二人の顔を見にきたついでにバカ第2王子を迎えにきた…………」


あ、それは助かる。

ずっと喚いていてうるさかったんだよね………。

負けて捕まったくせに……部屋が狭いとか……飯が少ないとか………。


「…………のだが、お前たちと闘いたくなった!」


…………はい?

急に何を言い出すのこの人………。

やっぱり…………うちの家系って頭のぶっ飛んだ人しかいないんじゃ………。

まぁ、自分を含めてだけど………。


あの………いやですよ! 戦うのなんって………。


「なぜだ!?」


なぜって………僕なんかが〝剣聖〟に勝てるわけないでしょ!?


バカ第2王子とは闘ったんだろ?」


いえ……闘いというか………蹂躙しました……キャスが……。


「ならキャスと………闘うとするか。」


なんでそうなるの……キャスもそんな顔をしないで!!

あぁ………もう、戦闘狂しかいないのですか!?


ワタワタしていると、僕の頭を腕の中の桜花さんが撫でてくる。


????


「その闘い! 妾が受けてたつのじゃ!!」



僕は遠のく意識を必死に堪える……………何言い出してるの桜花さん!?

キャス以上にダメに決まってるでしょ!?



⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘⌘

※新作を書きました。そちらもよろしくお願いします。

『突撃! 隣のマンドラゴラ 〜さぁ、ご唱和ください! 1、2、3、ぬぼぉぉぉぉぉ!!〜』


https://kakuyomu.jp/works/16817139555975401486


※色々なこと、気持ちは〝近況ノート〟に書かせていただいています。そちらを読んでいただけると嬉しいです。


この作品を少しでも気に入ってくれましたら、【☆☆☆→★★★】にしていただけると励みになります。また、♡、フォローもよろしくです。


同瀬馬野抱枕

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