閑話:第12話 それ行け! 僕らのヘテさん!!②

※本日3話投稿します。

※物語には直接関係ない話です。飛ばしてもらっても問題ありません。



「息子が勘違いしたみたいで〜。ごめんね〜」



伯爵当主へ今回の件のクレームを伝え、王命も再度通達をした。

その返答に……羽根よりも軽い謝罪をしてくる『交路のオアシス』を統治する伯爵当主。

執務室で2人だけの会談……にしても軽すぎる……。


殴ったら………負けなのだろうか……。


とりあえず、今回の件は乗っ取りとかの思惑はなく………伯爵当主のお節介と息子の暴走だとわかった。

伯爵当主との面談も終わり、補給を行っておる部下の元へと向かう。


この調子なら………2日程度で終わるだろう。


部下の様子を見ていると、背後から声をかけられた。



「ヘテ様!!」



振り向くと、伯爵の息子……ガンラがいた。



………何か?


「『木々に囲まれた楽園のオアシス』への訪問。同行させてください」


………こいつは何を言っているんだ? ってか、『木々に囲まれた楽園のオアシス』ってなん………あぁ、『忘れられたオアシス』のことか……。


お前のせいで……どうなっているか分かっているのか……?

苛立ちで眩暈がする。

やんわりと断りを入れるが………ガンラは引き下がらない。



「ヘテ様。ユーラさんは勘違いしているだけなのだ。もう一度、会って話せば私が必要な事がわかってくれるはずだ。…………あぁ〜あのビーツ。もう一度食べたいものだ!」



おい! バカ! 自分の欲望くらい最後まで隠せ!

私は無視してその場を離れる。


その後もバカガンラは、私の下を訪れては『忘れられたオアシス』への同行を求めてきた。

最終的には伯爵へクレームを入れ、部屋に押し込んでもらった。


そして、補充も終わり……いざ出発という時に、別の客が訪れてきた。

………ミミリーという商人だ。

彼女のことは知っている。

最初に『忘れられたオアシス』と交易を行った商人。

マルクス王国との和平会談の時も居た。


早く出発したいのに……苛立ちを隠せずにいると、一人の少女が前に出てきた。


………どこかで……見たことあるような…………。


彼女は丁寧に頭を下げると自己紹介を始めた。


…………な、なななな、なっ!! 元マルクス王国第2王女………!!

ユーラ殿の妹ではないか…………。

どこかで見たと思ったが………ユーラ殿の顔に似ているのだ……。


急遽、近くの食堂を貸切、話を聞く。


〝カフッ!!〟


心の中で吐血してしまう。

我が国も……なかなかのバカ揃いだが………マルクス王国も負けずにバカばっかだ………。


何はともあれ、ユーラ殿のところに連れて行くしかない……。

ミミリー殿に周りの世話のために同行をお願いする。



「はぁ〜」



腹の底からため息を吐く。

…………『交路のオアシス』を出立する前に……私は疲労困憊になってしまった……。

『忘れられたオアシス』への道中………私はラクク車の中で寝込むのだった。




※色々なこと、気持ちは〝近況ノート〟に書かせていただいています。そちらを読んでいただけると嬉しいです。

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