第76話 最恐は……妹だったのです。①
おはようございます。
元我が家では、子供同士での会話はありましたが……そこまで親しく遊んだりとかはありませんでした。
正直、僕が追放された時も……他の兄弟は我関せずといった感じでした。
他の国の王族もそんな感じなのでしょうか?
とは言え、妹が一人追放されたことに関しては怒髪天をついている僕は……元王子ことユーラです。
オアシス生活373日目
ヘテさんが連れてきた商会との打ち合わせも無事終了しました。
これからh……今まで通りにクリーンな交易が行われるようになりました。
ミミリーさんとも交易は再開。
独占できないことに泣いていましたが……僕は知りません。
そんなこんなでやっと手が空いたので……キャスのスキルの確認。
本人も……すぐに追放されて……スキルの検証もしていない……。
マジであの家族はクソだ……。
怒りで頭がクラクラする……。
キャスが不安がるので顔に出さないように注意する。
その度に、頭を撫で……頭を抱きしめてくれる……僕の腕に抱き抱えられた幼女……桜花さんに助けられる。
おかげで切れずに済む……。
だから………キャス……その目はやめて………。
これでも桜花さんは、神にも等しい精霊さんです。
抱っこしてるのは当然なのです………。
趣味!? 違うよ!! 僕はボッキュンボンがすk…………痛い! 痛い!!
桜花さん………痛いから打たないで!!
ほら……大人達……が生暖かい目で見てくるよ……なんか、護衛のハナミズキさん達の視線も……生暖かい……。
ゲフンゲフン……。
僕たちは果樹園へと移動する。
蜂の動きを見たくて、花が咲いている果樹園を選択。
それじゃぁえ、キャス……スキルを使ってみようか………。
「ミード………」
「蜂蜜……トースト……」
背後から女冒険者達の小言が………
ち、違うよ!! け、決して………蜂蜜やミードに心を奪われているんじゃないよ。
す、スキルを知ることは大切だからね………ハハハハ。
ここの手助けになれるなら嬉しい?
そ、そ、そそそそそ、そんなこと……今はか、考えなくていいから。
自分のことだけ考えてね。
やめて………そんなウルウル目で僕を見ないで………。
お兄様は……既に飲兵衛に侵されているんだよ………。
キャスを中心に輪を皆が作る………ハァ〜っと一息つくと、彼女がスキルを使う。
「………〝養蜂〟………」
……。
………。
…………「「「「「「「「ギャァーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」
…………うん。………阿鼻叫喚………この場が地獄と化した……………。
踵を返して逃げる冒険者達………泡を吹いて倒れる大人達………。
そんな僕たちの前には、1m弱の無駄にイカつい蜂が腕組みをして立っていたのだった。
そう、彼女……キャスが召喚したのは………天災級モンスター……〝
あっ………このオアシス……終わったかも………。
《備考》
・ピッチングビー
▶︎世界に3種のみ存在する天災級モンスター。渾名は〝マツザッカ〟。大昔に極東出身の英雄が名付けたと言われている。ピッチングビーは集めた蜜を高速で顔面に投擲してくる。その速度から回避不可能と言われている。そのため、蜂蜜で窒息死する冒険者が続出した。伝説ではドラゴンすらも窒息死させたと言われている。採取困難の蜂蜜のため最高級品として取引されている。かつて大陸の西に存在していた帝国は、帝城にピッチングビーが巣を作られ遷都したと伝承が残っている。
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