閑話と『ガーラン王国王都』寄り道編

閑話:第8話 それ行け! 僕らの桜花さん!!①

※本日3話投稿予定です。



妾の名前は桜花。

神にも等しいしがない精霊じゃ。


ユーラという手のかかる幼子の祈りを聞いて、この世界に降臨したのじゃ。

なのにあやつユーラは……妾を子供扱いどころか〝ちんちくりん〟と呼びよったのじゃ。


まったく! まったくなのじゃ!


じゃが、必死に謝るあやつの姿が可愛くてついすぐに許してしまった。


……。

………。

…………そこ! そんな目で妾を見るのでは無い。


まったく……。



クソエルフの村からの帰りガーラン王国王都に寄った際、あやつは爵位を貰った。

その日から、あやつが「ムムムムム」と考えることが多くなった。


これでは、『忘れられたオアシス』で起こっていることが説明できないでは無いか……。

思わず妾も「ムムムムム」と唸ってしまうのじゃ。


じゃが、そこは妾……あやつの保護者であり、母であり姉であるからには相談の一つでも乗ってあげるというものじゃ。


おい、ユーラよ。何をそんなに悩んでいるんじゃ?

ふむふむ。

亀井……? やきゅ………えっ違う? あぁ、家名の方か?


貴族になったからには家名が必要じゃと? 人間社会は面倒なのじゃ………。


よし、そんなに悩むなら……妾が決めてあげるのじゃ……。

そうじゃな……「桜花」なんてどうじゃ?


ダメ? な、何故じゃ!!

高貴なる妾と同じ名前を持てるのじゃぞ?


なになに………「桜花・桜花」になってしまうじゃと?

何故そうなる?


えっ………家族だから……一緒の家名を名乗ってほしい………。

こ、こやつ……なかなか可愛いことを言ってくるのじゃ…………。


ムムムムム………顔が熱いのじゃ……。


では、お主の〝前世〟の他の国では、〝桜花〟はなんて呼ばれるのじゃ?


……。

………。

…………どうしたのじゃ? 固まって?


お主の〝前世〟の事? 何故知ってるのか?

そもそも〝桜花〟も前世のお前の国の言葉なのじゃろ?


………妾は神にも等しい精霊じゃぞ。それぐらい……すぐにわかるのじゃ。


っで、他の国ではなんていうのじゃ?


ふむふむ。


〝フルール ドゥ スリズィエ〟

〝イン フゥア〟

〝フィオーリ ディ チリーェジオ〟

〝ポッコッ〟

〝チェリー ブロッサム〟

〝ザフル・アル・カラズ〟

〝セレジェイラ〟

〝フロル・デ・セレシェイラ〟


よい! もうよい!

多すぎなのじゃ……全く。


うむ………なら、〝チェリーブロッサム〟にするが良い。

なんじゃその顔は?

な、なな、適当では無い!

響きが可愛いものにしたのじゃ!


文句ないじゃろ………ないじゃろ!!


うむ。素直なのが一番なのじゃ。


『ユーラ・チェリーブロッサム』

『桜花・チェリーブロッサム』


うんうん。良い名前になったのじゃ。


余談じゃが………書類作成に来た文官に〝チェリーブロッサム〟の意味を一生懸命説明するあやつは……とても可愛かったのじゃ。

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