聖樹と『常夜の森』出張編
第54話 『常夜の森』に到着です。(裏)
※本日3話投稿します。
※本編に戻ります。よろしくお願いします。
俺の名前はサトリュル。
エルフの戦士だ。
『常夜の森』にあるエルフの集落の中でも一二を争う弓の腕を持っている。
ゆくゆくはこの名前を皆が讃えるであろう。
そんな俺には許嫁がいる……もはやいたが正しいか……。
名前をルーディアという。
エルフの族に古くから存在する巫女の一族の末娘だ。
この婚約には……当初俺は反対した。
巫女の力も弱く、暗くいつもオドオドしていたあの女を誰が嫁にするかと……。
そのことでキツくも当りもしていた。
だが、あの日を境に態度を改めることになった。
そう、あの女が〝聖樹様〟の神託を受けたのだ。
〝聖樹様〟の神託………それだけであの女の価値がどれだけ上がったか……。
そんな女と結婚できれば俺の発言力があがる。
次世代の村長も夢ではない。
今から笑いが止まらなかった。
だがルーディアは、神託で示されて場所へ自分で行くと言い出した。
流石にこれは村の全員が反対した。
もちろん俺も反対したが、意固地になりやがって……あの女。
最終的に飛び出して行きやがった。
既に2ヶ月が過ぎた………その間、ずっと音信不通だ。
探しても見つからず……今となっては無事なのかもわからない。
惜しいことをしたとは思うが、戻らなければ違う女を嫁に貰えば良い。
あの女の従姉妹でも貰おう………見目麗しく明るい女だ。
そして、やはりそいつも巫女の力を持っている。
うまく扱えば……目的通りに俺は村長になれるだろう。
もし仮に……あの女が無事に戻ってきたら、その時は俺自らの手で再教育をすれば良い…従順で気立の良い女へと………。
ぐふふふふ……おっと、卑猥な笑いが出てしまった。
気をつけなければ……誰が見ているかわからない。
なんて言ったて、俺はクールなサトリュル様だ。
そんなことを考えながら、森のパトロールへと出る。
また、魔獣が村の近くをうろついている。
俺はそつなくそれらを弓で狩る。
最近、本当に増えた………村の結界が弱くなっている……。
これも、『常夜の森』を開拓し始めた周辺諸国のせいだ!!
『常夜の森』の木々を伐採する輩を襲撃する様に進言したが通らなかった……。
軍隊がくる? 反撃が怖い?
腰抜けの老いぼれどもが!!
森のために戦い散る……それがエルフの戦士というものだ!!
俺がトップになれば、すぐにでも周辺諸国に制裁を加えてやろう!!
あの女には………戻ってきてもらいたいものだ………。
▼▼▼
それから数日経った日。
いつものパトロールに出たのだが………何かがおかしい。
いつも以上に森がざわついている………。
いや? 喜んでいるのか………。
精霊が一斉に飛んでいく方向へ俺も向かう。
すぐに森の淵まできた………ガーラン王国め、ここまで伐採を進めていたか!!
だが、伐採する木こりの姿は見えない。
何かがおかしい………。
俺はすぐ目の前に広がる一面の砂へ目を向ける………うん?
遠くの方で土煙……砂煙? が立ち込めていえる。
目を凝らしよくみると………無数の木々がこちらに向かってきていた。
な、なんだあれは?
も、もしかしなくても………と、トレントの軍団か……?
その信じられない光景は………数えきれないほどのトレントが『常夜の森』に向かって爆進している姿だった。
その光景に精霊達が喜び踊り狂う。
俺は驚きのあまり……木から落ちる。
そうしているうちに、トレントの軍団が『常夜の森』の淵に到着する。
そのトレントの腕の中には………私の許嫁……ルーディアが乗っていたのだった。
「ほ……ほげーーーーーーーー!!」
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